皆さん、こんにちは。ファミリーオフィスドットコムです。本日は3月1日月曜日です。今週の見通しをお伝えします。今日は、株式市場の調整がこのまま続く可能性が高いという内容で、お伝えします。
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先週金曜日、日経平均が1,200円近く下げ、その夜にはダウが下がる、ナスダックだけは少しリバウンドです。そのため、本日は相場は少し落ち着いてスタートするかと思われます。では、今後どうなるのか。結論から言えば、これからも少し難しい状況が続きそうです。あとで、その背景もお伝えします。
恒例の定点チェックです。先週の株式市場、アメリカ3指標の中で、ナスダックが大きく下がっていることが確認できます。これは、グロース株の投資が減速していることを表します。
S&P500の11セクターの中では、インフォメーションテクノロジーが弱い傾向が続いています。Appleや、Microsoftも弱く、また、消費関連も弱くなっていることが確認できます。株式市場はハイパーグロースと言われる株を中心に、売られていると言えます。では、その背景を確認していきましょう。
こちらは、97年以降のS&P500と比較したグロース株と、バリュー株を比較したものです。グロース株は、98年~2000年までのITバブル期、すごく上がっていました。その後、リーマンショックの直前まではバリュー株が逆転していましたが、それ以降は、またグロース株が大きく成長しています。
低金利政策でグロースの成長が有利な状態が続いていましたが、今後、金利が上昇すると、金利上昇に弱いグロース株では、調整が続くと思われます。グロース株が下がり、バリュー株が上がる動きが、これから続くでしょう。その中の、セクターのお金の移動であれば、まだローテーションと言えますが、少し気になることがあります。
こちらの表をご覧ください。今年けん引してきていた金融株、エネルギー関連株が、先週大きく下がっていることが分かります。全体が下がってきているということは、株式市場からお金が流出している可能性があります。グロース株からバリュー株へという話だけでは、なくなってきているということです。要注意であることは、間違いないでしょう。
次に指標です。本来は、実質金利がプラスになると、金価格は下がります。しかし、金利上昇とグロース株・中小型株が低下する中で、金が上がる異なった動きをすれば、リスク回避のお金が入ってくることになるだろうと、先週お話をしていました。
金価格を見ていると、そこまではありませんので、全てが売られている状況ではありませんでした。ただ、パニック的な売りではありませんが、ジワジワと売られる状況が続いているため、要注意です。
次は、金利動向です。先週中旬にお伝えしたように、5年債金利が上がってきています。短期間の景気上昇と、政策金利変更を少し先読みした動きが出始めて、総じて金利が上がってきています。
また、住宅ローン金利も上がってきていることが、少し気になります。こちらは、あとで説明します。
為替に関しては、ドルが高くなっています。このドルの上昇ぐらいならば、問題ありませんが、他の通貨に対して総じて強くなっています。輸出関連企業の多い日本では、円安が進むと株価が上がりやすいと、今回のアメリカ株に引きずられることなく、底堅くなるプラスはあります。
一方で、ドルが強くなると新興国は、ドル建て債務の負担が多くなり、経済の回復に影響を受けるというマイナス要素があります。このまま、ドルが金利上昇を伴って、一方通行で上がっていくと、少し厄介です。
次は、アメリカ30年金利と、住宅ローン金利のチャートです。住宅ローンの線はまだ反応していませんが、30年国債の金利とモンゲージの金利は、ほぼ連動しています。モンゲージローンの金利が上がってくることは、十分に考えられます。
実際、先週の住宅ローン申請件数は、マイナス11.4%と、9か月ぶりに下落しています。金利上昇の影響が、少し出始めています。また、モーゲージバックセキュリティー(MBS)で、価格の下落による金利調整が起こり、先週の金利上昇が起こったとも言われています。
少し専門的になりますが、MBSが下がることが、金利上昇の引き金になることもあります。もし、30年住宅ローン金利が上がってくると、少し不気味だと思います。30年住宅ローン金利も、追いかけていきたいと思います。
またもう1つ。低金利の中で、ケースシラーと呼ばれる住宅価格指標が、去年から急激に上がっていました。アメリカでは、不動産価格が上がると、住宅ローンの枠が空き、個人消費に回す傾向があります。そのため、急激な住宅価格の上昇により、個人の消費が促進されていました。この低金利によって、住宅価格が支えられている状況が崩れると、嫌な影響が出るため、住宅価格にもこれから注目したいと思います。
もう1つ、ハイイールド債券についてです。金利が上がっている状況が、少しだけ出てきています。まだまだ問題はないと思いますが、こちらが上がってくると、資金調達のコスト増となりますので、いよいよクレジット条件が厳しくなることが、考えられます。
30年金利や5年ほどの中期金利の上昇が進んできて、全体のセクターが下がってきているため、これから長引きそうな雰囲気が、先週一週間から見て取れます。
次に、今週の注目イベントです。ISM製造業指数が月曜日、非製造業指数が水曜日に発表されます。また、月曜日にウイリアムズニューヨーク連銀総裁、火曜日にブレイナードさん、デイリーさんらFRB関係者、木曜日にはパウエル議長が発言をします。要人発言が非常に多い中での、ISMの発表ということになります。
