ファミリーオフィスについて解説!歴史や展望、種類なども紹介

ファミリーオフィスについて解説!歴史や展望、種類なども紹介

最近では、資産家たちとの会合、企業や金融機関からの案内などで、「ファミリーオフィス」という言葉を耳にした経験がある方も徐々に多くなっているようです。

また、最近の注目度の高まりから「親交のある資産家仲間がすでにファミリーオフィスを導入している」というケースも増えてきています。

ファミリーオフィスとは、資産家一族を取り巻く多種多様な問題を解決すべく導入されるプライベートな組織のことです。一族の所有する資産の保全・運用・承継を望む資産家を手助けする組織であるため、ファミリーオフィスについて知っておいて損はないでしょう。

そこで今回は、ファミリーオフィスの概要を、歴史・展望(未来)・種類といった側面からわかりやすく紹介していきます。

ファミリーオフィスとは

ファミリーオフィスとは、資産家一族を取り巻く多種多様な問題を解決すべく導入されるプライベートな組織・専属チームのことです。とりわけ大きな役割としては、資産の保全・運用・承継による、資産家一族の永続的繁栄のサポートが挙げられます。

ファミリーオフィスの主な構成員は、資産規模や家族構成や今後の課題などを包括的に分析し、投資、税務、法務、不動産などについて専門家として助言を行うエキスパート、それらの意見をまとめ一貫性のある計画や戦略にまとめるゲートキーパー的役割を担うウェルスマネージャーたちです。これらのスタッフ・専門家たちが、一族の資産に関する企画部門・財務部門を担当しながら、総合的にマネジメントを行い、最適な資産の保全や投資判断を行うのが「ファミリーオフィス」です。

ファミリーオフィスの歴史

ファミリーオフィスの歴史は深く、諸説あるものの、6世紀頃のヨーロッパにまで起源を遡ることができます。19世紀に入ると、カーネギー・ヴァンダービルト・ロックフェラーといったアメリカの名高い資産家たちがこぞって注目し、ファミリーオフィスを導入しています。

現在はアメリカ・スイスを中心に、欧米諸国で広く活用されている状況です。その一方、これまでの日本では、ニーズの少なさや専門家集めの難しさなどを理由に、ファミリーオフィスの文化はそれほど浸透してきませんでした。

ファミリーオフィスの展望(未来)

近年は多くの専門会社・金融機関が、日本の資本家向けにファミリーオフィスを導入する態勢を整えつつあります。この流れを促進させる一因となっているのが、税引き後の資産価値低下と事業承継問題の深刻化です。

現在の世界を見渡すと、日本に限らず世界における潮流として、資産や所得に関する税が増税傾向にあります。そのため、3代に渡る資産継承がとても難しくなりつつあり、税引き後の資産価値を維持・拡大できるニーズが広がりつつあります。

また、現在、日本では少子高齢化による後継者不足が問題となっており、スムーズな事業承継が妨げられています。この問題は家族経営を行う経営者・資産家にも等しく降り掛かっており、事業承継を無事に済ませるべくファミリーオフィスを活用するという選択肢の注目度が高まっている状況です。

サポート会社のサービス範囲の拡大・サービス自体の充実化などが進むごとに、今後は日本におけるファミリーオフィスの利用率も上昇していくものと見られます。

ファミリーオフィスの種類

最後に、ファミリーオフィスの主な種類を紹介します。

ファミリーオフィスの種類主な特徴
シングルタイプ・資産規模100億円以上の資産家一族が
 財産管理を目的に設立する専属の組織
・一族内のトラブルや資産管理の複雑な諸問題を
 独自に解決できる
マルチクライアントタイプ・資産規模50億〜100億円ほどの資産家一族が対象
・専属ではなく複数の資産家一族を顧客としている
・役割や機能はシングルタイプと相違なし
コマーシャルタイプ・資産規模10億〜50億円ほどの資産家一族が対象
・専門会社・プライベートバンク・金融機関
・会計事務所などがサービスを提供する
・顧客となる資産家は、これらの外部業者から
 サービスの提供を受けるという仕組み

現在、日本での活用が目立っているのは、コマーシャルタイプのファミリーオフィスです。ファミリーオフィスの導入を検討する際は、自身の一族の資産規模に応じた種類を選ぶ必要があります。

ただし、上記一覧からも分かるように導入への金額のハードルは高く、ファミリーオフィスが広く認識・活用されるようになるためには、そのハードを利便性の高い水準まで引き下げる取り組みが必要だといえます。

まとめ

従来の日本ではそれほど浸透していなかったファミリーオフィスですが、近年は事業承継の円滑化をはじめさまざまなニーズを満たすサービスとして注目度が高まっています。

とはいえ、現状では馴染みが薄いサービスであるため、ファミリーオフィスの導入を検討する際には自分に何をもたらすのかを慎重に判断しなければなりません。

「ファミリーオフィスの導入についてもっと詳しく知りたい」「自分が導入する場合のメリット・デメリットにはどのようなものがあるか知りたい」という経営者・資産家の方は、ぜひファミリーオフィスドットコムにご相談ください。

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