日本株先週の振り返り
先週の日本株市場は、大きな動きがありました。9月27日に石破氏が第28代自民党総裁選に選出されたことで週初めに日経平均株価は4.8%もの大幅な下落を記録し38,000円を割り込みましたが、10月27日に控える衆議院選挙を前に、石破氏が財政ハト派への転換を示したことで為替が円安に傾き、一時1ドル147円台まで進行しました。この影響を受けて、日本株は反発傾向を示しましたが、為替の影響を強く受けて株価の変動幅が大きく、市場の不安定さが続きました。ただ、日銀は「経済と物価の見通しが変わらない限り、追加の利上げを継続する」との方針を維持しており、今後の株式市場の動向は、衆院選後の政策に大きく依存する可能性があります。一方で、海外市場の影響も大きく、米国経済の指標発表や地政学的リスクが日本市場にも波及しました。
日本株今週の見通し
今週の日本株市場では、アメリカの雇用統計の結果を受けたFRBの政策動向が注目されます。先週発表された雇用統計では、予想を上回る結果が示され、米経済が底堅いことが再確認されました。これにより、FRBによる大幅な利下げ期待は後退し、0.25%の利下げにとどまる可能性が高まりました。この影響で、米株式市場ではダウ工業株30種平均が反発し、9月30日以来の最高値を更新。また、日経平均先物が大阪取引所の夜間取引で上昇し、今週は4万円の大台を目指す動きが注目されています。日本国内では、石破内閣の政策や日銀の金融政策への注目が集まっています。
また、今後の政治スケジュールは、9日に衆議院解散、27日に衆議院議員選挙の投開票で進む予定になっています。過去の解散総選挙前は、「選挙は買い」というアノマリーからの期待感で株価が上昇する傾向が強いため9日から27日までのメインシナリオは株高になりそうです。実際、1969年以降の解散から総選挙投票日までの株価はすべて上昇しています(17回の総選挙)。ただし、注意すべき点は、選挙後の株価は与党の議席数などが影響を与えまちまちのパフォーマンスになっていることには要注意です。
そうなると、今回の選挙においては、政治資金収支報告書に記載漏れがあった議員を公認するのかどうかにより株価は大きく影響を受ける可能性があります。これらが今週の株価動向を左右する要因となるでしょう。
来週の為替注目点
ドル円相場は先週、石破ショック後の安値141.65円を底に反転し、金曜は雇用統計を受けて一時148.80円まで急伸しました。約7円もの急騰です。石破首相の「現在は追加利上げをするような環境にはない」、植田日銀総裁や野口日銀審議委員からも利上げの先送りを示唆する発言もあり、日銀の過度な利上げ期待が後退し、さらに米国でも、パウエルFRB議長が「我々が利下げを急いでいるとは感じていない」とコメントし、米FRBの利下げ期待も抑制されているため、ドル円相場は円キャリートレード再開への期待感から上昇基調を維持しています。
来週の注目は、10月10日(木)に予定されている米9月の消費者物価指数の発表です。しかし、FRBは「物価の安定」から「雇用の最大化」へ完全に軸足を移したため、あまり材料視されない可能性がたかく、ドル円への影響は限定的と考えられ、市場は大きなサプライズがない限り、ドル売りへの反応は限定的となる見込みです。
中東情勢の緊張が続く中、地政学リスクが高まる場面でも「リスク回避の円買い」より「有事のドル買い」が強まる傾向があるため、ドル円相場が150円台に到達するかどうかが焦点となるでしょう。ただ、米大統領選の両候補の石油政策はOPECの増産のインセンティブとなり、一方で中東情勢の緊迫が高まれば一時的な原油需要が高まるため、原油見通しは難しくなっています。もし、中東情勢が落ち着き原油価格が供給過多により下落に転じる場合は、米国金融政策にも影響を与え、ドル高のトレンドにも影響を与える可能性には要注意です。
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