ログイン

無料ご相談

NY金先物が3.54%急落し約2カ月ぶり安値 原油高と米追加利上げ観測、今後の焦点は?

NY金先物が3.54%急落し約2カ月ぶり安値 原油高と米追加利上げ観測、今後の焦点は?

2026年9月28日のニューヨーク市場で、金先物相場が大幅に反落しました。中東情勢の緊迫化を背景に原油価格が上昇し、インフレ懸念の再燃から米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測が強まったことが売りを誘いました。米国債利回りが長短そろって上昇するなか、金利を生まない資産である金の投資妙味が低下した格好です。本記事では足元の市場動向とあわせて、四半世紀で価格が約20倍となった金の歴史も振り返ります。

金先物は約2カ月ぶりの安値、原油高が重荷に

28日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で、金先物中心限月である12月物の清算値は、前週末比152.80ドル(3.54%)安の1オンス=4168.40ドルと大幅に反落しました。8月上旬以来、約2カ月ぶりの安値水準です。取引時間中には一時4140ドル近辺まで下落する場面もありました。

大幅安の主因となったのは、中東情勢の緊迫化にともなう原油価格の上昇です。米大統領は9月26日、戦闘終結と石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の再開に向けてイラン側が示した和平提案を拒否したと表明しました。イラン側は一定の条件の下で7日以内に海峡を開放する意向を示していましたが、交渉の難航により供給混乱が長期化するとの懸念が意識されました。

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、WTI原油先物期近の11月物が前週末比0.19ドル(0.2%)高の1バレル=92.60ドルで取引を終え、取引時間中には一時96ドル台まで急騰しました。また、カタールの国営エネルギー企業はホルムズ海峡の閉鎖を踏まえて不可抗力宣言(フォースマジュール)の通知を延長しており、イタリアやアジアの顧客に液化天然ガス(LNG)を供給できない状態が続いています。

米長期金利は高水準、追加利上げ観測が拡大

原油高の継続はインフレ懸念を再燃させ、FRBが金融引き締めを続けるとの観測を強めました。米債券市場では国債売りが広がり、長期金利の指標となる10年債利回りは5.2%台で推移しています。2007年6月に記録した5.33%のピークに迫る水準です。30年債利回りは一時5.58%まで上昇しました。政策金利の見通しを反映しやすい2年債利回りも4.9%台と、節目の5%に近づいています。

金利先物の動向から算出される市場の予想では、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利上げが行われる確率が7割を超え、12月会合を含めた3会合連続での利上げ確率も6割近くに達しました。スワップ市場では、あと3回の利上げが完全に織り込まれています。FRBのクック理事も28日の講演で、AI関連投資による需要が幅広い分野の価格に波及する可能性を指摘し、その物価圧力を年内に生産性の改善が打ち消すとは見込んでいないと述べました。

利子の付かない金は、長期金利の上昇や利上げ観測によって相対的な魅力が薄れ、売りが優勢となりました。金利上昇と地政学リスクは株式市場にも波及し、28日はダウ工業株30種平均など主要3指数がそろって下落しました。S&P500種株価指数は月間の上げ幅を失っています。

外交交渉への期待と供給不安を和らげる動き

市場の緊張が続く一方で、事態打開に向けた外交の動きも伝えられています。ロイター通信の報道によると、カタールの仲介団が28日または29日にニューヨークでイランの外相と会談するほか、米国側とも個別に協議する見通しです。米大統領も協議が近く再開されるとの見方を示しており、交渉継続への期待から原油相場や米長期金利の上昇が一服した場面では、金先物の下落も一時落ち着きを見せました。

原油の供給不安を和らげる動きも出ています。サウジアラビアはドローン攻撃で停止していた東西パイプラインの流量を日量少なくとも350万バレルまで回復させ、紅海沿岸のヤンブー港での積み込み作業も再開しました。

四半世紀で約20倍となった「安全資産」金の歩み

今回は大きく反落した金相場ですが、長期的に見れば過去四半世紀で価格は約20倍となり、足元でも1オンス=4000ドルを超える歴史的な高値圏で推移しています。金は紛争や経済不況などの危機時に買われる「安全資産」として、社会の不安を映し出してきました。

1971年のニクソン・ショックで金とドルの交換停止が発表され、その後、金価格は市場で決まる体制へと移行しました。1973年の中東危機や、1979年のイラン革命、ソ連のアフガニスタン侵攻を経て「有事の金」という認識が広がり、1980年1月には1オンス=875ドルの高値をつけています。

21世紀に入ると、2001年の米同時多発テロや、2003年以降の金上場投資信託(ETF)の登場によって金に投資する手段が広がりました。2008年のリーマン・ショック時には、株価の回復に数年を要したのに対し、金は下落後、比較的早期に水準を回復しています。

近年も、2020年のコロナ禍にともなう金融緩和、2022年のロシアによるウクライナ侵略、今年の米国とイスラエルによるイラン攻撃など、地政学リスクや不確実性が金相場を支えてきました。足元では利上げ観測や金利上昇という短期的な売り圧力に直面しているものの、混迷を深める世界情勢のなかで、「安全資産」としての金への関心は引き続き高い状態が続いています。

まとめ

私が金相場を見るうえで、まず注目しているのは原油価格と中東情勢です。先月からの金価格の下落には、原油高がインフレ懸念を強め、FRBの追加利上げ観測につながったことが大きく関係していると考えています。金利を生まない金にとって、実質金利の上昇は重荷です。

当面は、ホルムズ海峡の通航が実際に回復し、原油価格が落ち着くかどうかが分岐点になります。それによって追加利上げ観測が後退し、米国の実質金利が低下すれば、金への売り圧力は和らぐ可能性があります。一方、交渉が進んでも供給の混乱が続けば、金利面からの逆風も残るでしょう。

中期的には、金を買い増す中国や各国の中央銀行の動きも見逃せません。ワールド・ゴールド・カウンシルによると、2026年4~6月期の中央銀行による金の純購入は約289トンに回復し、中国人民銀行も同期間に33トンを積み増しました。また、中国の2026年の金購入額は8月時点で2025年の総購入額を超えているほど購入意欲が高い状態です。

目先の金価格は原油と実質金利に左右され、その逆風が和らいだ後は、中央銀行の継続的な需要が価格を支え、再び上昇に転じる可能性があると見ています。その順序を見極めるため、原油の実際の輸送量、FRBの利上げ見通し、米国の実質金利、そして中央銀行の購入動向を確認していきます。

関連記事

資産運用についてお悩みがあれば、
まずはご相談ください。

私たちファミリーオフィスドットコムは、金融商品・不動産・節税・相続など、あらゆる選択肢の中から、
お客様の価値観や状況に寄り添い、中立的な視点で資産運用をサポートします。
資産に関するお悩みや気になることがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

無料相談のお申し込み