日本株先週の振り返り
先週(7月28日~8月1日)の東京株式市場では、日経平均株価が656円63銭(1.58%)安の4万799円60銭まで反落しました。前週の急伸に対する反動調整が続いた形で、7月30日まで4営業日連続の下落となりました。7月23日の日米関税協議妥結を材料に前週は大幅高となったものの、その後27日に伝えられた米欧間の関税交渉合意については既に織り込み済みとして市場の反応は限定的でした。
個別株では半導体関連の軟調さが目立ちました。28日にはアドバンテスト(6857)がUSB証券による投資判断引き下げで下落し、8月1日には東京エレクトロン(8035)が業績予想を引き下げ、一時ストップ安水準まで売り込まれました。
一方で、日米金融政策イベント通過後の為替市場では円安が進行し、トヨタ(7203)など自動車株には買い戻しが入りました。また指数の節目である4万500円付近では底堅さが確認され、TOPIX連動型の資金流入も観測されています。決算発表の本格化とともに好業績銘柄への資金シフトも強まっており、投資家の物色意欲は依然として旺盛な状況です。
日本株今週の見通し
今週の東京株式市場は、日米の金融政策決定会合を通過し、投資家の関心が企業決算にシフトする局面を迎えます。決算発表が集中するこの時期は、業績内容に基づいた個別株物色が主導となり、市場の動きは銘柄ごとに二極化する展開が予想されます。
近年と比較して、好決算に対する市場の反応はポジティブに傾いており、従来の「出尽くし感」で売られるような動きはやや後退。投資家心理も改善傾向にあり、予想を上回る業績には素直に買いが入る土壌が整いつつあります。
ただし、外部環境は楽観一辺倒ではありません。米国市場ではダウ平均が5日続落し、特に7月の非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回ったことで、景気減速への警戒感が広がっています。失業率も4.2%へと悪化し、米国経済の先行きに不透明感が強まっている点は無視できません。
また、季節要因にも注意が必要です。8月は日米ともに休暇シーズンに入り、参加者が少なくなる「夏枯れ相場」が意識されやすいタイミングです。出来高の低下とともに、市場全体としては方向感が出にくく、上値を追う展開は限定的となる可能性もあります。
一方、ここまでの上昇相場に乗り遅れた投資家による「押し目買い」意欲は依然として強く、節目となる価格帯では下値の堅さも見られるでしょう。需給環境が一方的に悪化するような地合いではないことは、短期的な安心材料です。
今週の2025年4~6月期の決算発表
注目企業の決算が相次ぎます。4日には三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や三菱商事(8058)が発表を予定。5日にはダイキン工業(6367)とリクルートホールディングス(6098)、6日にはNTT(9432)の決算が控えています。さらに、7日にはトヨタ自動車(7203)やソフトバンクグループ(9984)、日本郵政(6178)など、業種を問わず大型企業の発表が続く見通しです。
今週の為替注目点
来週(8月4日~8日)の外国為替市場では、円相場が底堅く推移する展開が見込まれます。ドル円は一時、1ドル=150円台と約4カ月ぶりの円安水準に到達しましたが、その後は147円台半ばまで急反発。背景には、日米それぞれの金融政策に対する思惑と、米国の景気指標の弱さが影響しています。
FOMCでは2名の反対票があったものの政策金利は据え置かれ、パウエルFRB議長は「9月会合については白紙」との慎重な姿勢を強調しました。この発言は早期の利下げ観測を後退させ、一時的にドル買いが優勢となる場面も見られました。
一方、日銀は2025年の物価見通しを引き上げたものの、現行の緩和スタンスを維持。植田総裁は「足元の為替変動は物価予測に即時影響しない」と述べ、市場ではこれが円安容認姿勢と受け止められ、一時的に円売りが進行しました。
ただし、7月の米雇用統計が市場予想を大幅に下回り、非農業部門雇用者数はわずか7万3,000人の増加。失業率も4.2%に上昇し、過去分の下方修正と相まって、米景気減速への警戒感が一気に広がりました。これにより米長期金利は低下し、円が再び買い戻される結果となりました。
今後の為替相場は、「日本は利上げ方向、米国は利下げ方向」という政策スタンスのズレが意識される中、一方的に円売り・ドル買いが進む展開にはなりにくいと考えられます。市場関係者の間では「日本の通貨当局が円安けん制に踏み込む可能性があることも、円相場の下支え要因になる」との声も聞かれます。
来週は、米国のISM非製造業指数をはじめとする経済指標の発表に加え、国内政局の不確実性も為替の変動要因となる可能性があるため、引き続き注意が必要です。
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