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皆さん、こんにちは。ファミリーオフィスドットコムです。本日は、4月21日水曜日、今週の中間チェックをお伝えします。
月曜日、火曜日と、アメリカの株が下落基調に入り、約2%近く下がっています。今後、この流れが続くのか?、数か月後の影響はどうなるのか?、今回変化した相場内容から、考えていきます。
先週金曜日までと、月・火では、少しマーケットの雰囲気が変わってきています。低金利が続いているにもかかわらず株が下がり、金価格が上昇していたりと、今までの状況とは変化してきている背景は何か、見てみましょう。
1つ目は、株価式市場における需給の悪化です。ブルームバーグによると、S&P500の空売りが時価総額の1.6%と、17年ぶりの低水準になったとのことです。つまり、値段が下がったときに買い戻す、買戻しの割合が非常に低くなっている、下がった局面において、買い方がいなくなってしまっているということが、浮き彫りになりました。今後株価が下がることを警戒し、ポジションを整理しようとする動きが見られるのではないでしょうか。
2つ目は、マージンデッドです。個人投資家は、投資を行う際、銀行から借り入れていますが、これが前年比50%を超えて増えると、危険水準と言われています。1年間で50%以上借り入れが増えるというのは、ITバブルやリーマンショックのときに見られた動きなのですが、先月末の数字では、70%を超えていることが分かりました。既に、リーマンショック前の水準を上回り、ITバブルを匹敵する水準に近づいています。急激に株価が上がり、その分投資家が買い急いできた、買い方優勢の動きだということです。
売った後に買い戻す売り方が少なくなっている一方、買い方が中心になっているということで、下がったときには、利益確定を急ぐ性向がありますので、もし、株価が下がる傾向が続けば、前回までの調整よりも、より深くなる可能性があるということが、分かります。
次に、経済見通しの観点です。ワクチンへの過剰の期待が、少し剝落してきています。変異主の若年層に対する感染力が、非常に強いと判ってきていますが、世界のコロナワクチンを、未成年・学生がなかなか接種できない状況になっています。ワクチンの普及しない層に広がる変異種が、経済活動の足かせになる可能性が大きくなってきています。日本においても、学校閉鎖の話も出てきていますので、経済が回復基調から、足踏み状態に入ってくると、マーケットでは懸念されています。
さらに、CNNニュースによると、アメリカの国務省が、世界の80%の国々に、渡航中止勧告を出したということです。自国でワクチンが普及しても、全世界でワクチンが普及し、コロナ渦以前の状態に戻るというのは、相当先だということが、改めて理解されました。そういった意味では、GDPやいろいろな統計で、満点回答に近かったものについて、同じ状態が続くのか、今が経済のピークとなるのではないかという懸念が台頭し、この2日間、株価で調整が見られたようです。
次に、金融政策についてです。テーパリング開始時期に関して、JPモルガンのレポートでは、今年夏場頃からテーパリングがスタートするのではないかと、提示しています。テーパリングがスタートすると、マーケットにどのような反応が見られるか分かりませんが、開始前には、警戒する動きは出てくるでしょう。需給関係から見ても、余計な下落を避けるため、ポジションを早めに閉じようとする動きも出てきます。そのことも、株価に影響を与えています。
次に、財政政策です。ブルームバーグ等でもニュースになっていますが、2.15兆ドルのバイデン政権による、インフラ投資案が出てきている一方、共和党の上院議員が出そうとしている対抗案は、6000億ドル規模にしかならないとのことです。マーケットは2.2兆ドル規模を期待していましたが、6000億ドルとの差がどこまで縮まるのか、縮まらないのかと疑心暗鬼になり、株価調整につながったのではないかと考えられます
これらの状況を踏まえて、金融市場の反応は少し異なったものになっています。まず、1つ目、10年金利は3月の1.76%という高値から、1.56%まで下がっています。通常であれば、株価にとって歓迎すべき状況になりますが、ハイパーグロースGAFAMの株は、低調に推移しています。つまり、金利が上がったことで、PERの高さが正当化できないという調整が、2月まで起こった局面だとすれば、今回は金利が下がって、GAFAMが下がるということは、バリエーションが高い、PERが高いことによる、株価の下落ではない、他の本質的な下落に関わっているのではないかということが、過程として見えてきます。
