[ 目次 ]
皆さんこんにちは。ファミリーオフィスドットコムです。本日は、4月28日水曜日。今週の中間チェックをお伝えします。
現在は、4月27日~28日に開催されるFOMCについて、市場関係者が注目しています。終了後の会見で、テーパリングについてコメントするのではないか、インフレに対する懸念を示すのではないかなど、市場関係者からはいろいろなコメントが出ていますが、一般的なコンセンサスでは、政策はこのまま維持でテーパリングについてのコメントも無いと言われています。
ただし、前回のFOMC以降、かなりインフレを示す指標や、景気の好調さを示す経済指標が続いています。そのようなことから、何らかのコメントがあってもおかしくないと、マーケットは少し身構えている状況に思われます。
このように、FOMCの内容にとても注目が集まってい状況ですが、FOMC開催される直前のここ2日間だけですが、過剰流動性相場によって、市場に反動が来ている兆候やニュースが見られています。そのことについてお伝えすることが、今日のテーマとなります。
過剰流動性相場とは、積極財政や、超緩和的な金融緩和により、市場に資金がだぶついた状態のことです。接触的な財政政策や緩和的な金融相場とは異なり、想定以上に資金がだぶつき、通常ではお金が行き届かないところにお金が行っている状態、お金余りの市場を表した表現になります。
今、過剰流動性相場の反動が、ニュースの中に散見されます。つい、聞き逃していることもあるかと思うのですが、バブルの兆候が明らかに出ていることもありますので、しっかりと見逃さないように確認していきたいと思います。
最近あったニュースの中で、まず、積極財政を行った反動が見られるものを2つ取り上げます。1つ目は、バイデン大統領の包括的税制案の中で、IRS(内国歳入庁)に800億ドルの予算を増額予定だということです。
800億を増やすことで、人員を増やし、調査時間を増やしますが、目的は相続税の計算を変え、相続税からの税収入を増やすことです。長期にわたって800億ドルの予算をかけて、7,000億ドル程度の歳入増加を見越している、つまり、10倍近くの税収を見込める投資と、説明されています。
具体的な内容は、相続税の対象となる資産を取得したときの時価ではなく、相続が発生したときの時価「ステップアップ」に変更するとのことです。日本においては、ほとんど時価で計算するので違和感がありませんが、アメリカにおいては、相続税に対する優遇がありました。それを変えていこうと言われているのです。
こういった変更も、今までのコロナ対策における積極的な財政の反動ということで、より、増税感が強まっているという、1つのニュースだと思われます。
2つ目のポイントです。バイデン政権の、法人税、キャピタルゲイン課税を含めた税改正で、企業業績への影響がより深刻化していると、金融各社が相次いで発表しています。
今までも、当然、増税することによって、企業業績に大きな影響があるとは言われていました。改めて計算してみると、現時点においても、2022年のS&P500のEPSに関して、8%~10%ほど、下押しの影響があるのではないかと言われています。具体的な数値では、2022年のS&P EPSは、およそ205ドル~210ドルだったものが、182ドル~190ドルぐらいまで、低下するということになります。
この2つは、企業努力とは関係なく、法人税の増税等に伴うものですので、積極財政の反動ということになります。積極財政に、今まで利益を前取りしていたものが、これからつけを払っていく相場に入ったということを、改めて確認する出来事だったと言えるでしょう。
次に、金融緩和の反動について。2つのポイントがあります。今週のS&P500時価総額の40%を決める、企業の決算発表です。先週までの決算発表も、とても好調でした。予想(コンセンサス)を上回る企業が、売り上げベースで77%、利益ベースで86%と、とても好調な状況です。
アメリカの企業は、日本と違い、なるべく低く出して、それに対して企業業績を上積みしていく特徴がありますので、上回ることは当然です。しかし、平均よりも10%近く、例年より上がっていますので、やはり、業績が好調だと言えます。
ただ、現在の株価の推移は、高値を取ってきているとはいえ、業績の上昇率に比べると、上がっている株価は限定的です。そういったことを考えると、期待先行、つまり、金融緩和を先取りしたことにより、反動が来ているのではないかというのが、1つ目のポイントとなります。
2つ目のポイントは、インフレ指標についての、まちまちな状況です。例えば、カンファレンスボード消費者信頼感指数では、とてもいい数字でした。ただ、その中の項目で、1年後のインフレ率はどうなっているのかに対して、先月から横ばいと、実は物価が上がっていないとの発表がありました。
