米国株、海外投資家が2007年以来の大幅売り越し。今後も継続するのか?

米国株、海外投資家が2007年以来の大幅売り越し。今後も継続するのか?

超保守的な資産管理チャンネルで配信中

アメリカから見た外国人投資家が、7月に米国株を売り越しています。今回は、その背景を分析し、現在の米国株式市場の需給、今後の株式市場見通しをお伝えします。

9月16日のマーケットの振り返り

9月16日のマーケット動向は、少し違和感が残りました。小売売上高が予想よりも良く、予想は-0.8%、結果は+0.7%とかなりいい数字が出ました。

となれば、株が大幅に上がるべきところですが、新規失業保険申請件数も予想より多かったことや、中国の不動産会社エバーグランデが今月20日にデフォルトする可能性があるといういうニュースもあり、警戒感が高まってきていることで上値が抑えられました。

2008年9月15日にリーマンブラザーズが破綻したときも、「大きくてつぶせない」だろうと言われていました。しかし、最後は引き受け手がなく、3連休の休日に破綻しています。今回も、休日の9月20日にどうなってくるか、注意が必要です。ぜひ、ニュースは追いかけていただければと思います。

このようなマーケットの重しになるような材料があったので、ナスダックは若干のプラス、NYダウは下落というまちまちの内容となりました。しかし、この上値の重さの根底にあるのは、米国株に対する需給が悪化していること、つまり、米国株に対する買い意欲の減衰だと、私は考えています。

外国人投資家の購入状況

こちらは、外国人投資家が米国株や社債をどのように買っているかを表したものです。7月から見ると、緑で囲ってある部分、財務省の債券購入と政府のエージェンシー債券の購入は買い越しになっています。一方で、株式は売却をしているケースが多く、社債も売却している、つまり企業に関するものは売り越しになっています。

米国株の売り越しについて

次に、米国株を売り越しているケースがどのくらい少ないかを確認します。2007年以来の海外投資家が米国株を売り越していて、その金額が月間343億ドルですから、おおよそ3.5兆円程度となります。

これだけ米国株式が上昇している中において、外国人投資家が売り越しています。

本来であれば、株を売り越せば、株価が大きく下落するはずです。その下落を買い支えているのは、自社株買いです。こちらは自社株買いの金額を表したものですが、自社株買いが最近もかなり広がっています。

ここまでのまとめ

つまり、外国人投資家が米国株の変調に気付き、また、中国経済の減速、米国経済の減速等に嫌気がさして、米国株の割合を減らしています。その中で米国株を買い支えているのは、米国企業による自社株買いだと、構造上見えてきているのです。

もちろんアメリカで投資をしている人もいますが、株価のインデックスで上値が重くなったところで均衡が取れているのは、外国人の売りに合わせるように、企業が自社株買いを行っていることが背景にあります。

株価の均衡はいつまで続くか

では、この均衡がいつまで続くのかです。9月16日にも大きくニュースとして取り上げられていましたが、民主党による3.5兆ドルのインフラ法案の進展がもたついていています。非主流派が歳出と歳入両方のバランスを取るべきだと主張し、もし、3.5兆ドルの法案を通そうとするのであれば、税収を増やすために法人税の増税とキャピタルゲイン課税を増やすべきと主張しているのです。

また、それ以外にも、自社株買いに対する規制を増やすとの話が出ています。海外の投資家が米国株からお金を引き上げている最中に、それを支えた自社株買いを課税する法案が通ってくれば、自社株買いが減ってくる可能性は十分にあります。そのため、今後需給が悪化する可能性がありますので、非常に注意が必要です。

また、米国株からお金が逃げている理由は、中国経済が減速していることもあります。そのため、ナスダックは月間+4%ですが、世界経済と関係が深いNYダウはマイナスに転じるなど、かなり強弱がついてきています。

終わりに

こういった状況は、株価にとって黄色信号が出ていると思い、ぜひ、この1~2カ月はしっかりとシートベルトを締めた状態で、株式市場に向かっていただければと思います。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

日銀利上げで不安材料で出尽くしか?【日本株・ドル円 週間見通し】 1月18日号(1月20日〜1月24日)

日銀利上げで不安材料で出尽くしか?【日本株・ドル円 週間見通し】 1月18日号(1月20日〜1月24日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週(1 …