そして、2つ目です。経済指標が好調にもかかわらず、景気敏感株は下落しています。内需に強かったり、国内経済の回復に強かったりする銘柄も下がってきているということは、経済の先行きに対しても、少し疑念が出てきている、もしくは、それを先に織り込みすぎたということが、今回言えるのではないでしょうか。
3つ目です。先週までは金利が低下することにより、株が上昇するという傾向があったのですが、金利が低下したことについては、日本の機関投資家、GPIFも含めて、年度末に向けて債権を処分していた中で、今回はそこにCTAというヘッジファンドが乗って、買い戻した中で、金利が下がりました。この金利低下を受けて、株価を買っている人が多かったのですが、今回は、株安になったことで、債券へお金が向かい、金利が低下するリスクオフの流れになっている可能性があります。もちろん、CTA等が買い戻している可能性もありますが、数日浮くようであれば、さらに金利が低下するリスクオフになってくると、金利が低下し、株価も下がる流れになる可能性も出てくるとのチェックが、必要になります。
さらに4つ目です。金の価格がじわじわと上がってきています。実質金利がマイナスになっている幅は、ほぼ変わらずに推移していますので、この状況で金が上がってくるということは、金に対するリスクオフのお金が入ってきていると、疑ったほうがいいでしょう。
そして、5つ目のポイントは、リスクパリティの動きが出始めているのではないかということです。S&P500は4月に入り、5.3%の上昇ですが、アメリカ10年国債債券価格は、1.12%の上昇にとどまっていまっていて、葯4%、パフォーマンスにギャップが出ています。そうなると、リスクパリティというのは、機関投資家の持っているポートフルの中で、株式の価値がどんどん上がってくるということは、元々持つべき%、例えば、25%を超えてくるような、全体の中に占めるですね、そうなってくる中で、上昇しているから株の割合が多くなってくると、その中で、VIXが上がってくるようなことがあると、株式の割合が増えている分だけ、価格変動の要因が増えてくることを意味します。ということは、VIXが上がってきた中においては、株価は減らさなければならない、株式の割合を減らさなければならないとして、債権に振り分けるリスクパリティの動きが、金利の動きや、株の動きから、見られているのかもしれないということになっています。
2009年以降、リスクパリティ戦略というのは、リーマンショックの反省も踏まえて、中心になっていますので、こういった調整が続くのではないかと考えています。
全体の総括です。2月の株価の調整は、金利上昇に伴うPER評価を下げる、バリエーションが改めてなされた結果としての、株価調整でした。今回は、経済の先行きを見通しすぎた反動であったり、もしくはバリエーションが高いことに対する、高値警戒感からの売りであったり、リスクオフの動きであったり、ワクチンの問題だったりと、様々な意味での、リスクオフの流れでの株価の下落だった可能性があります。
今はPERの評価が、S&P500で、22.8倍~23倍ぐらいの間で収まっていますが、低金利状態下でリスクオフとなれば、PER20倍程度まで下がってくることが考えられます。2017年以降の平均値、17.9倍までは下がらないにしても、20倍程度までの調整があり得ると考えれば、今の1株当たり176.9ドル×PER20倍=3,538ポイントとなり、現行水準から、15%程度の調整が起こりうるということです。そこまでの下落になるか、今後の状況を見ていく必要がありますが、今の段階では、予兆が見えてきています。
機関投資家は、全体のポジションの株に対する割合を、少し落としてきますので、個人投資家の皆さんも、株価が下がる可能性があるときには、ポジションを全体的に、少しスリムにすることで、下落局面に備えることが、基本になるかと思います。
ただし、金融相場がまだまだ続くだろうとも思いますので、調整はポジションを軽くすることで乗り越えていけば、この後の上昇局面も、しっかり上が取れる形になります。リスク管理としては、まず、ポジション調整を検討して見ていい状況が2日続いているということを、お伝えします。
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