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資産管理会社を設立するメリット:富裕層の節税・相続対策を専門家が徹底解説

カテゴリ: ファミリーオフィス型税務戦略 > 資産管理会社を活用した節税
資産管理会社を設立するメリット:富裕層の節税・相続対策を専門家が徹底解説

資産管理会社は富裕層だけではなく、資産を持っている人にとって必要な会社といえます。節税や相続対策など様々な恩恵はありますが、法人の設立や維に持コストがかかるので、資産管理会社についてきちんと理解しておかなければいけません。

特に税制面においては、個人所得の最高税率が55%(所得税・住民税合計)に達する中、合法的な税負担の最適化は不可避のテーマといえます。

本稿では、「資産管理会社(プライベートカンパニー)」の設立と活用法について、そのメリット・デメリットから設立の具体的なステップまで、弊社の知見に基づき網羅的に解説します。この記事を読むことで、貴社の資産を守るための超保守的運用の第一歩が明確になります。

1. 資産管理会社(プライベートカンパニー)の定義と設立背景

1. 資産管理会社(プライベートカンパニー)の位置付けと活用背景

資産管理会社とは、オーナー個人が保有する金融資産や不動産、持株等を法人として管理・運用する仕組みを構築するために設立される法人で、長期的な資産管理、承継計画、ガバナンス(意思決定の一元化)などを目的として活用されるケースが一般的です。

1-1. 資産管理会社の基本的な役割

資産管理会社(プライベートカンパニー)は、資産の保全・管理・運用を法人単位で行うための枠組みであり、通常の事業法人とは異なり対外的な営業活動を主目的とせず、主としてファミリー資産の管理体制を整備することを目的とします。

主機能例:

– 資産管理および運用指針の策定

– 資産の評価、売買および賃貸等の実務管理

– 将来的な承継計画やガバナンス設計

– 役務提供に応じた役員報酬の支払い 等

※資産の移転に際しては税務上の取り扱いに注意が必要です。

1-2. 富裕層が資産管理会社を検討する背景

個人と法人では適用される税制度や報酬体系が異なるため、一定規模以上の資産保有者においては、資産の保有形態を法人で行う方が、中長期的な資産管理や承継計画の面で合理性が高い場合があります。

参考:

– 個人の最高所得税率:55%(所得税+住民税)

– 中小法人の実効税率:約33.58%程度

(事業内容や所得規模等により異なる)

ただし、法人化の検討にあたっては、税制メリットのみを目的とするのではなく、経済合理性・役務提供の実態・承継設計・ガバナンス設計など総合的な観点から判断することが重要です。

2. 資産管理会社設立の具体的なメリット(節税と資産承継)

2. 資産管理会社設立の主なメリット(資産管理と承継設計)

資産管理会社は、資産を法人として一元管理することで、長期的な資産管理の効率化、収支コントロール、承継方針の明確化といった面でメリットが期待できます。活用効果は、保有資産、家族構成、役割分担、将来設計により異なります。

2-1. 所得と費用の設計による税務コントロール

資産管理会社では、家族で役割分担を行い、実際の役務提供に応じた役員報酬や給与を支給することが可能となります。これにより、個人と法人の税率差や給与所得控除等を踏まえた全体最適の税務設計につながる場合があります。

※形式的な人員配置や役務の不存在は税務上否認される可能性があります。

2-1-1. 役員報酬制度の活用

実務を担う家族に対して適正額の役員報酬を支給することで、所得の分散と、資産運用・管理に関する責任と役割を明確化できます。

– 税務上の取り扱いは、役務提供の有無と報酬水準の妥当性が前提

– 支払い目的が資産移転であると認定される場合は、贈与税の対象となる可能性あり

参考:私たちの支援事例においても、役務内容の整理、報酬規定の作成、議事録整備などを行うことで、長期的な資産移転計画をサポートしたケースがあります。

2-1-2. 経費計上と多様な投資機会へのアクセス

資産管理会社では、法人税法上認められる範囲において、事業遂行や資産管理に必要な支出を経費計上できる場合があります。

また、法人のみが参加可能な投資商品の選択肢が広がることがあります。

例:

– 役員社宅制度の活用(条件・要件に注意)

– 法人契約による保険商品

– 一部の私募ファンド等へのアクセス

2-2. 承継計画における管理と分割設計

資産管理会社を通じて資産の集約管理を行うことで、将来的な承継時に、株式という形で持分割合に応じた分割を行うことが可能となり、遺産分割交渉を整理しやすくなるケースがあります。

特に、不動産や非上場株式など物理的分割が困難な資産において有用となる場合があります。

資産管理会社を通じた株式や不動産などの資産の集約管理と承継時の分割設計

3. 資産管理会社設立の潜在的なデメリットと注意点

3. 資産管理会社設立における留意点と潜在的なコスト要因資産管理会社は一定のメリットが期待できる一方、設立・維持にかかるコストや事務負担、社会保険の加入義務など個人名義での管理と比較して追加の負担が生じる場合があります。

