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中東緊迫が招く「原油高・株安・円安」の連鎖〜エネルギー依存国・日本の脆弱性と世界市場の動揺~

中東緊迫が招く「原油高・株安・円安」の連鎖〜エネルギー依存国・日本の脆弱性と世界市場の動揺~

中東情勢の急激な緊迫化が、世界の金融市場を大きく揺るがしています。米国およびイスラエルとイランとの間での軍事衝突が激しさを増すなか、原油価格の急騰、世界同時株安、そして円安という「トリプルパンチ」が日本経済を直撃しています。特に、原油輸入の9割を中東に依存する日本にとって、今回の事態は経済の構造的な脆弱性を改めて浮き彫りにするものとなっています。本稿では、現在進行している原油高・株安・円安の背景と今後の展望について解説します。

ホルムズ海峡封鎖と原油・ガス価格の急騰

市場の動揺の直接的な引き金となったのは、中東におけるエネルギー供給の寸断リスクです。2026年3月2日、イランの革命防衛隊幹部がエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖したことを明らかにしました。さらに、カタールの国営エネルギー会社カタール・エナジーが、イランによるドローン攻撃を受けてLNG(液化天然ガス)と随伴製品の生産を停止したと発表したことで、供給懸念は一気に高まりました。

これを受け、原油の国際指標であるWTI先物は3日に前日比で一時9%高の1バレル77ドル台後半まで急騰しました。欧州市場でも影響は深刻で、ガスの指標価格(オランダTTF)は衝突前の前週末終値と比べて一時2倍の水準に達し、ブレント原油先物も一時9%高の1バレル85ドル台と約1年8カ月ぶりの高値をつけています。シェール革命を経て世界一の原油生産国となった米国においても、原油の国際価格高騰は国内のガソリン価格を押し上げており、秋に中間選挙を控えるトランプ政権にとっても大きな痛手となっています。

リスク回避が招く世界同時株安

エネルギー価格の高騰とインフレ再燃への懸念は、世界の株式市場から投資資金を急速に引き揚げさせています。

東京株式市場では3日、日経平均株価が前日比1778円19銭(3.06%)安の5万6279円05銭と大幅に続落し、下げ幅は一時1900円を超えました。前日にホルムズ海峡封鎖による運賃上昇や市況改善への期待から買われていた川崎汽船などの海運株や、INPEXなどの石油関連株も一転反落しました。燃料コスト増への懸念から日本航空やANAホールディングスも売られ、輸入インフレへの警戒からパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスやイオンなどの小売株も下落しています。こうした幅広い売りのなか、フジクラや住友電気工業といった中東有事の影響を受けにくいAI関連の電線株に資金が集まったことが、市場の強い不安心理を物語っています。

米国市場でも3日のダウ工業株30種平均が一時1200ドル超下落し、取引時間中の下げ幅としては2025年4月以来の大きさを記録しました。トランプ大統領が軍事作戦について「当初の予測よりはるかに長期にわたって実行できる」と発言したことで早期収束への期待が後退したことが主因です。その後、「ホルムズ海峡を通過するタンカーを米海軍が護衛する」と表明したことで下げ幅は縮小しましたが、インフレ加速による米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測の後退と米長期金利の上昇(10年物国債利回りが一時4.11%に上昇)が引き続き株式市場の重荷となっています。欧州でもドイツのDAXが4%安となり、エネルギーコスト増による採算悪化が懸念されたシーメンスなどの工業株や、スタグフレーションを警戒した金融株が軒並み下落しています。

「有事の円買い」の終焉と「2022年型円安」の再来

かつて、地政学リスクが高まった際には「安全通貨」として円が買われるのがセオリーでした。しかし、今回の事態で進行しているのは急速な「円安」です。3日の外国為替市場では、対ドルの円相場が一時1ドル=157円90銭台まで下落し、スイスフランやオーストラリア・ドルに対しても記録的な円安水準をつけました。

この背景にあるのは、ロシアによるウクライナ侵略時に見られた「2022年型円安」と同様の構造です。エネルギー資源を輸入に頼る日本にとって、有事に伴う原油高は貿易赤字の拡大に直結します。みずほ銀行のエコノミストは、原油価格が90〜100ドル台まで上昇した場合、日本の貿易赤字が年間で10兆円に迫る可能性があると指摘しており、これが巨額の実需の円売り圧力として意識されています。「原油高を引き起こす有事の場合、経済への下押し圧力が意識され円は買われにくい」という状況が定着しているのです。一方、基軸通貨であり世界最大の産油国でもある米国のドルへの「有事のドル買い」が鮮明となっています。政府・日銀による為替介入への警戒感が円安の加速を辛うじて抑えているものの、市場では「実弾の介入がなければ160円突破の可能性は高い」との声も強まっています。

今後の展望

中東での軍事衝突がいつ収束に向かうかは不透明です。トランプ大統領の強気な発言やイラン指導部の動向などを踏まえると、事態は長期化の様相を呈しており、投資家が積極的にリスクを取ることは当面難しい環境が続くとみられます。

原油高・株安・円安の同時進行は、エネルギー自給率の低い日本経済にとって極めて厳しい試練です。資源を持たない日本と、産油国である米国との経済構造の違いが、為替・株式市場でのパフォーマンスの差として如実に表れています。今後も中東情勢の行方とエネルギー価格の推移が、日本経済の命運を大きく左右することになるでしょう。

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