一方で、P&Gやコカ・コーラなどの決算発表が先週ありましたが、この中では、インフレという言葉が繰り返し使われていました。仕入れの価格が上がっているので、価格転換をするしかない。入れてくる材料が高くなることによりコストプッシュインフレで、物価が上がり続けていると、コカ・コーラやP&Gの消費関連株が訴えています。
実は、アメリカの決算発表の中で、物価上昇や、値上げ、インフレという言葉が非常に多く使われていて、今までに無いような言葉の使われ方だと、アメリカの中で話題になっています。
さらに、コモディティIndexでは、年初来高値を更新しています。年間12%近く、コモディティ価格が上昇していますので、かなりの上昇率になっています。また、10年間のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)、年率どのくらい物価が上昇するかでも、2.39%まで上昇しており、2013年以来、8年ぶりの高水準です。
カンファレンスボードでは物価はそれほど上がっていませんが、それ以外では、物価の上昇が懸念されているとして、金融緩和のつけが、そこに来ていると確認できます。
そして、ここからが本日のテーマになります。今までのように、財政や金融だけの話だけではなく、それがミックスされた結果、株式市場や、ハイイールド市場にも、かなり兆候が出てきています。
今回取り上げるのは日経平均ですが、信用倍率は先週段階で、4.66倍と、2018年6月以来、相当高い水準になっています。2018年6月というと、10月から株価が大きく下落しましたが、その前に、個人投資家が目いっぱい仕込んでしまい、大きな損を抱えたということがありました。そのポイントまで近づいてきているということになります。
新聞等では、個人が「戻りを期待した買い」と言われています。信託銀行の売り越しなどを見ると、機関投資家や、プロの投資家が売ったものを、個人が拾っている、相場付きになってきていると思われます。過剰流動性、個人にまでお金が行き渡ったことで、バブルのような状態が続いているのではないかということが、確認できます。
さらに、ブルームバーグに出ていたニュースです。ハイイールド市場における、ドル建てジャンク債。倒産リスクが高い代わりに、高い金利をつけた、CCC格付けのものが、ITバブル崩壊以降、ずっと下がってきた中でも、4%と、さらに安値を更新しました。
極端にお金の行き場が無くなり、株にも行き、不動産にも行き、ハイイールド債権にも行く。通常は行かないところにもお金が向かっている過剰流動性で、非常に問題視されている状態になってきています。
今までの記事でも、何度かお伝えしているように、バブルの定義はいろいろありますが、バブルとは、ある一定量限られたものに、大量のお金が入ってきたことによって、破裂することを言います。
株式や債券のように、ある程度大きなマーケットにお金が入っても、そんなにパンクすることはありません。前回では、サブプライムローンマーケットに、巨額のお金が流れた込んだことで、それがはじけてしまいました。
今回は、もしかしたら、ハイイールド債券や、もしくは、あまり日頃向かわないところに、お金が流れ込む過剰流動性相場に突入している可能性が、非常に懸念されている状況です。
最後に、まとめとして、今後気を付けることをお伝えします。ニュースをご覧になるときは、以下の観点で見てください。
積極財政が行われた場合、財政を伴うので、先行して、非常に好景気な経済指標が出てきます。例えば、ISM製造業指数が良いなどです。そのような結果は、先行して出てきますが、遅行して、財政の裏返しである、歳出、歳入を増やさなければならないということで増税が行われます。増税が導入されると、株価においては、EPS、一株当たりの利益低下が起こります。
積極財政の良かった部分から、今回は、反動部分が出始めているということが、今回のニュースから確認できました。
さらに、金融緩和では、先行するのは好調な企業決算になります。企業の決算は金融緩和で支えられていくのですが、その後訪れるのは、インフレや金利上昇による影響です。最後に、反動としては、株価算定の評価が下がる、つまりPER低下により、影響が出てきます。1月~3月にPERが下がったようなことが、起こってきているということになります。
積極財政も、金融緩和も、共に反動を受けるような時期に突入していることになります。そのような状況で、FOMCがどんな判断をするか、とても大事ですが、さらに過剰流動性という観点に目を向けます。
過剰流動性のお金により、最初は先行して、全ての資産が総じて上がっていく、非常にいい状態に入って行きますが、遅行して、その中でも行き場を失ったお金が、ハイイールド債券や、プライベートエクイティなどのリスクの高いものにお金が行く状態が、続いていくことになります。