製造業、非製造業は、前月並みか少しマイナスぐらいで、58~59近辺の、総じて高い状況になります。ISMの高い状態は、株を支えますので、そちらはプラス要因になるかと思います。ですが、先週行われたパウエル議長の公聴会の後、金利が少し上がってきている中、要人が金利抑制を言うのかどうか。ノーコメントであれば、より金利が上がりやすくなるのではないかと思います。
また、水曜日のベージュブック。これは、FOMC開催の二週間前、12地方連銀からインフォメーションが上がり、中身を見ていくというものです。FOMCの政策判断に利用されますので、すごく景気が強いという内容であれば、いい金利上昇が加速することも考えられます。ベージュブックには注目です。
また、金曜日には全人代がスタートします。2035年に、経済をどれだけトップに持っていくかの発言が、米中摩擦に結び付けば株価の調整に拍車がかかりますので、要注意です。
今週のポイントです。青はFRBの資産の増え方、黒はSP500の上昇です。買い入れ額が増えるときは、株価が上がりやすいので、パウエル議長は資産買入額を維持すると言っています。そのため、SP500の上昇自体は、買入購入緩和により支えられると思います。
ですが、支金利を気にしないということは、金利高を意味し、株価のバリエーションを下げることは明らかです。また、金利が上昇し、1.9兆円の経済支援策が下院を通り、3月中に上院議員で可決することも話題になっています。
さらに、2021年度以降、2兆ドル規模の支援策を行っていく場合、金利が上がったことにより、調達コストが上がってくることは、最終的に調達に対する意欲、国債発行に対する意欲が薄れ、財政活動にもマイナスの影響があるのではないかと、言われています。
つまり、株価のバリエーション、財政、支援策にとっても、金利上昇がマイナスになってくる可能性があります。そこについて、注意が必要です。これが1つ目のポイントです。
2つ目のポイントです。白が国債価格です。価格が下がるということは、金利が上昇することになります。青は、SP500の株価です。これが同じように上下することを、相関が高い、株が上がり、債券価格が下がる動きをすることを、逆相関と言います。
本来、株と債券は値下がりと値上がりを補完しあう関係にありますが、今両方とも下がる関係になっているということが、下の赤い丸から読み取れます。金利が上がると、債券価格は下がりますが、相関がほぼ100%になっている株も、一緒に下がることになります。株と債券という重要資産が、共に下がっていくことになります。
今、世界の中心は、リスクパリティ運用です。株のリスクが上がると、債券の割合を高め、債券のリスクが高まると、株の割合を上げてきました。しかし、共に下がるとなると、両方を売却する動きが高まります。この状況が続くと、金利が上がり、債券価格が下がり、同時に株も下がって、両方の売却が進みます。2008年以降進んできた、リスクパリティ戦略のヘッジファンドを中心に、株を売ってくる可能性があるため、調整が長引くと考えられます。
もう1つ。債券では、5年~7年の中期的な金利がすごく強くなってきていますが、この状況は続きそうです。金曜日に発表のあった可処分所得や、消費支出、貯蓄率も全て上昇しています。そして、先週末1.9兆ドルの経済審査も通りました。
パウエル議長が証言で言った、今年6パーセントの成長が実現できるかもというのが、本当に実現できそうな状況になってきています。その反応を受けやすい、中期国債の金利は上がりやすいということで、イールドカーブ全体が、これから上がっていくと考えられます。
先週、一気に上げたので調整があるかもしれませんが、ジワジワ金利が上がっていくと考えられると思います。ということで、今の前提を考えると、金利が上がってきます。これは、金利が良くなってくる金利上昇だとはいえ、上昇の事実からバリエーションの調整があると言えます。
そして、最初に見たように、ハイテク株を中心としたグロース株売却から、バリューに転換し、全体が売られていくと、リスクパリティでは、債券も株も売られます。それを考えれば、今回の調整は侮れないものと思われます。ただ、量的緩和のため、20~30%一気に下がるというよりも、10%近くの調整になると考えた方が、正しいと思われます。
最後に見ていただきたいのが、PERチャートです。2007年PER推移を、SP500で見ると、今22倍とすごく高値になっています。もし、金融相場から業績相場に移行するとなると、およそ17倍のバリエーションが中心になってきます。
もし金利上昇を嫌がり、バリエーション見直しが入り、PER17倍ぐらいで見ていこうとなると、年末、1年後のEPSが200ドルぐらいとすれば、3400ポイントとなります。SP500の今の状態から、約11%近くの調整が入る可能性があるということです。
もし、企業業績がマイナスになってくると、さらに下がってきます。業績が今のままいい状態で、バリエーションの調整があったとしても、10%ぐらいの調整があるでしょう。これを、ある程度の時間をかけてやっていくことが、出てきます。
なぜなら、金利の落ち着きどころは、金利が上昇した局面においては、何%ぐらいがいいところなのか、探り探り行うからです。まだ金利は落ち着かないと思います。今週も金利の動向、グロース株にどれぐらいの調整が入ってくるのか、金価格が急に上がらないか等、いろいろなことを見ていくことで、リスクをしっかりと管理していきたいと思います。
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