本日のテーマは『米国株 急反発後の上昇が持続する条件とは』です。
先週まで、米国株式は大きく反発しました。11日間で+9.9%の上昇は、1950年以降で2番目に早い反転となっています。

この急激な上昇が今後も続くのかを見ていきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
[ 目次 ]
新FRB議長候補「ウォーシュ氏」の公聴会に注目すべき理由
新FRB議長候補の発言に注目が集まる理由
注目が集まっているのは、4月21日 日本時間23時に予定されている、FRBの新議長候補であるケビン・ウォーシュ氏の公聴会での発言です。

下の図表、UBSが出したFRBのセンチメントトラッカーをご覧ください。青のチャートが下がるとFRB全体がハト派的、上に転じるとタカ派であることを示しています。
2023年以降、インフレが落ち着いてきたこともあり、FRBはハト派になってきました。それが株価を大きく上昇させた要因として知られているわけですが、赤丸で示した箇所から、タカ派に反転しかけていることが分かります。
きっかけはイラン情勢で、原油高が続くことが懸念され、利下げができない、利上げすべきではないかという話から、ややタカ派的になっている状況です。こういった状況が、急反発の前までは株価の重しになっていました。
今回、ケビン・ウォーシュ氏が公聴会において、タカ派的な発言をするようであれば、新しいFRB議長がタカ派ということで、青いチャートが上がっていくと、株価にとって悪材料になるのではないかと懸念されています。
そもそもウォーシュ氏はタカ派ではないかと言われていることもあり、注目が集まっているのです。
では、何に言及する可能性があるのでしょうか。
新FRB議長候補の注目ポイント
発言が予想される内容が、ある程度ニュースになっていますので、簡単に確認していきます。
金融政策の独立性は不可欠、大統領や議員が金利についてコメントしたとしても、それ自体は特段の脅威ではない。FRBは自分の領分を守り、インフレと雇用をしっかり見つつ、景気にも配慮することに集中する。インフレに関しては、FRBが責任を持つと発言すると予想されています。

これ自体が大きく材料になることはないでしょうが、今までのウォーシュ氏の発言を聞くと、2つのポイントが挙げられます。
ウォーシュ氏は以前から、生産性が上がってくると、利下げを行う理由になると言っています。左の図表、生産性を表したチャートを見ても、PCが普及したとき、インターネットが普及したときには生産性が上がり、現在はAIの進展によって生産性が上がっている状況です。
彼の発言をたどると、利下げを行ってもよい状況にあるとも解釈できます。タカ派に転じているものがハト派に転じることとなれば、株価にはプラス要因、株価上昇の持続要因になると言えるわけです。
一方で、右の図表、FRBの資産を表したチャートをご覧ください。資産総額は今まで減少してきましたが、今は横ばいとなっています。
ウォーシュ氏は以前、FRBの理事の辞任理由として、FRBが膨らんだ資産を持つことへの懸念を挙げていました。そのため、資産を減らすようなQTを行うのではと言われているわけですが、今の状況から、それができるのかを確認してみましょう。
現在の米国経済状況
個人消費に減速傾向
今回注目したのは個人消費です。個人消費はGDPの6~7割を占める、米経済のドライバーとなっています。
過去10年間、個人消費はGDPの約2%を占めていました。ただ、ここ1年は1.5%近くまで低下し、昨年の第4Qに限って言えば1.3%まで下がってきています。徐々に個人消費が減速しているのです。

個人消費の落ち込みは、経済の落ち込みを表します。ウォーシュさんが言おうとしていた、FRBのなすべきことへの集中の1つとなります。経済的なサポートのため、利下げを行う可能性が出てくると考えられます。
右のチャートは個人の実質支出です。青い点は3ヶ月平均ですが、年率換算で0.8%まで落ちてきています。過去においては、リーマンショックやコロナショック時にマイナスまで転じることがあるのですが、今はかなり低い水準です。
個人の支出もかなり減っており、個人消費がかなり減速傾向を見せているので、これは要注意です。そこに配慮をするのであれば、利下げを検討する可能性があるでしょう。
税還付は一時的な追い風になる可能性も
対策として、税還付があるではないかとの意見があります。税還付とは、昨年アメリカにおいて減税が行われたことで、確定申告を通じた税還付が始まっており、国民の懐はかなり潤っています。