そして、その遅行の後には、反動として、バブルの崩壊になります。一部の小さな器が弾けることによって、全体が崩れることは、過剰流動性でよくある反動です。まだそこまで至っていないかもしれませんが、もう、遅行から反動の手前まで来ているということに、認識を持つ必要があります。
また、過剰流動性で起こることは、もう1つあります。期待利回りの低下で、株も債券も、全てお金が入ってくることで、期待利回りが下がってくるということです。それを上回る運用を行うためにも、過剰なレバレッジで、収益を上げようとします。
単品の商品で、5%の利回りがあれば、それで十分なのですが、1%~2%下がったことで、3倍のレバレッジをかけて、5~6%の利益を得ようと躍起になるとなると、過剰レバレッジが、遅行して起こってきます。過剰レバレッジが起こると、反動として銀行に対する規制導入や、さまざまな破綻が起こるとされています。
今回、そういった規制や破綻は、既に、いくつかのケースで出てきていますので、過剰流動性の反動は、いくつか見られていると、私たちは考える必要があります。
このような緩和的な状況であるということは、当然、FOMCは理解しています。4月、6月のFOMCにおいて重要視され、マーケットが注目しているのは、雇用と物価を維持するために、さらなる緩和状態を続け、過剰流動性相場を続けるのか、それとも、いち早く何か手を打ち、過剰流動性相場に歯止めをかけるのかです。
もし、FOMCが放置することがあれば、より過剰流動性相場の悪い部分が膨らんでいくことは、私たちは、常に考えておく必要があります。脅すわけではないですが、そういった場合には、何が起こるか分からないとして、ポジションを減らす対応しかありません。
こういった反動がいろいろなところで起こっているということは、今後も反動が多く出てくるということです。そのことを念頭に置き、ポジションを改めて確認しながら、今晩のFOMC、そしてバイデン大統領の施政方針演説を見て、今後のマーケットの見通しを立てていきましょう。
ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …
新興国株式市場からの資金流出が続いています。米国経済の底堅さや新興国経済の減速がその背景にあり、投資家たちは慎 …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週は、 …
米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが11月1日にダウ工業株30種平均(NYダウ)の構成銘柄にエヌビ …
米大統領選挙にて、次期大統領にトランプ氏が選ばれました。それを受けて先週は株価が大きく上昇しています。例えば小 …
MOVE指数は、米国債市場の金利変動リスクを測定する重要な指標です。金利のボラティリティを示し、その上昇は市場 …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …
[ 目次 ]1 先週の日本株の振り返り2 今週の日本株の見通し3 来週のドル円相場の注目点 先週の日本株の振り …
景気が停滞する中で物価が上昇する、いわゆるスタグフレーションのリスクが高まっています。その原因と私たちにできる …
アメリカの長期金利が上昇を続けています。一時期は3.6%まで低下していた金利が、10月25日段階では4.27% …
金(ゴールド)と銀がともに高値を更新し、市場の注目を集めています。この記事では、金と銀の価格上昇を支える要因や …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 10月2 …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 10月1 …
本日のテーマは『米国株今週の注目材料 企業業績と長期金利そして需給環境!』です。 アメリカの大統領選挙を3週間 …
世界が注目するBRICSサミットの概要 2024年10月22日から24日まで、ロシアのカザンでBRICSサミッ …
資産管理に正しい見積費用はあるのでしょうか? 例えば、資産運用の金融商品だけみても相当数あり、手数料は個別に異 …
ファミリーオフィスをつくりファミリーの資産管理を永続的に成長させる。 これがファミリーオフィスの究極的な目的で …
ファミリーオフィスとは、欧州や米国では広く認知されており、資産管理においてはとても優れたシステムだと周知されて …
ファミリーオフィスに依頼をすると費用が高いのではないかといことを良く質問されます。欧米からスタートしたファミリ …