新型コロナ感染の拡大に伴い世界的な金融緩和が2020年より始まり、2021年に入り徐々に積極的な金融緩和から正常化に向けた動きがスタートし始めています。たった一年で金融市場を取り巻く環境は日々変化しています。
このような時代に、伝統的な株式と債券に分散投資を行う資産運用、例えば、株式50%、債券50%のポートフォリオなどは今後あまり効果がないのではないか。株式のみへの投資で十分ではないかといった疑問を抱いた投資家もいたのではないでしょうか。確かに、2021年以降は金利上昇による債券価格の下落に対する懸念が再燃する可能性はあり、やはり、債券に求められているは株式投資のリスクを補完しうるか否かが重要になってきます。
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今回、債券と株式への分散効果について、以下の2つのETFを使います。
ACWI。iシェアーズ MSCI ACWI ETF。先進国および新興国の大型および中型株式で構成される指数と同等の成果を目指す。
IGOV。iシェアーズ 世界国債(除く米国)ETF。米国を除く先進国の国債で構成される指数と同等の投資成果を目指す。
さて、まずは以下のチャートを見て分かる通り、2010年以降、「世界株式100%」への投資が圧倒的にパフォーマンスが良くなっていることが分かります。
世界株式100%は、年率10.15%、
世界株式50%、世界債券50%は、年率5.9%のパフォーマンスになっています。
一方で、ポートフォリオの価格の変動という観点に移すと、やはり分散効果がある「株式50%、債券50%」に軍配が上がります。
最大下落率は、
「世界株式100%」は、-21.90%、
「世界株式50%、世界債券50%」は、-12.19%になっており、分散による価格耐久性の効果が確認できます。
また、リスク(価格変動)は、
「世界株式100%」は、年率14.62%、
「世界株式50%、世界債券50%」は、年率9.4%とブレ幅が小さく、分散効果によるリスクの軽減が確認できます。
ポートフォリオ運用における重要な要素として株式とポートフォリオの相関関係があります。これは、世界的に株価が調整している、特に世界一位の経済大国である米国の株式市場が大きく下落した際に、どの程度、株価とポートフォリオが連動して下落をするのかを測るものです。
米国株S&P500との相関関係は、
「世界株式100%」は0.96、
「世界株式50%、世界債券50%」は0.85
と共に米国S&P500と相関はたかいものの、やはり債券を組み入れたポートフォリオは、株式100%よりも連動性は低いことが確認できました。つまり、世界的に株価が下落する場合、債券を組み入れたポートフォリオが強度が高いということを証明しています。
おそらく今後数年にわたって、市場のボラティリティは高まると予想されます。積極的な金融緩和策が縮小され、正常化に向かうことでしょう。そして、インフレ率も徐々に上昇し、金利も上昇して、通常の経済運営になるはずです。
しかし、一方で、世界的に進んでいるIT化、技術的な革新、人口や国力の変化などは、多くの不確実性を伴います。明確に将来を予測することはそれほど容易なことではありません。そのため、賢明な資産運用を目指すほとんどの投資家にとっては、株式100%のリスクを相殺する手段として、債券やコモディティなどの資産の変動幅を抑える「自分に適した」ポートフォリオを構築することがきわめて重要になります。
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