日本株先週の振り返り
先週(3月10〜14日)の日経平均株価は上昇し、前週末比165.93円(0.45%)高の3万7053.10円で取引を終え、3万7000円台を回復しました。週明け10日は前週の急落からの反発がありましたが、トランプ前大統領の景気後退言及が重荷となりました。11日には米国市場での関税政策による景気減速懸念を受け、一時3万6000円を割り込む場面もありましたが、その後下げ幅を縮小しました。12日は反発するも3万7000円付近で上値が重くなり、米国の鉄鋼・アルミ関税発動に対するEUやカナダの対抗措置、さらにトランプ氏の追加関税示唆により貿易摩擦激化への懸念が広がりました。13日は米ハイテク株高を受けて買いが先行したものの、植田日銀総裁の発言を受けた円高進行で後場にかけて下落。週末14日はメジャーSQの影響やアドバンテストの強い値動きが投資家心理を支え、日経平均は上昇しました。
日本株今週の見通し
今週(3月17〜21日)の日経平均株価は、3月18〜19日の日銀金融政策決定会合と米FOMCが焦点となります。市場はこれらの重要イベントを前に様子見姿勢が強まるでしょう。日経平均は3月13日に一時3万7326.27円まで上昇しましたが、2月中旬以降の下降トレンドラインを抜けきれず、調整局面が続いています。20日は祝日で休場のため、週前半の動向に注目が集まります。
日銀・FOMCともに現行の金融政策維持がコンセンサスですが、日銀の政策スタンスやFOMC後の米国市場の反応が日本株に影響を与えるでしょう。また、ハイテク株の動向が日経平均の方向性を左右する要因となりそうです。個別銘柄では防衛関連株の物色継続や3月末の配当権利取りを意識した動きが期待されます。イベントリスクを考慮した慎重な取引が求められる週となるでしょう。
日経平均の予想PERは3月14日終値ベースで14.94倍です。また、TOPIXの予想PERは、14.1倍と過去5年、10年平均を下回る水準であることから徐々に割安感が意識される水準といえます。しかし、海外投資家動向は2024 年 6 月以降の売越基調が継続しています。現在のトランプ米大統領の関税政策や日本を特別扱いしないスタンス、また、日銀の利上げ可能性に伴う円金利上昇を踏まえると、海外投資家の売り越し基調に転換きっかけがなかなか見えてこないため、需給の好転が期待できない状況が続きそうです。むしろ、日米の金融政策やトランプ砲へのマイナスの感応度が高まっている日経平均については、PERが14倍程度まで低下することが意識されます。現在の日経平均の予想EPSが2450円程度であるため目先の下限を34000円台に設定している投資家が多いようと思われます。先週の米国株の持ち直しで目先は日本株も買い戻される局面があると思いますが、引き続き上値は重たい展開が続くと思われ慎重な判断が求められそうです。
今週の為替注目点
ドル円は米関税政策による景気後退懸念が重荷となり、米国株や金利動向を睨んだ不安定な値動きが続く見込みです。3月に入り、世界的な貿易摩擦への警戒感からダウ平均は7%超、ナスダック指数は約9%下落しており、リスク回避の動きが広がっています。来週もトランプ前大統領の発言が市場の変動要因となるでしょう。3月18〜19日には日銀金融政策決定会合とFOMCが開催され、両会合とも政策金利の据え置きが予想されていますが、植田日銀総裁とパウエルFRB議長の会見内容に注目が集まります。日銀については春闘の賃上げ要求が6%超となったことで早期利上げ観測が浮上し、国内長期金利は2008年以来の高水準にあることから、日銀のターミナルレート(政策金利の最終到達地点)の不透明感が市場の不安要因となっています。FOMCでは四半期ごとの「経済・金利見通し」が発表され、6月利下げ開始・年内3回の利下げが予想されています。パウエル議長は「データ次第」の慎重姿勢を維持する可能性が高いものの、米株安が続く中での発言変化にも注目です。
これを踏まえたうえで今週のドル円は緩やかに円安方向に進む可能性があります。日米の金融政策とトランプ大統領次第の展開が続くのは間違いありませんが、今週はウクライナ戦争に関してロシア側からも停戦合意が得られれば、大口投機筋(IMM通貨先物ポジション)で円が133,902枚の買い持ちとなっているため、急速に円買いポジションを解消する流れが加速する可能性が先週までにないNewな材料であるためモメンタムの転換に注意が必要です。
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