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インド株最高値更新と新興国市場の復権~世界マネーの流れが変わる

インド株最高値更新と新興国市場の復権~世界マネーの流れが変わる

2025年、世界の投資資金の流れに大きな変化が起きています。長年続いた米国一強の相場環境が転換点を迎え、インドをはじめとする新興国市場に資金が流入し始めました。トランプ政権の政策や各国の構造改革、そして日本の新NISA制度を通じた投資が、新たな潮流を生み出しています。

インド株が最高値を更新した背景

11月27日、インドの主要株価指数SENSEXは前日比0.52%高の8万6055.86を記録し、昨年9月の最高値を一時上回りました。この株高を支えているのは、期待感だけでなく、実体経済の改善と政治的な改革です。

注目すべきは、トランプ米政権による「50%の高関税」という脅威が、逆にインドの経済改革を加速させている点です。野村グループのソナル・バルマ氏は、この外圧が国内調整の難しい大規模改革を推進する原動力になっていると分析しています。

実際、インド政府は11月21日に改正労働法を施行しました。ギグワーカーへの社会保障適用と引き換えに、企業の人員削減を容易にし、ストライキを困難にする規則を導入したのです。これは外資系企業にとって長年の参入障壁だった労働問題を解消し、外国直接投資を呼び込む強力なシグナルとなっています。

企業業績の見通しも明るくなっています。モルガン・スタンレーのリダム・デサイ氏は、インド企業の1株当たり利益が2025年度の7%増から、26年度には17.6%増、27年度には19.5%増へと加速すると予測しています。中央銀行の利下げ期待や銀行セクターの健全性向上も追い風となり、インド株は「31年ぶりのパフォーマンスの悪さ」から一転、強力な反転上昇局面に入ったと見られています。

新興国市場全体の「冬の時代」が終わる

インドの躍進は単独の現象ではありません。2025年は新興国株の上昇率が先進国株を5年ぶりに上回る見込みです。これまで米国の経済的な強さとドル高により低迷していた新興国株ですが、米国の利下げ観測とドル安への転換が資金還流を促しています。

この復権を牽引しているのは、資源国とハイテク産業です。ブラジルや南アフリカの株価指数はドル建てで今年5割上昇しました。アジアでもAI半導体需要を背景に韓国のSKハイニックスや、中国の「中国版エヌビディア」と呼ばれる中科寒武紀科技などが急騰しています。

欧州でも東欧株の急伸が目立ちます。チェコの株価指数は昨年末比で43%高、ポーランドは35%高となり、ドイツ株を大きく上回りました。ウクライナ和平への期待やインフラ投資、移民流入による労働力増加が、これらの地域の経済成長を年率3%超の水準へと押し上げています。

一方、中国経済については慎重な見方が残ります。モルガン・スタンレーのゴクール・ラロイア氏は、中国がデフレから完全に脱却するのは2027年になると予測しています。ただし、バイオテクノロジーなどの特定分野では投資が活発化しており、香港市場でのIPO回復など、明るい兆しも見え始めています。

日本の個人投資家も恩恵を受ける

こうした新興国シフトの恩恵を、日本の個人投資家も享受しています。新NISAの普及により海外株式投資が一般的になり、特に人気の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」の純資産総額は8兆円を突破しました。

オルカンは米国株の影響力が強いと思われがちですが、そのマザーファンドを見ると、新興国株式の勢いが際立っています。直近6カ月で新興国株式部分は約40%上昇しており、分散投資の効果が明確に表れています。

米国株一辺倒だった投資家の間でも、割高感のある米国資産から、成長余地の大きい新興国や日本株へ資金を振り向ける動きが出てきています。

2025年の市場環境は、米国一極集中から、インド、東欧、そして選別された新興国ハイテク株へと、成長の源泉が多極化していることを示しています。冬の時代を脱した新興国市場と、構造改革を進めるインドや日本。世界経済のエンジンが複数動き出した今、投資の視野を広げる好機が訪れていると言えるでしょう。

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