最近注目されているファミリーオフィスとは、「中世欧州で王の財産管理を執事が手掛けたのが起源とされる。近代的な形態としては、19世紀半ばに米国でロックフェラー家など富裕財閥が一家の資産を管理するために専門家による組織を設けた。」(日経新聞社2021.4.25より引用)とされています。
ファミリーオフィス誕生については諸説は色々とあるようですが、ごく簡単にまとめると富裕層が抱えるような複雑な問題を専門家により解決する組織を「ファミリーオフィス」と定義できそうです。
ファミリーオフィスの機能
チームメンバー
ファミリーオフィスとは、世界の富裕層の多くが、活用している資産を守るための専属チーム組織です。こちらの図をご覧ください。ここには、エキスパートと、ウェルスマネージャーという、2つの役割を持った人間がいます。
エキスパートとウェルスマネージャー
エキスパートというのは、家族や資産に関する課題を包括的に分析し、専門能力を活かし課題を解決する役割を担います。例えば、弁護士、資産運用、信託、不動産、海外進出、金融関係、事業承継、教育、税理士といった、多くの専門性を持った方がエキスパートに属します。
そして、いろいろな専門性のある意見を取りまとめ、実行に移していく役割を担うのがウェルスマネージャーです。エキスパートの持つ、専門的な意見を集約し、対策案をまとめ、やるべき順番を決めて、実行する、エキスパートのハブのような役割を担います。このようなメンバーにより運営されるのが、ファミリーオフィスです。
これだけ聞くと、少し縁遠く感じる方もいるかと思いますが、しかし、このようなチーム体制は、資産管理の世界では、確実に資産を守ってきたという実績があり、広く認知されているものです。
リスクの排除もメリットの一つ
このようなチーム体制を作るメリットの一つには、徹底的にリスクの排除ができることです。資産管理においては、本来は正しい取引さえしていれば、大きな損失や、大きな失敗は回避できはずなのですが、単独で判断する場合、どうしてもリスクを排除できていないこともあります。チーム体制で資産管理を行うのは、このような判断ミスというリスクを排除できることも大きな特徴の一つです。
ファミリーオフィスの全体像
実際の運営体制
では、実際にどういった形で運用していくのか、説明します。こちらは、全体像になります。皆さんが位置するのは、ファミリーオフィスの部分です。右側には、ファミリーオフィスのチーム体制が書かれています。その上には、ファミリーミッション・ステートメント。下には、資産管理の手段であるアセット・プランニング、エステート・プランニング、ファミリー・プランニングがあります。
最強の資産管理
是非、みなさんに知っていただきたいのは、この体制が、資産を守るうえで最適な体制だということです。ファミリーオフィスを組織運営するゴールは、この体制を作り、資産を守っていくことです。無意識に、こういった体制を作り資産管理を行っている方は、資産管理がうまくいっています。しかし、実際には多くの方はこの体制で資産管理を行なっていないため、どうしてもいろいろな問題に巻き込まれ流ケースが多くなります。
ファミリーオフィスの優れた点は、エキスパートやウェルスマネージャーにより課題が分析され、各プランニングが検討され、実行されていくというフローがあることです。しかし、このフローが存在しない資産管理は、金融機関やIFAなどから提案された「営業型提案」の提案を課題解決案と勘違いし、そのまま独断で実行したことで、スクリーニング(仕分け)する機能が働かず、いろいろなトラブルが起こってしまいます。
各プランニングを進めるために、ファミリーオフィスのような体制で、明確な判断を下せる体制づくりが、資産を守っていくために不可欠だといえます。資産管理は「型」がとても重要だということです。
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