事業の成功に注力し、一代で巨額の資産を築いた富裕層が直面するのが、「金融知識の不足」と「リスクの過剰な集中」です。本記事では、自社株の価値を含め総資産75億円(キャッシュ25億円)を保有する60代の事業家が、独自の資産運用で陥ったリスクの罠と、ファミリーオフィスが構築した「守りの戦略」について解説します。
[ 目次 ]
1. 相談者の課題:独自の運用哲学と「コモディティ過多」の罠
今回の相談者様は、60代前半の事業家で、役員報酬と事業売却等にて得た25億円のキャッシュを運用されていました。金融経済に強い関心を持ち、独自の運用哲学を持っていたものの、そのアロケーションにはやや偏りがありました。
1-1. 金融機関への不信感と独自の運用によるリスク増大
金融経済に興味がありながらも、金融機関からの提案を心から信用できないため、第三者の意見を求められていました。特に、コモディティ(金、銀、プラチナなど)の割合が非常に多く、資産全体のリスク総量(ブレ幅)が大きい状態でした。これは、今後相場が急変した際に、資産が大きく下落する可能性を内包していました。
1-2. 課題:知識不足とリスク管理の徹底
ご本人が「リスク管理の知識が不足している」と自覚しており、「どのように株式や債券などの資産を組み入れ、資産全体のリスクをコントロールすべきか」という点が最大の悩みでした。

2. 課題解決へのステップ:コア・サテライト運用戦略の導入
私たちは、相談者様の資産状況とリスク許容度を詳細に分析し、「コア・サテライト運用」という戦略を導入することで、安定性と成長性の両立を目指しました。
2-1. 【STEP 1】現状分析とリスク総量の可視化
まず、現在の資産アロケーションを分析し、リスクが高い資産(ブレ幅が大きい資産)が多いことをご理解いただき、資産全体のリスク総量を定量的に算出しつつ、今後起こり得る下落幅を想定する必要があることをお伝えしました。
2-2. 【STEP 2】コア・サテライトの概念導入と安定化
- コア・アセットの構築: 資産の大部分を占めるコアを、極めて保守的なアセット(低リスクの債券、分散型ETFなど)で安定させる必要性を説明しました。
- サテライトの定義: コアを強固に作り込めば、残りのサテライト部分で十分にリスクを取れること、つまり選好されているコモディティや個別銘柄やテーマ投資も戦略的に可能であることを理解いただきました。
2-3. 【STEP 3】知識の補完と自走体制の構築
独自の運用哲学を持つ相談者様に対し、一方的なアドバイスではなく、「経済見通しや資産に関する考え方」について第三者の客観的な意見を取り入れる「コーチング」を提供。資産全体のリスク総量(各資産想定リスク)でリスクをコントロールするという考え方を伝授し、ご自身で運用を判断できる体制を構築しました。
3. まとめ:守りを固めて初めて「攻め」は成立する
今回の事例は、大きな資産を築いた事業家であっても、リスク管理の知識と中立的な第三者の意見がなければ、資産運用の継続は難しいことを示しています。資産全体のリスク総量を把握し、コア(守り)を強固にすることで初めて、サテライト(攻め)の運用が成立します。
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