ログイン

無料ご相談

円の「一人負け」が深刻化——日銀4月利上げ観測の急低下が追い打ち

円の「一人負け」が深刻化——日銀4月利上げ観測の急低下が追い打ち

現在の外国為替市場において、円は主要通貨に対して「一人負け」とも言える独歩安の様相を呈しています。対ドルだけでなく、ユーロや豪ドル、さらには人民元に対しても歴史的安値水準に沈んでおり、円の弱さが際立っています。この全方位的な円安の背景には、これまで円安圧力に一定の歯止めをかけてきた日本銀行の4月利上げ観測が急激に後退していること、そして欧米をはじめとする他国との金融政策スタンスの違いや、日本経済特有の構造的な脆弱性が複雑に絡み合っています。本記事では、深刻化する円安の現状と、目前に迫る日銀の4月金融政策決定会合に向けた市場の動向について詳しく解説します。

全方位で進む円安、ユーロや豪ドルでも歴史的安値を更新

足元の外国為替市場では、円の下値不安が急速に広がっています。14日の東京市場において、円相場は対ドルで一時1ドル=159円09銭近辺をつけました。米国とイランの停戦協議継続への見方や、トランプ米大統領によるイラン側からの接触発言を背景に「有事のドル買い」を解消する動きも一部見られましたが、実需筋の円売り・ドル買いが根強く、159円を上抜けて円高方向へ進むほどの勢いはみられませんでした。

対ドル以上に深刻なのが、ドル以外の通貨(クロス円)に対する円の弱さです。対ユーロでは14日に一時1ユーロ=187円50銭近辺まで下落し、1999年のユーロ導入以来の過去最安値を更新しました。対豪ドルでも1豪ドル=113円台をつけ、1990年以来約36年ぶりとなる安値水準に迫っています。また、中国の人民元に対しても円安が進んでおり、13日には一時1元=23円40銭台と、中国が管理変動相場制に移行した2005年以降で最高値をつけました。このように、円はあらゆる主要通貨に対して売られる展開が続いており、その広がりは異例と言えます。

「4月利上げ」確率が55%から30%台へ急低下

この「円の一人負け」を加速させている最大の要因が、日銀が27〜28日に開く金融政策決定会合での利上げ観測の急速な後退です。将来の政策金利を予想して取引する翌日物金利スワップ(OIS)市場において、政策金利が現在の0.75%から1.00%に引き上げられると予想する確率は、先週末10日時点では約55%ありましたが、週明け14日には30%台へと急低下しました。

利上げ観測を大幅に後退させた決定的な契機は、13日に開かれた信託大会での植田和男総裁の挨拶です。総裁は緊迫化する中東情勢を念頭に「国際金融市場では不安定な動きがみられる」と指摘し、「緊迫が長期化した場合には、サプライチェーンへの影響を通じて、企業の生産活動に下押し圧力がかかるリスクもある」と言及しました。金融政策については「経済・物価・金融情勢に及ぼす影響を注視しつつ、点検していきたい」と述べるにとどまり、4月の利上げを示唆するような積極的な情報発信は一切ありませんでした。

市場関係者の間では、日銀の過去の情報発信の姿勢も「4月見送り」の根拠として意識されています。2025年12月に利上げを決定した際には、植田総裁が2週間以上前に政策変更を示唆する丁寧な「予告」を行っていました。しかし今回はそうした事前のサインが見られないため、海外市場関係者の中には4月の利上げ確率を20〜25%と低く見積もる動きも出ています。内田真一副総裁が過去に「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べていたことも記憶に新しく、次回の利上げ予想時期を4月から6月へ後ろ倒しにする見方が広がっています。

金融政策の乖離とエネルギー依存が円売りに拍車

円が売られ続ける背景には、利上げに慎重な日本と、インフレ抑制のためにタカ派的な姿勢を維持する他国との金融政策の明確なコントラストがあります。欧州ではECBが2026年中に3回の利上げを行うとの見方が市場のコンセンサスとなっており、豪州準備銀行のハウザー副総裁もインフレ抑制のための利上げの必要性に言及するなど、今年さらに2回の追加利上げが織り込まれています。他の主要国と比べて日本の実質金利が深いマイナスに沈んでいる状況下では、円を買う理由は非常に乏しいと為替アナリストは指摘しています。

加えて、日本のエネルギー構造に起因する脆弱性も円売り圧力を強めています。日本は原油輸入のおよそ9割を中東に依存しており、欧州の1割程度と比較して極めて特異な構造にあります。国際指標となる米原油先物価格が高止まりするなか、中東依存度が高い日本経済は貿易赤字が大きく膨らむとの懸念が根強く、こうした実需面の悪化懸念も円相場を下押しする大きな要因となっています。

焦点は植田総裁の発言と「160円」攻防、6月利上げへの期待は継続

もし市場予想通りに4月の利上げが見送られた場合、円安圧力はさらに強まり、心理的節目である1ドル=160円台が定着するとの見方は少なくありません。ただし、4月利上げの可能性が完全に消滅したと断定することはできません。2024年7月の利上げ決定時には、直前まで確率予想値が3〜4割程度にとどまっていたという経緯があるからです。

当面の大きな焦点となるのが、16日に開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議後の植田総裁の記者会見です。ここで利上げを示唆するような発言があれば、市場にとっては大きなサプライズとなります。また、為替相場が1ドル=160円を超えるような急激な円安水準へと進行した場合、政権サイドも利上げを容認する姿勢に傾く余地が残されています。

たとえ4月の会合で動かなかったとしても、今年の春季労使交渉(春闘)における賃上げ結果が日銀の想定通りとなっていることなどを背景に、6月までに利上げが決まる確率は76%に達しており、中長期的な金融引き締め路線に変わりはないとみられています。現在の歴史的な円安は、日銀の金融政策決定会合を前にした市場の期待後退と、グローバルな金融環境の格差が生み出した結果です。今後の為替介入への警戒感や日銀要人の発言、そして中東情勢の推移が、引き続き円相場の行方を左右する重要な鍵となるでしょう。

==============================================

📩米国株や米金利の最新見通しは、毎週月曜配信の無料メールマガジンでお届けしています。
相場の先読みや注目イベントを逃さないために、ぜひご登録ください。

👉メールマガジンの登録はこちら

==============================================

関連記事

資産運用についてお悩みがあれば、
まずはご相談ください。

私たちファミリーオフィスドットコムは、金融商品・不動産・節税・相続など、あらゆる選択肢の中から、
お客様の価値観や状況に寄り添い、中立的な視点で資産運用をサポートします。
資産に関するお悩みや気になることがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

無料相談のお申し込み