原油価格上昇が株式市場に与える影響~WTI原油価格80ドル台復帰と今後の注目点

原油価格上昇が株式市場に与える影響~WTI原油価格80ドル台復帰と今後の注目点

2025年1月15日、WTI原油価格が約5カ月ぶりに80ドル台に回復しました。この背景にはOPECの堅調な需要 …

【米国株 】米長期金利が株価の重石。米長期金利の上限目処は?【1/14 マーケット見通し】

【米国株 】米長期金利が株価の重石。米長期金利の上限目処は?【1/14 マーケット見通し】

本日のテーマは『長期金利が株価の重石。金利の上限目処について』です。 2024年は非常に強かったS&P …

第2次トランプ政権の政策と日米関係への影響

第2次トランプ政権の政策と日米関係への影響

2025年1月20日、ドナルド・トランプ氏が第47代アメリカ大統領に就任します。再任後、減税や規制緩和、さらに …

米国金利の影響を受ける中で取るべき戦略は?【日本株・ドル円 週間見通し】 1月11日号(1月14日〜1月17日)

米国金利の影響を受ける中で取るべき戦略は?【日本株・ドル円 週間見通し】 1月11日号(1月14日〜1月17日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

金利上昇局面で注目される債券投資~具体的な選択肢とその魅力

金利上昇局面で注目される債券投資~具体的な選択肢とその魅力

国内外で金利が上昇する中、個人向け国債や社債が再び注目を集めています。「変動10年型」個人向け国債は、金利上昇 …

【米国株 S&P500】市場関係者がほぼ強気の中で想定外のリスクとは?【1/6 マーケット見通し】

【米国株 S&P500】市場関係者がほぼ強気の中で想定外のリスクとは?【1/6 マーケット見通し】

2025年の米国株式市場について、金融機関の多くの予想が強気です。本日は、その強気のメインシナリオに想定外のこ …

為替も株価も引き続き日銀次第【日本株・ドル円 週間見通し】 12月21日号(12月23日〜12月27日)

為替も株価も引き続き日銀次第【日本株・ドル円 週間見通し】 12月21日号(12月23日〜12月27日)

日本株先週の振り返り 先週の日経平均株価は前週末比849.32円安(2.15%安)の3万8,701.90円で取 …

2024年12月の日銀金融政策決定会合 ~ 利上げ見送り、その次の一手は?

2024年12月の日銀金融政策決定会合 ~ 利上げ見送り、その次の一手は?

2024年も終わりを迎える中、注目された日銀の金融政策決定会合が12月18日から19日にかけて行われました。本 …

【FOMC】注目のFOMC開催。その後、米ドル、米国債券、金価格はどう動く?【12/16 マーケット見通し】

【FOMC】注目のFOMC開催。その後、米ドル、米国債券、金価格はどう動く?【12/16 マーケット見通し】

*当記事は、2024年12月16日に公開されたYoutube動画をベースに作成しています。 [ 目次 ]1 1 …

FRBのタカ派サプライズ!市場はどう動く?今後の展望

FRBのタカ派サプライズ!市場はどう動く?今後の展望

米連邦準備制度理事会(FRB)が12月18日に開催したFOMCでは、予想通り0.25%の利下げが実施されました …

植田日銀総裁の発言にヒントあり【日本株・ドル円 週間見通し】 12月14日号(12月16日〜12月20日)

植田日銀総裁の発言にヒントあり【日本株・ドル円 週間見通し】 12月14日号(12月16日〜12月20日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 今週の日本株見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週(1 …

米11月CPI結果から見るFOMCの利下げシナリオ

米11月CPI結果から見るFOMCの利下げシナリオ

[ 目次 ]1 米11月CPI、予想通りの結果で安心感広がる2 住居費インフレの鈍化と「スーパーコア」への注目 …

年末に向けて米株高が続く。市場が動く次の材料は?【12/9 マーケット見通し】

年末に向けて米株高が続く。市場が動く次の材料は?【12/9 マーケット見通し】

先週も米国では様々な市場材料がありましたが、株価上昇が続いています。本日は、今後どのような材料が市場の転換点と …

インド株の調整と今後の展望:大型IPO、地政学リスク、トランプ氏再選でどうなる?

インド株の調整と今後の展望:大型IPO、地政学リスク、トランプ氏再選でどうなる?

今日はインド株市場の最新動向について解説します。インド株は最近、大きな調整局面に入っていますが、その背景にはど …

おすすめ記事