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【相続税】収益不動産の評価の盲点:路線価と市場価格の「乖離リスク」を専門家が解説

カテゴリ: ファミリーオフィス型相続対策 > 相続税評価・申告
【相続税】収益不動産の評価の盲点:路線価と市場価格の「乖離リスク」を専門家が解説

相続税申告における収益不動産(賃貸アパートなど)の評価は、多くの資産家が見落としがちな盲点です。国税庁が規定する路線価評価は、その不動産の市場における「収益価格」を反映していないケースが多く、結果として、評価額通りの金額では市場で売却できない「不良資産」を相続するリスクを招きます。

本記事では、この路線価と市場価格(時価)の間に生じる「乖離リスク」を不動産鑑定士の視点から分析します。この知識は、相続税の申告だけでなく、資産の真の価値売却の難易度を把握するために不可欠です。

1. 収益不動産の評価の矛盾:路線価と収益価格の決定的な違い

相続税の財産評価基本通達(路線価方式)では、土地(貸家建付け地)と建物は別々に評価され、その合計額で評価が決まります。しかし、この評価方法が、市場の現実(収益価格)と大きく乖離することがあります。

1-1. 路線価方式による評価の仕組み

路線価方式は、以下の計算で評価額を算出します。

路線価評価額 = 土地価格 + 建物(固定資産税評価額×0.7など)

この評価は、税務上の公平性を図るための基準であり、その不動産の「家賃収入を生む力」「売却によってどれだけ利益が出るか」という市場価値(時価)を直接的に反映していません。

1-2. 市場価値を決定する「収益価格」の視点

市場において収益不動産(賃貸アパートなど)を買うのは、「いかに利益を確保できるか」を考える投資家だけです。この投資家が判断する価格を収益価格と呼び、主に以下の要素で決まります。

  1. 年間家賃収入(賃料の安定性)
  2. 空室率家賃下落のリスク
  3. 今後の維持修繕費(築年数によるコスト増)
  4. 還元利回り(リスクを考慮した投資家が求めるリターン率)

まとめ:路線価評価は税務上の基準であり、収益価格は市場の現実(家賃収入と売却可能性)です。評価額と市場価格が大きく乖離している物件は、相続後に売却が困難な「不良資産」となるリスクがあります。

2. 収益価格の算定方法:DCF法と直接還元法の考え方

収益価格を算定する専門的な手法として、DCF法(Discounted Cash Flow法)や直接還元法が用いられます。この考え方を知ることで、不動産の真の価値が見えてきます。

2-1. 直接還元法による簡便的な市場価格の試算(STEP形式)

DCF法は複雑ですが、その考え方は以下の「直接還元法」に近似します。

  1. 【STEP 1】年間純収益の算出: 年間家賃収入から、空室率と経費(修繕費など)を差し引いた、実質的な年間純収益を計算します。
  2. 【STEP 2】還元利回りの設定: 投資家がその地域・物件のリスクを考慮して求める利回り(還元利回り)を設定します。
  3. 【STEP 3】収益価格の算出: 年間純収益を還元利回りで割ることで、収益価格を算出します。

収益価格 = 年間純収益÷還元利回り

直接還元法を用いて、年間純収益と還元利回りから収益価格を算出する市場価格の簡便的な試算手順を解説します。

2-2. 地方物件に潜む「利回り10%」でも売れない真実

地方都市の賃貸アパートなどでは、市場の供給過剰や人口動態、周辺の新築ライバルの影響を考慮すると、投資家が求める還元利回り(リターン)が10%といった高い水準になることがあります。

  • : 路線価評価では9,375万円と評価されても、収益価格(還元利回り10%で試算)では7,056万円となり、評価額が市場で通用しないという現象が起こり得ます。
  • リスク: 投資家は築年数が経過した物件に対し、今後の維持修繕費や家賃下落リスクを厳しく見積もるため、高い利回りを要求します。この要求を満たせない物件は、相続後に「売却できない」という重大な流動性リスクとなります。

まとめ:相続税評価額は、市場価格を保証するものではありません。特に築年数が古い地方の収益物件は、相続後に売却が困難な「不良資産」となるリスクが高いことを把握すべきです。

3. 相続におけるリスク回避の鉄則(FAQ)

3-1. Q: 相続税対策として、収益不動産に投資する際の最大の注意点は何ですか?

A: 単純に「評価額が下がる」ことだけを目的としないことです。収益不動産が相続対策として機能する大前提は、「相続後も安定的な収益を生み続けられること」です。収益性の見込みが甘い、あるいは空室リスクが高い物件に投資すると、相続税は減っても、資産全体が減ってしまうという本末転倒な事態を招きます。

3-2. Q: 相続した収益物件が路線価評価よりも安くしか売れない場合、どうすべきですか?

A: 相続税申告後3年10ヶ月以内であれば、不動産を売却して損失が出た場合、譲渡損失を他の所得と損益通算できる特例(譲渡所得の課税の特例)があります。しかし、理想は売却ではなく、相続時の評価額自体を減額できる余地がないか、不動産鑑定士や相続専門の税理士に相談することです。

3-3. Q: 不動産鑑定士と税理士に相談するタイミングはどう使い分けるべきですか?

A: 購入前・取得前の意思決定の段階で、不動産鑑定士に依頼して収益価格を算定してもらい、その物件の市場における「真の価値」を把握してください。その後、相続発生時には、その収益価格の知見を持つ相続専門の税理士に相談し、評価額に対する最終的な判断をしてもらうのが最善です。

4. まとめ:収益不動産の真の価値を見極める

相続税申告時における収益不動産の評価は、路線価評価と市場の収益価格との間に大きな乖離が生じるという盲点があります。富裕層の資産防衛の観点から、相続後に売れない「不良資産」を引き継ぐリスクを避けるため、市場価値を反映した収益価格を理解し、中立的な専門家の助言を得ることが不可欠です。

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