お子様の海外留学を検討する際、特に富裕層や資産家の間で候補に挙がるのがスイスです。しかし、数多くあるボーディングスクールの中から、お子様の将来に最適な一校を選ぶのは容易ではありません。
本記事では、元スイス・ラーニング日本代表であり、スイス留学のエキスパートである天野美環子氏に、失敗しないスイスの学校選びのコツを伺いました。
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1. スイス留学の学校は「ボーディングスクール」が中心
スイスへの留学生が主に入学するのは、富裕層のお子様のために作られた私立のボーディングスクールです。これらの学校は、スイス国外に住む生徒が、安全で質の高い教育を受けられるよう設計されています。
1-1. 国際的な多様性を保つ独自のルール
スイスのボーディングスクールには、地元スイス人の生徒はほとんどおらず、世界中から集まる留学生が中心です。特に重要な特徴として、ほとんどの学校が、一つの国籍が全体の10%を超えないというルールを設けています。
これにより、アメリカンスクールやブリティッシュスクールであっても、特定の国籍に偏ることなく、多様な文化を持つ生徒たちが共に学ぶ真の国際環境が保たれています。これは、他の国には見られない、スイス留学ならではの大きなメリットです。
2. 失敗しない学校選びの3つのコツ
スイスの学校はどこも質の高い国際的な環境を提供しています。だからこそ、表面的な情報だけでなく、お子様の目的や価値観に合った学校を見極めることが重要です。
2-1. 【コツ1】スクールの立地で選ぶ
スイスは、言語圏と地理的環境が多様です。学校選びの最初のポイントは、「学校がどこにあるか」です。
- 言語圏: スイスには、ドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏などがあり、ボーディングスクールはそれぞれの言語圏に存在します。学校の共用語は英語が基本ですが、学校の外に出ればその土地の言語が使われています。お子様に英語以外の第二言語を習得させたい場合は、その言語圏の学校を選ぶのが良いでしょう。
- 地理的環境: 学校が山の中にあるのか、街に近いのかによって、留学中の生活は大きく異なります。自然豊かな環境でのびのびと学ばせたいのか、都市の刺激的な環境に触れさせたいのか、ご家庭の教育方針に合わせて選びましょう。
2-2. 【コツ2】学校の形式で選ぶ
スイスのボーディングスクールには、大きく分けて3つの教育形式があります。
- ブリティッシュ系: 先生の多くがイギリス人であり、英国の教育システムに基づいた指導を行います。
- アメリカン系: 先生の多くがアメリカ人であり、米国の教育システムに基づいた指導を行います。
- インターナショナル系: 特定の国籍に偏らず、多様な国籍の先生が在籍し、国際バカロレア(IB)などの教育プログラムを提供します。
お子様の将来の進路(例えば、イギリスやアメリカの大学)が決まっている場合は、その国の教育システムに特化した学校を選ぶのが一つの有効な戦略となります。
2-3. 【コツ3】人種以外の「多様性」を重視する
スイスの学校では、人種の多様性はどこも同等です。しかし、留学を成功させるためには、人種以外の多様性も考慮することが重要です。
- ご家族の価値観: なぜ留学するのかという、ご家族の価値観を明確にしておくことが不可欠です。
- お子様の性格: 集団生活が得意か、自立心がどれくらいあるかなど、お子様の性格に合った学校を選ぶことで、留学生活の満足度が高まります。

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3. スイスの学校選びに関するよくある質問(FAQ)
3-1. スイス留学は、他の国に比べて何が違うのですか?
A1: スイス留学は、英語圏への留学では得られない「多文化共存」が最大の魅力です。一つの国籍に偏ることなく、世界中から集まる生徒と寝食を共にすることで、かけがえのない国際感覚と人脈を築くことができます。
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3-2. ファミリーオフィスは学校選びに役立ちますか?
A2: ファミリーオフィスは、資産管理の専門家チームですが、海外教育の専門家と連携し、ご家族の「ファミリーミッション・ステートメント」に基づいた教育計画の策定をサポートします。これにより、留学を単なる経験としてではなく、将来の資産管理と連動した戦略的な投資として捉えることが可能になります。
まとめ|「目的」と「お子様らしさ」で選ぶ
スイス留学を成功させるための学校選びのコツは、「何のために留学するのか」という目的と、「お子様らしさを活かせる環境」を重視することです。
人種や教育形式、立地、そしてご家族の価値観まで、多角的な視点から検討することで、お子様の将来にとってかけがえのない財産となる、最適な学校を見つけることができるでしょう。

