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中東危機が引き金?グローバル市場に走る「戦前」の不安

中東危機が引き金?グローバル市場に走る「戦前」の不安

米国のイラン攻撃で情勢一変

2025年6月、米国によるイラン核施設への軍事攻撃が中東情勢を一気に緊迫化させています。トランプ大統領は「第3次世界大戦の回避」を掲げていますが、実際には火種が多方面に拡散する結果となりました。

この中東危機は単独の問題ではありません。ロシアのウクライナ侵攻は激化の一途を辿り、アジアでは北朝鮮の軍事挑発や中国の影響力拡大が同時進行しています。特に中国は軍事・経済・情報の各分野で存在感を高めており、既存の国際秩序に根本的な変化をもたらしています。

米国が中東問題に注力すれば、必然的に中国への対応が手薄になります。これは過去のアフガン戦争やイラク戦争で見られた戦略的失敗の再現を懸念させます。だからこそ、日本や欧州諸国による協調外交が重要性を増しています。米国の単独行動を抑制し、多国間の枠組みで火種を鎮静化させる取り組みが求められます。

円安加速、有事のドル需要が拍車

6月23日午後の東京外国為替市場では、円が1ドル=147円台前半まで急落し、約1カ月ぶりの安値水準を記録しました。地政学リスクの高まりを受けた典型的な「有事のドル買い」が進行しています。

円安の背景には複数の要因が重なっています。原油価格上昇への懸念が日本の貿易収支悪化を連想させ、円売り圧力を強めました。加えて、投機筋によるポジション調整も下押し要因となっています。市場参加者の間では、地政学リスクが長期化すれば円安傾向が続くとの見方が支配的です。

株式市場は混乱も円安が下支え

同日の日経平均株価は3日続落し、前週末比49円安の3万8354円で取引を終えました。米国のイラン攻撃報道を受けて投資家のリスク回避姿勢が強まり、序盤は半導体関連株を中心に大幅下落となりました。一時は下げ幅が300円を超える場面もありましたが、円安進行が企業業績への好影響を意識させ、午後には買い戻しが入って下げ幅を縮小しました。

原油急騰、ホルムズ海峡リスクが焦点

ただ、WTI原油先物価格は一時78ドル台に急騰し、5カ月ぶりの高値を記録しました。最大の懸念材料は、イランによるホルムズ海峡封鎖の可能性です。世界の原油輸送量の約2割が通過する同海峡の封鎖は、グローバルな供給ショックを引き起こすため、市場では「パニック買い」への発展が警戒されています。

ただし、サウジアラビアやUAEが代替輸送ルートの整備を進めているため、相場が80ドル前後で安定するとの見方もあります。今後の動向はOPECプラスの増産対応と、イラン情勢の長期化リスクに左右されそうです。

日本経済への波及は不可避

日本は原油輸入の大半を中東地域に依存しているため、今回の危機による影響は避けられません。原油価格の上昇は企業のコスト増加を通じて業績悪化を招き、最終的には株価下落や物価上昇という形で国内経済に波及することが予想されます。

政府・日銀は市場動向を注視しながら、必要に応じて適切な政策対応を検討する必要があります。また、エネルギー安全保障の観点から、中東依存度の軽減に向けた長期的な戦略の見直しも急務となるでしょう。

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