先週NASDAQが下落しました。その下落の背景には、SOX指数と言われる半導体指数の下落が大きく関係しています。
この流れが今後も続くのかどうか。他の株式に先行する指標も下落をしていることが確認できていますので、そういった影響が今後続くのかどうかを今日は分析したいと思います。最後までご覧頂ければと思います。
[ 目次 ]
まずは今週の注目点をお伝えします。
一番の注目は12日に発表される消費者物価指数です。ただ、CPIが高くなることは、ある程度マーケットにはもう認知されています。かつ、それに対してFRBがちゃんと向き合っていくこと、それを沈静化していくことは、前回のFOMCの議事要旨等で確認もできています。FRBメンバーの中でもハト派と言われるメンバーがタカ派になっていることから、そういったものを放置しないことも予想されます。
今回のCPIの数字を見てマーケットが大きく反応するというより、今後のCPI見通しが下がってくるかどうかに注目が集まっています。そこも含め、しっかり確認する必要があります。
13日にはPPI生産者物価指数が出てきます。私は、こちらが注目かと思っています。生産者が仕入れている価格が少し落ち着いてくると確認できれば、いずれCPIも下がってくることになります。このCPIとPPIはセットで見ていきたいと思っています。
さらに、ミシガン大学の消費者信頼関数も発表されます。特に消費者の感覚としてインフレが高止まりしているようであれば、より沈静化のスピードを高めなければとの政治的背景も出てきます。高く出るようであれば、よりタカ派的政策にシフトしてくるとも考えられます。そういった材料を見ていく必要があります。
今週1週間は、金融機関を中心に決算発表が始まります。ゴールドマン・サックス、モルガンスタンレー、シティ・グループも始まってきます。前回は人件費がかさみ業績に悪影響を与えるとコメントされていましたが、それが今回以降加速するのか、ある程度コントロールできているのかにも注目が集まります。
結構重要な経済指標が並んでくる中、SOX指数が今後どう影響するのかを見ていきたいと思います。
こちらは年初来のSOX指数、S&P500を比較しています。S&P500が年初来で約6%近く下落する中、SOX指数はさらに大きく下落しています。22.52%の下落と、今年に入って半導体を中心としたSOX指数が下がる状況が続いていました。
皆さんに見ていただくのは、こちらになります。先週1週間SOX指数が大きく下落をしています。先週1週間のS&P500下落率は約1.14%に対し、SOX指数は7.39%とかなり大きく下落しています。
これから景気が悪くなるのか、良くなるのかを先行して表すようなSOX指数が、なぜ下落したのでしょうか。実はある1人のアナリストの見通しが非常に影響を与えています。
こちらをご覧ください。
投資会社でも有名な半導体アナリスト、ウイリアム・スタイン氏が7日夜に発表したものです。それによると、メーカーの需要が「突然マイナスにシフト」している、つまり半導体の需要が非常に減ってきているとのことです。
今まで半導体が上がってきた背景は需要が高い中での供給不足がありました。しかし、今回はコロナによってものが作れないという話ではありません。今回はメーカー側の需要が細ってきているので、仕入を抑えることが確認できたと言っているのです。
今回これから決算が出てくる1-3月期の決算は、非常にいい業績となると言われていますし、4-6期も好調に推移する可能性があります。
ただし、彼が仕入れた情報によると、7月以降~23年の見通しに対して亀裂が生じ始めているとコメントしています。
その結果として、将来のガイダンスではNvidia、AMD、Intelといった半導体大手のオーダー数の減少に確かな証拠を見つけたとして、目標株価を下げています。
Nvidiaは347ドルから298ドルと大胆な引き下げとなっていますし、AMDも144ドルから111ドルです。Intelに関しても、53ドルから49ドルとなっています。かなり成長が鈍化していると言うのが正しいです。
成長が鈍化、収益性が低下してPERを引き下げざるを得ないと半導体全体に言えると、ウイリアム・スタイン氏は言っているのです。そこで、先ほど見てもらったようにSOX指数が大きく下落をしてきています。
皆さんに見ていただきたいのはこちらです。
SOX指数は年始、1月3日の動画でもお伝えしましたが、NASDAQと非常に相関性が高くなっています。青がSOX指数、NASDAQが黄色となります。
