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利下げ圧力に抗うFRB、見守る日銀~交錯する政策が市場を揺らす

利下げ圧力に抗うFRB、見守る日銀~交錯する政策が市場を揺らす

7月30日から31日にかけて開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)と日本銀行金融政策決定会合は、「中銀ウィーク」の山場を迎え、日経平均株価の動向に大きな影響を与えました。

FRBのタカ派転換と市場の動揺

米連邦準備理事会(FRB)は7月30日のFOMCで、政策金利を4.25~4.5%に5会合連続で据え置くことを決定しました。注目を集めたのは、ボウマン金融監督担当副議長とウォラー理事が利下げを求めて反対票を投じ32年ぶりの分裂劇となったことです。しかし、市場が強く反応したのは政策決定そのものではなく、パウエルFRB議長の記者会見でした。

パウエル議長は米経済の堅調さを強調する一方、関税が物価に与える影響について「長期的な期待インフレ率を安定させ、一時的な価格上昇を継続的なインフレ問題に発展させないこと」の重要性を訴えました。市場はこれを利下げに慎重な「タカ派」姿勢と受け止め、米2年物国債利回りが上昇し、ドル買いが進行しました。対ドルでの円相場は一時1ドル=149円50銭台と約4カ月ぶりの円安・ドル高水準を記録しました。

特に注目されたのは、トランプ米大統領からの利下げ要求に対するパウエル議長の強い反発です。「選挙に影響を与えるために金利を利用したいという大きな誘惑になるだろう。それは私たちがやりたくないことだ」と述べ、中央銀行の政治からの独立性を強く訴えました。バンク・オブ・アメリカのエコノミストは「パウエル氏の発言は予想よりもはるかにタカ派的だった」と評価しています。

日銀は様子見継続、物価見通しは上方修正

日本銀行は7月31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%で4会合連続据え置くことを全員一致で決定しました。米国の関税政策が日本経済に及ぼす影響を見極めるため、引き続き慎重な姿勢を維持しています。

一方で、3カ月に一度更新される展望リポートでは、2025年度の生鮮食品を除く消費者物価指数の前年度比上昇率見通しを2.2%から2.7%に引き上げました。2026年度と2027年度の物価見通しも小幅上方修正し、基調的な物価上昇率が2026年度後半から2027年度にかけて2%の物価安定目標と整合的な水準になるという見通しを維持しました。

昨年「令和のブラックマンデー」を引き起こした1年前の会合と比較され、市場関係者の一部では波乱を警戒する声もありましたが、おおむね平穏に通過したと評価されています。

日経平均は反発も先行き不透明

両中銀会合の結果を受け、31日の東京株式市場では日経平均株価が5営業日ぶりに反発し、前日比415円12銭(1.02%)高の4万1069円82銭で取引を終了しました。4万1000円台回復は4営業日ぶりとなります。

反発の背景には、前日の米ハイテク株高、マイクロソフトとメタの好決算、そして円安・ドル高進行があります。特に「電線3兄弟」と呼ばれるフジクラ、古河電気工業、住友電気工業が大幅高となり、米コーニングの好決算が追い風となりました。フジクラと住友電は上場来高値、古河電は年初来高値を更新しました。

一方で、最近まで株高を牽引してきたトヨタ自動車など一部銘柄は、円安進行にもかかわらず下落するなど、銘柄間格差が拡大しています。日経平均を米ナスダック指数で割った倍率の低下傾向も見られ、「日本株優位」の構図に変化の兆しが見えます。

市場関係者からは「日本企業の業績をめぐって悪材料が出尽くしたとは言いがたい。今は好業績が期待できる個別銘柄を見極める段階だ」との指摘もあり、個別物色を背景とした神経質な展開が続きそうです。

FRBのタカ派姿勢とトランプ大統領との攻防、日銀の次の動きへの市場の探りが継続する中、これらの要因が今後の日経平均株価に複雑な影響を与えることが予想されます。

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