特に、資産規模・家族構成・運用目的によっては、法人化が必ずしも最適とは限らず、事前のシミュレーションが重要です。

3-1. 設立・維持に伴うコストと事務負担

法人の設立・運営には、個人で資産管理を行う場合と比較して行政手続きや会計処理が増える傾向にあります。

3-1-1. 設立費用およびランニングコスト

【設立時費用】

登録免許税や専門家への依頼費用等により、一般的に一定の初期費用が発生します。

【ランニング費用】

法人税、事業税、固定資産税などの納税義務に加え、会計・税務処理の複雑化に伴い専門家報酬が必要となるケースがあります。

注:法人運営においては、節税効果とランニングコストを含めた総合的な採算性の検証が重要です。

3-1-2. 社会保険加入に関する負担

原則として、法人は社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務があり、保険料は会社と役員・従業員で折半する形式となります。

資産管理会社の場合、実質的に同一世帯が双方を負担するケースが多く、個人での保険加入と比較すると費用負担が増加する可能性があります。

3-2. 赤字の場合でも発生する法人住民税の均等割

法人格である以上、所得の有無にかかわらず、法人住民税の「均等割」が課されます。金額は資本金および事業規模、自治体により異なりますが、一定額の固定負担が継続して発生する点は留意が必要です。

4. 資産管理会社の設立プロセスと検討すべき超保守的運用指針

資産管理会社の設立は、まず税理士との詳細なシミュレーションから始まり、事業目的、資本金、役員構成などを決定し、法務局への登記を行う必要があります。設立後の運用においては、超保守的運用を指針とし、個人資産との明確な区別と、法令遵守を徹底することが肝要です。

4-1. 設立手続きのステップ

  • STEP 1:税理士との戦略的打ち合わせ
    • 目的の明確化(節税・相続・投資)と、税効果シミュレーションを実施。
  • STEP 2:会社概要の決定
    • 商号、事業目的(不動産管理、有価証券運用など)、所在地、資本金、役員構成を決定。
  • STEP 3:定款の作成・認証
    • 公証役場で定款の認証を受ける。
  • STEP 4:資本金の払い込み
    • 発起人(オーナー)の個人口座へ資本金を払い込む。
  • STEP 5:設立登記申請
    • 法務局に登記申請を行う(設立日となる)。
  • STEP 6:各種届出の提出
    • 税務署、地方自治体、年金事務所、労働基準監督署などへ設立届を提出。

4-2. 資産管理における中立性と超保守的運用指針

資産管理会社は、個人資産を保全し増やすための「器」です。そのため、運用においては以下の指針を厳守し、中立性を保つ必要があります。

  • 指針 1:法人と個人の資産の峻別:
    • 公私混同は税務調査の対象となりやすい重大なリスクです。法人口座と個人口座の取引は明確に分け、私的な支出を法人経費とすることは厳に避けるべきです。
  • 指針 2:法令遵守の徹底(コンプライアンス):
    • 税法はもちろん、金融商品取引法などの法令を遵守し、超保守的運用を徹底すること。特に家族への役員報酬額は、同業他社の水準や会社の利益を鑑みて適正水準を決定することが求められます。
  • 指針 3:出口戦略の明確化:
    • 設立時だけでなく、将来的な資産の売却や会社の解散(清算)といった「出口戦略」についても、設立当初から税理士や弁護士といった専門家と協議し、ロードマップを作成しておくべきです。

5. 資産管理会社に関するよくあるご質問

資産管理会社に関するご相談は、設立可否、税務的効果、費用対効果、承継設計など複数領域にまたがることが一般的です。ここでは、よく寄せられるご質問について、一般的な考え方や検討の視点をご紹介します。

Q. 設立や維持に必要な資産規模や所得の目安はありますか?

A. 目安のひとつとして、年間の課税所得(資産運用益を含む)が一定水準以上の場合、法人化による税務面や管理面の合理化が検討対象になるケースがあります。

一般論として、年間所得が約800〜1,000万円程度を超える層では、法人と個人の税率構造を踏まえたコスト比較が重要な検討ポイントになります。

なお、承継設計やガバナンス整備が主目的の場合は、所得規模とは別に設立を検討するケースもあります。

Q. 資産管理会社を設立しても税務面のメリットが薄いケースはありますか?

A. はい、考えられます。例えば以下のようなケースです。

– 課税所得が低く、個人の税率の方が低い場合  

– 主たる収益が上場株式の配当等であり、個人の特例税制の方が有利となる可能性がある場合

法人化の検討においては、所得の性質、将来の資産推移、家族構成、承継目的等を含む総合判断が求められます。

Q. 設立手続きで特に重要なポイントは何ですか?

A. 設立手続き自体は、専門家に依頼することで比較的スムーズに進めることができますが、実務上重要となるのは設立前の「役員構成・報酬設計」「資産移転方法」「承継計画」などの事前整理です。

税理士・行政書士・弁護士等の専門家とともに、将来の運用目的や意思決定体制を明確にしておくことが重要です。

6. まとめ

資産管理会社はそれほど広くは知られていませんが、資産を保有する人であれば、うまく活用することで大きなメリットを受けられます。とくに相続時の手続きや税制面での優遇が大きいので、相続の悩みを抱えていたり、資産を多く保有したりしている人は、資産管理会社の設立を考えるようにしましょう。

ただし、税率などを考慮すべき点も多数あるので、しっかりと調べた上で進めてください。

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