これも見ても分かる通りSOX指数が下げてきていることもあって、NASDAQも下げてきています。今後SOX指数が下がってくると、NASDAQは厳しい状況になってきます。
また、実質金利の上昇や金利の上昇も、NASDAQにとっては難しい状況となってきています。高いPERを正当化していくには、少し難しい状況に今週以降なるのではないかと注目しておく必要があります。
こういったNASDAQ、株式に先行するSOX指数について、あるアナリストが見通しを下げて大きく下落しました。先週1週間NASDAQが下がった一番大きな背景となっています。
実はもう一つ、先行指標として有名なダウ・ジョーンズの輸送指数(DJT)も下落していることに少し注目しています。
景気がいいときは、ものを動かそう、注文が多いので注文しなければならないこともあり、輸送コストが上がるとの話が出ていました。しかし、景気がいいにもかかわらず、ものを動かそう、輸入したり輸出したり、国内で運送したりというコストが下がってくる、人の移動が減ってくるとどうでしょうか。こういった輸送セクターも下がってくることになります。
今回見ていただきたいのはそちらになります。実はSOX指数と同じように下がっていることが確認できます。こちらをご覧ください。
先週1週間の動きを見ると、S&P500の対し、DJT指数、SOX指数が似たような動きとなり、かなり先行して下がっています。年初来から見ても、明らかに兆候が見えてきます。
年初来からずっと輸送指数が上がり続け、株価をけん引し続けていました。しかし、景気鈍化が少し見えてきてからは、DJT指数が下がってきています。SOX指数と同じように、かなりの下げ幅です。
DJT指数とは、繰り返しになりますが景気に対する先行指標としても有名です。SOXの下落はアナリストが言ったから下がったということもありますが、需要面で景気に少し陰りが出てきていることが、この二つの指標から見てとれます。
今週からの決算ガイダンスにおいて、これを払拭できるかできないのかにすごく注目が集まります。これが払拭できないようであれば、株価は下圧力の方が強そうだと見えてきました。
さらにこちらをご覧ください。
こちらはディフェンシブ株とシクリカル銘柄の割合がどうなっているかを表したものです。
※シクリカル銘柄:景気敏感株
このチャートが上に行けば行くほど、景気敏感株が不景気に強い株より上昇していることを意味します。チャートが下がると、景気敏感株のパフォーマンスがディフェンシブ銘柄よりも悪くなっていることを示します。つまり、ディフェンシブにお金が集まり、景気後退を懸念していることを表します。
この比率を見ると、21年の後半から売上が非常に強く意識されたところから、ディフェンシブ銘柄の方にお金が回ってきていました。前回のリバウンドの局面においては、景気敏感株が、この1ヶ月上がっていました。
しかし、既に景気敏感株の方が下がり、ディフェンシブ銘柄にお金が集まってきています。株式市場も金利に遅ればせながら景気後退を感じ取っていることが、このセクターローテーションによって確認できることが分かってきました。
最後に見ていただきたいのが、こちらです。
こちらは年初来からの動きです。見ての通りS&P500を上回っているものが黄色、ディフェンシブ株になってきています。一方、この2週間急激に減速してきたのはGJT指数とSOX指数という、景気に敏感な先行指標が下落しています。
今後もこの流れが続くようであれば、株価全体の圧力となってきます。14日には、医療関係のディフェンシブ銘柄で有名なユナイテッド・ヘルスのようなところが決算発表を予定しています。それが買われ、SOX指数が下がっていくようなことがあれば、よりディフェンシブなところにお金が流れてきていると確認できます。
そういった決算内容を見ながら、こういったセクターにお金がどう回っていくかということで、株式が半年後に何を見通しているか、景気動向をどういう見通しているかが見えてきます。今回は決算発表で個別銘柄を見るだけではなくて、どのセクターが強いかに注目してもらえれば、今後の株価動向が見えてくると思います。
ぜひこういったことを参考に、マーケットに臨んでいただきたいと思います。本日も最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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