※予想はブルームバーグ
2024年6月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が20.6万人増と市場予想(19.0万人増)をやや上回る結果となりました。非農業部門雇用者数の増加は一見すると堅調に見えますが、過去2カ月分の合計で11.1万人の下方修正が行われており、雇用市場の勢いは減速しています。また、平均時給の伸びも前年同月比で3.9%増となり、こちらも前月の4.1%増から減速しています。これらのデータは、労働市場が冷え込みつつあることを示していると判断できます。
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失業率は前月の4.0%から4.1%へと上昇しました。この上昇は、市場予想の4.0%を上回る結果となり、2021年11月以来の高水準です。失業率の上昇は、求人件数の減少や失業保険申請件数の増加など、他の労働市場関連指標とも整合しており、労働市場の緩みを示しています。セントルイス連銀の「サーム・ルール」によれば、直近3カ月間の平均失業率が過去1年の最低値を0.5ポイント上回ると、景気後退の兆候とされます。6月のサーム・ルールは0.43ポイントとこの基準(0.5ポイント)に近づいており、景気後退のリスクが高まっているといえます。そのため、金利低下はハイテク買いという連動がいつまで続くか注目です。
今回の6月の雇用統計は、FOMC(連邦公開市場委員会)に9月の利下げの確信を与える可能性があります。インフレ率が依然として目標を上回っているものの、労働市場の冷え込みが顕著だと判断できるからです。6月の雇用者数増加の約4分の3は、ヘルスケアと政府部門によるものでした。懸念される兆候の一つは、過去3年余りで最も減少した臨時雇用の減少です。製造業の雇用者数は8,000人の減少と、2月以来の大幅な落ち込みとなりました。平均時給の伸びも鈍化し、前年同月比で3.9%増と過去3年間の最低水準にとどまっています。
雇用市場の持続的な減速は、最近のインフレ鈍化と相まって、米金融当局が早ければ9月にも利下げを行う可能性を高めています。市場関係者は今後数カ月の雇用統計や他の経済指標に注目し、景気の動向を慎重に見守る必要があるでしょう。FRBメンバーが、今の雇用鈍化を利下げの理由として考えられるか、それとも更なるインフレ傾向の減速を確認するまで判断を伸ばすか、来週以降のイベントに注目が集まります。来週は、パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言、米6月消費者物価指数(CPI)、米6月生産者物価指数(PPI)、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数、バーFRB副議長、ボウマンFRB理事、シカゴ連銀グールズビー総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、セントルイス連銀ムサレム総裁などの用心発言など、かなりの材料が並んでおり注目の1週間です。
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