2026年5月7日の東京株式市場は、歴史的な1日となりました。大型連休明けの日経平均株価は前営業日比3320円(5.58%)高の6万2833円で取引を終え、4月27日に記録した6万0537円を大幅に更新する史上最高値となりました。1日の上げ幅としては過去最大を記録しています。この急騰の背景には、「中東地政学リスクの後退」と「AI・半導体関連株への資金流入」という2つの要因があります。
中東情勢の緊迫緩和で原油価格が大きく下落
第一の要因は、中東情勢の緊迫緩和です。米ニュースサイトのアクシオスは6日、米国がイランとの戦闘終結に向けた覚書を用意し、合意に近づいていると報じました。米大統領も米公共放送PBSのインタビューで、5月14日から15日に予定される米中首脳会談前にイランとの戦闘終結に合意する可能性があると明言しています。
この報道を受けて原油の供給不安が和らぎ、6日のニューヨーク原油先物市場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近6月物が前日比7%安と大きく下落しました。原油高の長期化懸念が後退したことで、原材料価格の高騰に直面していた三菱ケミカルグループなどの化学セクターにも見直し買いが入り、投資家のリスク選好姿勢が一気に強まりました。
AI・半導体ラリーが日米韓市場を席巻
第二の、そして最大の要因が「AI・半導体ラリー」です。日本の連休中、米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は1〜3月期決算で純利益が前年同期比でほぼ2倍となり、株価は一時2割高と急騰しました。米シティグループのアナリストは、アルファベットを含むハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)5社のデータセンター向け設備投資総額が2026年に前年比83%増の7300億ドルに膨らむと試算しており、AIインフラ需要の底堅さが鮮明になっています。
この熱狂は東京市場にも波及しました。象徴的なのが半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスです。同社株は寄り付きから制限値幅の上限となる前営業日比7000円(19.22%)高の4万3410円でストップ高となり、気配値での時価総額は約23兆7000億円に達し、日立製作所を抜き国内6位に浮上しました。国内工場を共同保有するサンディスクが好決算を発表し、株価が3割近く急騰したことが背景にあります。
アドバンテストやソフトバンクグループも大きく上昇し、東京エレクトロンは株式分割考慮後の上場来高値を更新しました。AI投資の需要増が見込まれるフジクラや古河電気工業といった電線関連銘柄も軒並み買われ、韓国市場ではサムスン電子の時価総額が初めて1兆ドルを突破し、KOSPIが史上初の7000超えを記録するなど、アジア全体で半導体株が市場を牽引しています。
需給面でも日本株を強く後押しする構造
需給面でも追い風が揃っています。海外投資家は日本株の選好を強めており、今年に入ってからの現物と株価指数先物の累計買い越し額は、4月第4週までに約5兆6900億円に拡大しました。個人投資家にも変化が見られ、新NISAによる積み立て投資の普及に加え、3月の中東紛争による相場急落を短期間で乗り切った経験から押し目買い意欲が強まり、「逆張り」の売り姿勢が後退しています。この売り手不足の状況が、株価指数の水準切り上げを後押ししていると考えられます。
一極集中相場の死角と今後の課題
ただし、急ピッチの上昇には死角もあります。日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」は7日午前時点で16.3倍台と過去最高水準に達し、一部の値がさハイテク株への一極集中が鮮明です。
日経平均が6万円台に定着し、さらなる上昇軌道を描くには、自動車や銀行、建設、不動産といったTOPIXへの影響が大きい景気敏感株や出遅れ銘柄へと物色対象が広がる必要があります。AIという技術革新の実需と中東和平の地政学的雪解けが重なる現在、日本株が息の長い上昇相場を形成できるかは、買いの波が市場全体に広がるかにかかっていると言えるでしょう。
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