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ベネズエラでマドゥロ大統領拘束、米国の戦略的介入
2026年1月5日、世界の金融市場は衝撃的なニュースとともに新年の取引を開始しました。週末、トランプ米政権がベネズエラの首都カラカスで急襲作戦を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束したのです。マドゥロ氏は長年の刑事告発に直面するため、既に米国へ空輸されています。
トランプ大統領は声明で、この行動を「犯罪的政権」に対する「決定的な一歩」と位置づけ、米国主導でベネズエラの「安全かつ秩序ある移行」を確保すると述べました。今回の介入の背景には、世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラから中ロの影響力を排除し、西半球における米国の支配を強める戦略があります。
トランプ氏は、中国がベネズエラ産原油の最大の買い手として浸透している現状を問題視しており、マドゥロ政権を転覆させることで、連帯するキューブをも孤立させる狙いがあるとみられています。しかし、この行動は国際法上の正当性を欠くとの指摘が強く、ロシアや中国が自国の強硬手段を正当化する材料として利用する懸念が浮上しています。
日経平均は5万1000円の壁を突破、AI関連株が牽引
一方、2026年の大発会となった5日の東京株式市場では、ベネズエラ情勢の不透明感を「AI・半導体ブーム」への期待が完全に上回る展開となりました。日経平均株価の終値は前営業日(2025年12月30日)比で1,493円(3%)高い5万1,832円となり、大幅な反発で取引を終えました。
取引開始前は地政学リスクへの懸念もありましたが、ふたを開けてみれば「どこ吹く風」という活況を呈しました。ここ1カ月ほど「壁」として意識されていた5万1,000円の節目をあっさり上抜け、2025年10月に付けた最高値(5万2,411円)の更新も視野に入っています。
相場を主導したのはAI関連株です。指数への寄与度が大きいソフトバンクグループが一時7%高となったほか、アドバンテストや東京エレクトロンといった半導体関連株に海外勢の買いが膨らみました。また、11兆円規模の脱炭素投資計画が報じられた東京電力ホールディングスも、AI普及に伴う電力需要増への期待から9%高(終値)と急伸しました。
需給面では、円安・ドル高(1ドル=156円台後半)の進行や、新NISAの新年枠を利用した個人投資家の買いも追い風となりました。
金価格は急騰、原油市場は意外な冷静さ
地政学リスクの直撃を受けたのは商品市場でした。安全資産とされる金(ゴールド)に需要が集中し、スポット価格は一時1.5%高の1オンス=4,395.35ドルと、1週間超ぶりの高値を付けました。銀やプラチナも2〜3%台の大幅上昇を記録しています。
意外にも原油指標であるWTI先物は一時1%下落するなど、冷静な反応を見せています。これは、米国の支援によりベネズエラの石油インフラが修復されれば、2028年までに日量170万〜180万バレル程度(現在の約倍)まで生産が拡大するとの期待があるためです。ただし、米国による制裁厳格化で中国向け輸出が停滞しており、エネルギー市場の分断が日本の安全保障リスクを高めるとの指摘もあります。
今後の展望―AI相場は嵐を乗り越えられるか
市場は今のところ、ベネズエラ情勢が他地域へ飛び火しない限り、日本企業の堅調な業績を背景に強気姿勢を維持する構えです。一方で、防衛関連株(三菱重工業、IHI)や資源関連株が買われていることは、投資家が長期的な不安定化を警戒している証左でもあります。
今回のマーケットの動きは、地政学リスクという大きな懸念材料がある一方で、投資家たちはAI・半導体ブームの成長力を信じて、リスクを恐れずに積極的な投資姿勢を貫いた形となりました。しかし、米軍が泥沼の介入を強いられることになれば、世界秩序の空白を生むリスクが残っています。
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