左の図表、2026年の黒いチャートのように、巨額の資金が早いスピードで返ってきています。右のグラフは、過去に比べてどのくらい額が増えているかを表しているのですが、平均給付額で11%も上昇しています。かなり懐が温まっているわけですから、個人消費も支出も増えてくるのではないか、心配はいらないのではないかと言われていたわけです。
ガソリン高が還付効果を相殺
ところが、不確実要素となるイラン戦争によって、原油高が起こっています。
左の図表はモルガン・スタンレーが出した資料で、ガソリン価格が15%上昇、3.6ドルになると、巨額の税還付という平均的な払い戻しに対して、ガソリンの高騰が相殺する分岐点となることを示しています。

今はアメリカでは1ガロン当たり4ドルを超え、今の時点で税還付を上回るガソリン高騰による負担が増えてきています。そうなると、個人支出は増えないことが予測されています。
実質所得は今後低下する可能性も
こちらのスライド、青が税還付の額、黒がガソリンに対する支出の増加を表しています。

4月の時点までは税還付が上回っていましたが、これから税還付が落ち着いてきますから、実際には減ってくるわけです。対してガソリン価格は、情勢がどう転ぶか分からないとなれば、原油が高止まりして支出が増えていきます。
支出が伸びる状況は少し考えにくいことが分かりました。これを考えると、生産性の向上もさることながら、個人消費が落ち込むことに対して、利下げを検討してもおかしくないことが分かりました。
個人消費の減速は株につながる
QTを行うと、一般的には長期金利の上昇、株価の下落に結びつき、個人消費に影響を与えます。

下のチャート、青がS&P500を表しますが、QTでS&P500が前年比で下がってくると、黒いチャートで示した個人の支出も相関性が高いため、下がってくると想定されます。
個人消費が落ち込む中で、株価が下がるような政策をとることで、経済が減速し、インフレが高止まりすると大変だというのはみんな分かっています。そういった状況の中でもQTを実行するのか、言及するのかというと、おそらく今回はスキップして先延ばしにすると思われます。
6月に利下げを行うかは別にして、利下げの目線を強めに持ちつつ、QTについては時期を改めるのではないかと、今のマクロ環境から言えるでしょう。
株価上昇の鍵とは
株高の鍵は”利下げ期待”
次に持続性です。ここ最近の株価上昇の構成要因としては、赤のマージンについては企業利益率の改善、青の売上の成長率、EPSの成長が大きくなっています。

一方で、PERはマイナスの影響となっており、株価は今まで上昇していましたが、ほとんどが企業の利益をベースとした上昇だったと言えます。
もし景気に配慮したハト派的な政策を取り、金利低下となれば、PERが上昇しやすい傾向になってきますから、黄色い部分がかさ上げになる、株価上昇のシナリオにつながってくると言えるでしょう。
金利低下がテック株の加速のトリガー
さらに、金利低下はテック株の加速のトリガーになり得ます。お伝えしたいと思います。

左のグラフをご覧ください。これはPEGレシオで、分子がPER、分母がEPSの成長率です。成長率が非常に高いのにPERが低いという状況においては数字が低く出るのですが、テックが1.5と非常に低い数字になっています。S&P500と比べても低く、ヨーロッパよりも低いという状況で、かなり安く評価されています。非常にバリュエーションが低くなっているのです。
金利が低下するようであれば、PEGレシオの修正が十分に起こってもおかしくないというのが1つ目です。
さらに右のチャートをご覧ください。紫のチャートは、テックのセクターに関して株価がどう動いたかを表したものです。緑のチャートは、テック企業の前年比EPSを表したものです。
今、EPSは非常に大きく上昇しています。それによって株価も紫のチャートも上昇しているのですが、株価先見性があります。EPSが成長する前に上昇する傾向が、過去すべてにおいて確認できています。
そう考えると、今はEPSが上昇していますが、それに遅れるような形で株価が上昇していますから、本来に比べると明らかに出遅れがあるわけです。
EPSの裏付けがしっかりある中において下がってきた要因は、金利など複数あるのですが、ここが改善するのであれば、S&P500に占める割合が非常に大きいテック株は大幅に上昇し、株価が上昇する要因になるでしょう。
今晩予定されているウォーシュさんの議会証言によって、短期の金融政策がどうなるのか、QTがどうなるのかに言及することが、いかに株式市場などに大きな影響を与えるかがポイントとなります。
公聴会での発言を受けて、株式市場や金利がどういった反応を示すかを見ていけば、今後の株価の上昇は持続できるのか、それともできないのかが見えてくるかと思います。ぜひ公聴会の中身をしっかりと把握していただければと思っています。
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