相続財産について相談がありました。その方は、ご主人がお亡くなりになり相続手続きが終了した後に判明したらしいのですが、被相続人であるご主人はご友人の連帯保証人になっていたようです。しかも、その友人は失踪し一切返済がなされていないためご婦人は巨額の債務を相続してしまいました。
どうしたらよいか分からずご友人に弁護士を紹介してもらい相談をしたそうですが、その弁護士さんは「遅延延滞金が今後も増えていくから即座に相続した収益不動産を売却し全額返済すべき」との一点張りだったそうです。
でも、相談者のご希望は、相続した収益不動産を売却することなくこれからも家賃収入を得つつ生活を送りたいと考えています。どうにか収益不動産を売却しないで切り抜ける方法はないものでしょうかという相談でした。
債務の連帯保証人
ご主人は、ご友人の借入れ債務の連帯保証人になっていたそうですが、連帯保証は借入れ元本4000万円と遅延損害金8000万円の合計1億2000万円にまで膨れ上がっていました。
相談者は、相続後にその事実を知り、結果、1億2000万円の当該債務を相続しましたが、同時に収益不動産と不動産投資の借入れも相続していました。相談内容は、今後この収益不動産からの家賃収入で生活をしていく計画なので、売却しない方法を教えてほしいといったものでした。
手順をアドバイス
1)保有している不動産の簡易鑑定評価をすぐに取得すること。そして、現在の不動産の担保価値と借入残高を把握すること。
2)担保価値に余裕がある場合は、根抵当権の設定額引き上げが可能であるか銀行に交渉すること。
3)銀行に極度の引き上げが可能そうでしたら追加借入金額内で債務の減免交渉を行ってくれるよう弁護士に相談しながら進めること。
4)弁護士と相談しながら不動産収益額から既存借入れと当該借入れを弁済できる計画を作成し返済を検討すること。
このような案件における解決の一番のポイントは、メンバーの選定と戦略です。弁護士に相談しながら金融機関との交渉を行い、明確な資金使途と綿密な返済計画を作成する必要があります。
返済義務の減免に成功
この方は、 アドバイスの手順通りの弁護士と相談しながら関係各所と交渉をおこないました。弁護士さんと粘り強く銀行に相談し田ことで、根抵当権の極度額を5000万円引き上げてもらい、また、1億2000万円の返済義務も4400万円まで減免となりました。
今は、極度額内で4400万円で借り入れを行い、現在、代々受け継いだ収益不動産を売却することなく、家賃収益から弁済を続けることができるようになりました。
まとめ
正しい手順で交渉と対応策を行うことで、資産を守ることは可能です。専門家でも得意でない分野もありますが、きちんと対策設計を行うことが重要です。