相続がおきたらどうすべきか、どのように判断すべきかご存じでしょうか?
「遺産が多ければ相続税を納めなければならない」というのと「遺産がほとんどなければ何もしなくてもいい」というのはご存じかもしれませんが、その境目はいったいどのあたりなのでしょうか?
そこで本日は、相続がおきたときに申告すべきかどうかをざっくりと頭の中で判断するための方法について解説していきたいと思います。
[ 目次 ]
冒頭でお話ししたように、相続には以下の2つのパターンがあります。
しかし実際には、
場合もあります。
つまり、全部で3パターンあるのです。ですから相続が起こった時にご自身がどのパターンに当てはまるのかさえざっくり分かれば、次に何をすべきかが分かります。この記事では、誰でもこれが暗算でざっくりと分かることを目指します。
まず、遺産の総額がどれくらいになるのかを計算してみます。相続財産は評価が必要なものもありますが、簡便的に以下の方法でざっくりと行います。
自宅の土地は、正しくは路線価図などを用いて計算します。正しく計算した金額はだいたい実売価格の7~8割のため、とりあえずこの段階では実売価格から逆算します。
では実際にやってみましょう。
(例)
この場合、遺産の総額は以下のようになります。
相続税には基礎控除(きそこうじょ)があるため、遺産の総額がこの基礎控除を超えなければ、相続税の申告や納税などを一切する必要がありません。
ちなみに、基礎控除の計算は以下の算式で算出します。
たとえば法定相続人が配偶者と子供の2人の場合は、3,000万円+600万円×2人=4,200万円が相続税の基礎控除となります。
つまり、遺産の総額が4,200万円を超えなければ、何もしなくてもいいわけです。
仮に相続財産の合計が、先ほどの手順①で計算した1億2千万円であれば明らかに基礎控除を超えているため、納税する必要があるかどうかは別にしてとりあえず申告しなければならないわけです。
このように手順②までを行うと、「何もしなくてもよい」か「何かしなければならない」かのどちらかがざっくりと分かります。
配偶者が相続する場合、1億6千万円までは相続税が課税されません。ですから手順①で計算した相続財産の合計が1億6千万円以内であれば、とりあえず配偶者がすべてを相続すれば相続税を納税する必要はありません(ただし申告する必要はあります)。
このことから、手順③までを行うと、以下のことが分かります。
これまでご紹介した方法は、あくまでざっくり計算用の方法です。当然ですが以下のようなデメリットが考えられます。
相続税にはさまざまな特例(たとえば「小規模宅地の特例」など)があるため、遺産の総額が基礎控除を超えていても、それらの特例を用いることにより納税額が0円になることがあります。たとえば先ほどお話しした配偶者の税額軽減などがそうです。
しかし、そのためには相続税の申告を行わなければなりません。また、遺産の総額が多ければ、申告も納税もしなければなりません。
いずれにしてもこのような場合は、税の専門家である税理士などにご相談されることをおすすめします。相続税は高額になる場合が多いですが、特例なども多いため、専門家に相談すれば納税額を減らして節税をすることができます。
ご自身でやる場合は手間がかかる以外にも、間違えたり節税し損ねてしまったりするリスクがあるため、報酬を支払っても税理士に依頼したほうがかえって得をする場合が多いでしょう。
本日ご紹介した方法でざっくりと計算していただければ、相続がおこった時に「何もしなくてもいい」のか「何かしなければならないか」のか程度は判断することができます。
「何かしなければならない」場合は、できるだけ早く税理士などの専門家に相談し、アドバイスを受けながら進めていくことをおすすめします。
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