渋谷:本日は、前回に続きビザのエキスパートである足利さんに、オーストラリアのビザについてお話をお聞きします。よろしくお願いします。
足利:よろしくお願いいたします。
[ 目次 ]
渋谷:たまに、オーストラリアのビザを取りたいと相談を受けることがあります。オーストラリアのビザが取りやすいのか、取りにくいのかも含め、いろいろとお話を聞きたいと思います。お聞かせいただけますか?
足利:弊社はオーストラリアが専門になりますから、一番お手伝いしています。特に、このファミリーオフィスドットコムにお問合せに来る方が利用できそうなビザは、三つあると思います。
一つはプチ移住してみたい、それからワ―ケーションしてみたい人たちのための、長期の観光ビザです。これは1年のうち半分をオーストラリアに滞在することができるので、ゴールドコーストの海を眺めながら滞在することも可能になります。
二つ目は教育移住を考えている人たち向けです。未成年のお子さんが学生ビザを取って、それにお母様、もしくはお父様が帯同して、保護者として行くガーディアンビザがあります。これだと、実はお子さんが18歳になるまでずっとお母様、もしくはお父様、片親が一緒に滞在できます。ですから、教育に熱心な方たちが一番利用しているのは、このビザです。
三つ目が投資家ビザです。一定の金額を投資することで永住権を取ります。オーストラリアに永住したい人たちにとって、一番ダイレクトに行える申請です。
渋谷:オーストラリアは、ビザを取りやすいのですか?
足利:取りやすいといえば難しいですが、全部オンラインで申請できることが最大の魅力だと思います。かなり手間が省けるというか、全部インターネットで申請できますから。そういった点で、長期の観光ビザ、学生ビザ、ガーディアンビザ辺りまでは自分で申請している人たちが多く、非常に取りやすいかと思います。
しかし、三つ目の投資家ビザだけはほとんどご自身で申請する必要はないため、専門のビザのエージェントさんと一緒に連携して、申請することが適切かと思います。
渋谷:申請のときはWebだけでいいかと思いますが、最後の面接のようなものはあるのですか?
足利:実は何もないのです。アメリカは、今も学生ビザでは面接がある国です。面接といっても、実際のところは指紋を取ることが最大の目的ではありますが。オーストラリアは、全部Webで完結します。まず面接というプロセスが、本当にないと思った方がいいです。
渋谷:ということは、今のコロナの状況においても、審査自体は普通に行われているという認識で合っていますか?
足利:もちろん進んでいます。ただ、オーストラリア国籍やオーストラリアの永住者の人たちを守ることが第一優先のため、どういった人たちを国に入れて経済回復しなければいけないか、常にどのビザのクラスを最優先事項にするか、3カ月に1回ぐらいレビューしながら、細かい統計を基にビザの審査を進めています。
渋谷:分かりました。オーストラリアは意外とWebで申請ができるということですが、ビザを取る以外のお話で。オーストラリアは、なぜ日本人に人気があるのですか?
足利:一つは季節が逆であることが魅力だと思います。寒い冬に暖かいゴールドコーストで過ごすことに憧れて行く人もたくさんいます。ハワイも行くけれども、冬はゴールドコーストにと考え、オーストラリアに行く人も多いです。
あとはライフスタイルです。何となく想像できるかと思うのですが、アメリカに比べても、もう少しゆったりとしたライフスタイルがあったり、メルボルンは世界で最も住みやすい国ランキングの7年連続でトップになっていたりと、そういう意味でワークライフバランスがとても取れている国です。
もう一つは、時差がないことが大きいです。日本の方たちにとって、日本にいる家族の人たち、それからビジネスの人たちとも本当にすぐに連絡が取れることで、非常に人気が高いと思います。
渋谷:私の知っている方も、お子さんの教育で実際に行かれる方が多いのですが、教育水準もすごく高いのですよね? 大学とか。
足利:QSランキングが毎年発表されますが、トップ100の中にオーストラリアの大学は大体毎年8個ぐらいは必ず入っています。日本の大学は一番高くて、多分東大などの33位ぐらいだと思うのですが、グローバルで見ると日本の大学はとても少ないです。そこがメリットです。
足利:それから、オーストラリアの大学を卒業して、非常に活躍できるのはアジアパシフィックです。例えばシンガポールとか。ですから、大学をオーストラリアで卒業しても、シンガポールやアメリカで活躍している人もたくさんいらっしゃいます。
渋谷:シンガポールに住んでいて、お子さんがオーストラリアの大学へ行ったというお話もよく聞いていました。そういうケースも多いのですよね?
足利:多いです。高校までは、シンガポールにはたくさんインターナショナルスクールがあるのですが、大学となるとシンガポール国立大学ぐらいしかないので、皆さん大学のタイミングで移住も考えますし、そのときにオーストラリアを目指します。それは日本人に限らず、特にシンガポールの人たちは非常に多いです。
渋谷:アメリカと同じように、オーストラリアも教育を中心として移住や留学を考える方が多いという感じですよね?
足利:そこが最大のポイントではないでしょうか。グローバルでも、ライフスタイルも重要ですが、お子さんが未成年の家族に関する最大の関心ごとは、教育になると思っています。
渋谷:教育がすごく人気で、しかもビザの種類が主に三つあるとのお話をお聞きしました。オーストラリアに移住する方に、こういうところはポイントだということがあれば、教えてほしいです。
足利:非常に特徴的なのは、アメリカのように州があることです。例えば、シドニーはニューサウスウェールズ。メルボルンはビクトリア州。ゴールドコーストはクイーンズランド州にありますが、州によってルールが違う、州政府の力がかなり強いです。
投資家ビザとなってくると、州別に申請をすることになります。これは他の国にはないプロセスです。申請もそうですし、取ればそこに住まなくてはなりません。申請する前にどこに住みたいかを明確にして、それから少し考えた方がいいというのが一つのアドバイスです。
渋谷:一度ロングバケーションなどを取り、関係を確認した上で、州を定めていくことがコツですね。
足利:それがとても重要です。観光でもいいので、1回行ってみると非常にいいと思います。基本的に、行ってここに住んでみたいと思うところが一番いいと思います。そうしないと、長続きしません。
学校も、州によって全然違います。公立も私立もありますが好みもあります。他の国になくて、オーストラリアに特徴的となると、州別のいろいろな違いがあることは知っておいた方がいいと思います。
渋谷:分かりました。とても参考になりました。私も相談を受けたときには、それをお伝えしたいと思います。本日はありがとうございました。
足利:ありがとうございました。
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