【日本株・ドル円 週間見通し】 10月5日号(10月7日〜10月11日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月5日号(10月7日〜10月11日)

日本株先週の振り返り

先週の日本株市場は、大きな動きがありました。9月27日に石破氏が第28代自民党総裁選に選出されたことで週初めに日経平均株価は4.8%もの大幅な下落を記録し38,000円を割り込みましたが、10月27日に控える衆議院選挙を前に、石破氏が財政ハト派への転換を示したことで為替が円安に傾き、一時1ドル147円台まで進行しました。この影響を受けて、日本株は反発傾向を示しましたが、為替の影響を強く受けて株価の変動幅が大きく、市場の不安定さが続きました。ただ、日銀は「経済と物価の見通しが変わらない限り、追加の利上げを継続する」との方針を維持しており、今後の株式市場の動向は、衆院選後の政策に大きく依存する可能性があります。一方で、海外市場の影響も大きく、米国経済の指標発表や地政学的リスクが日本市場にも波及しました。

日本株今週の見通し

今週の日本株市場では、アメリカの雇用統計の結果を受けたFRBの政策動向が注目されます。先週発表された雇用統計では、予想を上回る結果が示され、米経済が底堅いことが再確認されました。これにより、FRBによる大幅な利下げ期待は後退し、0.25%の利下げにとどまる可能性が高まりました。この影響で、米株式市場ではダウ工業株30種平均が反発し、9月30日以来の最高値を更新。また、日経平均先物が大阪取引所の夜間取引で上昇し、今週は4万円の大台を目指す動きが注目されています。日本国内では、石破内閣の政策や日銀の金融政策への注目が集まっています。

また、今後の政治スケジュールは、9日に衆議院解散、27日に衆議院議員選挙の投開票で進む予定になっています。過去の解散総選挙前は、「選挙は買い」というアノマリーからの期待感で株価が上昇する傾向が強いため9日から27日までのメインシナリオは株高になりそうです。実際、1969年以降の解散から総選挙投票日までの株価はすべて上昇しています(17回の総選挙)。ただし、注意すべき点は、選挙後の株価は与党の議席数などが影響を与えまちまちのパフォーマンスになっていることには要注意です。

そうなると、今回の選挙においては、政治資金収支報告書に記載漏れがあった議員を公認するのかどうかにより株価は大きく影響を受ける可能性があります。これらが今週の株価動向を左右する要因となるでしょう。

来週の為替注目点

ドル円相場は先週、石破ショック後の安値141.65円を底に反転し、金曜は雇用統計を受けて一時148.80円まで急伸しました。約7円もの急騰です。石破首相の「現在は追加利上げをするような環境にはない」、植田日銀総裁や野口日銀審議委員からも利上げの先送りを示唆する発言もあり、日銀の過度な利上げ期待が後退し、さらに米国でも、パウエルFRB議長が「我々が利下げを急いでいるとは感じていない」とコメントし、米FRBの利下げ期待も抑制されているため、ドル円相場は円キャリートレード再開への期待感から上昇基調を維持しています。

来週の注目は、10月10日(木)に予定されている米9月の消費者物価指数の発表です。しかし、FRBは「物価の安定」から「雇用の最大化」へ完全に軸足を移したため、あまり材料視されない可能性がたかく、ドル円への影響は限定的と考えられ、市場は大きなサプライズがない限り、ドル売りへの反応は限定的となる見込みです。

中東情勢の緊張が続く中、地政学リスクが高まる場面でも「リスク回避の円買い」より「有事のドル買い」が強まる傾向があるため、ドル円相場が150円台に到達するかどうかが焦点となるでしょう。ただ、米大統領選の両候補の石油政策はOPECの増産のインセンティブとなり、一方で中東情勢の緊迫が高まれば一時的な原油需要が高まるため、原油見通しは難しくなっています。もし、中東情勢が落ち着き原油価格が供給過多により下落に転じる場合は、米国金融政策にも影響を与え、ドル高のトレンドにも影響を与える可能性には要注意です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

米国株や米金利見通しについては毎週月曜日に無料のメルマガで配信しています。
ご興味のある方は、以下のURLよりご登録ください。

メールマガジンの登録はこちら

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

世界が注目するBRICSサミットの概要 2024年10月22日から24日まで、ロシアのカザンでBRICSサミッ …

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

中国株市場が再び脚光を浴びています。国慶節連休が明けた直後から上海総合指数は連日上昇し、10月8日には上海総合 …

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月12日号(10月15日〜10月18日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月12日号(10月15日〜10月18日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の株 …

米大統領選まで残り1ヶ月!ドル円相場はどう動く?注目の影響と予測を解説!

米大統領選まで残り1ヶ月!ドル円相場はどう動く?注目の影響と予測を解説!

米大統領選まで1ヶ月を切りました。2024年11月5日に投開票、2025年1月20日に就任式と約3ヶ月後には新 …

衆議院の解散・総選挙が株式市場や為替市場に与える影響

衆議院の解散・総選挙が株式市場や為替市場に与える影響

10月9日に衆議院が解散し、27日の総選挙が近づく中、市場では「選挙は買い」というアノマリーが再び注目されてい …

【米国株】もしもソフトランディングが実現した場合、S&P500とセクターを選択して投資をする場合、どちらがリターンを狙えるのか?【10/7 マーケット見通し】

【米国株】もしもソフトランディングが実現した場合、S&P500とセクターを選択して投資をする場合、どちらがリターンを狙えるのか?【10/7 マーケット見通し】

本日は『ソフトランディングの場合、S&P500とセクターへの投資のどちらがリターンを狙えるか』をお伝え …

【日本株・ドル円 週間見通し】 9月29日号(9月30日〜10月4日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 9月29日号(9月30日〜10月4日)

[ 目次 ]1 日本株今週の振り返り2 来週の日本株市場の見通し3 来週の為替注目点 日本株今週の振り返り 今 …

【米国株】‌‌利下げ開始後に期待できる投資対象とは【9/24 マーケット見通し】

【米国株】‌‌利下げ開始後に期待できる投資対象とは【9/24 マーケット見通し】

本日は、米国株利下げ後に期待できる投資対象をお伝えします。先週のFOMCにおいて0.5%の利下げが決定されまし …

ついにFRBが0.5%の利下げ決定。FRBが示す新たな景気シナリオが意味すること

ついにFRBが0.5%の利下げ決定。FRBが示す新たな景気シナリオが意味すること

2024年9月18日、米連邦準備理事会(FRB)はFOMCで予想を上回る0.5%の利下げを決定し、市場に衝撃を …

米8月CPI発表~物価上昇の勢い鈍化でFRBの次の一手は?

米8月CPI発表~物価上昇の勢い鈍化でFRBの次の一手は?

米8月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で2.5%の上昇となり、市場予想の2.6%を下回る結果となりました …

【米国株&ドル円】‌‌過去の利下げ開始後のドル円相場は、ドル高?それとも円高?【9/9 マーケット見通し】

【米国株&ドル円】‌‌過去の利下げ開始後のドル円相場は、ドル高?それとも円高?【9/9 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株とドル円です。 一般的に米国の利下げ局面では、米金利が下がるため、ドル安/円高になる、とい …

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

6日に発表された8月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で14万2,000人増加したものの、市場予想を …

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株と金価格です。 今月17~18日にはFOMCが開催されます。そこでの利下げをマーケットは織 …

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

8月30日に米商務省から発表された7月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.5%の上昇となり、物 …

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

米半導体大手エヌビディアの2024年5~7月期決算は、売上高が前年同期比約2.2倍の300億ドル、純利益が2. …

おすすめ記事