スイス留学 のおけるボーディングスクールのメリット・デメリット

スイス留学 のおけるボーディングスクールのメリット・デメリット

超保守的な資産管理チャンネルで配信中

渋谷:留学サポートのエキスパートである天野さんをお招きして、留学についてお話をお聞きします。よろしくお願いします。

天野:よろしくお願いします。

スイス留学のメリット・デメリットとは

渋谷:前回に続き、元スイスラーニングの日本代表、スイスのエキスパートの天野さんに、スイスについてお聞きします。ずばりスイス留学のメリット、デメリットは何ですか?

メリット

天野:メリットからお話します。スイスは元々多文化、多言語、共存の国です。学校は留学生が基本で、30~120カ国程度と世界各国から留学生が集まります。そんな環境は、スイスのボーディングスクール以外ありません。

そういうところで寝食を共にし、みんなで勉強し、日々過ごすだけで国際感覚が身に付きます。それがスイスのボーディングスクールに行く大きなメリットの一つです。

また、スイス自体が多文化で、外国の方を受け入れてきた国なので、外国人にそもそも優しいです。

イギリスやアメリカに行ってしまうと、今はいじめられることこそ少なくなりましたが、視線が気になることがあります。スイスでは、そういうことがないのもメリットだと思います。

渋谷:寝食を共にするというお話がありました。私たちは留学と聞くと寮に入るイメージがありますが、100%が寮ですか?

寮生活について

天野:スイスのボーディングスクールは100%が寮です。学校によって、全寮制、通学生と寮生が半々、通学生の方が多い場合もあります。ただ、日本人がスイスのボーディングスクールに留学をすると、学校があるときはずっと寮にいます。

渋谷:寮生活というと、イメージとしては厳しいルールのある寮と、すごく自由な寮があったり、もしくは2人部屋、4人部屋、1人部屋を使えないイメージがあります。現実には点呼があったり、厳しいなどの差はあるのですか?

天野;学校の中で寮によってルールが違うことは、基本的にないです。一つの学校でルールが違うとすれば、小さい子の寮は就寝時間が早いとか、1人で出かけちゃいけないとか、そういう年齢によった少しの差は出てきます。ただ、それ以外にはルールは一緒です。

寮生活に6歳から行ける学校もあり、6~18歳ぐらいまでの子どもたちが寮で生活しています。安全に、安心に暮らしていける場所を提供しなければいけません。基本的なルールは、結構厳しいです。

自分の生活をちゃんとしなきゃいけないとか、朝はベッドメイキングするのは絶対当たり前。自分の身の回りのものを整理整頓するのは当たりまえ。寮母さんがチェックして、それができていなかったら、夜の勉強時間に部屋の外に出てはいけないなどの罰があります。

そういった基本の生活がきっちりとできないといけないというルールは、すごくしっかりしています。

渋谷:厳しいというのは、子どもの年齢に合わせた就寝時間や、外出してはいけないときに外出しないようにとか、掃除、洗濯、片付けなど、日本でいうしつけのようなものだと。

留学していると、6歳にして両親と離れる方もいるでしょう。たまにはお父さん、お母さんに連絡に取りたくなることもあるでしょう。厳しいとなると、連絡を取ってはいけないとか、スマホは禁止とか、お菓子は全く食べてはいけないとか、そういうルールはありますか?

節度の有る厳しさと自由さ

天野:厳しい=子どもたちが安全に暮らすための、基本の厳しさです。

例えば、お菓子は自分の部屋で食べさせると際限なく食べてしまいます。特に小さい子にとって、それはよくありません。親御さんも、それは望みません。そのため、持ってきたお菓子はコモンルームという、寮にあるリビングのようなところに置き場所があって、そこで食べることになっています。そういう厳しさです。

あとは、いろいろな国の人たち、違う文化の人たちが一緒に住むので、お互いに迷惑を掛けない、危ないことをしないといったことが守られるような厳しさです。

渋谷:自分の国とのコミュニケーションは、時差も含めて許可されているのでしょうか?

天野:このご時世だと、学校も「スマホを持たせてください」としています。これは親御さんとすぐに連絡が取れるからです。特に、小さい子はホームシックにかかります。すぐに親御さんとビデオ電話ができるように何かを持ってきてくださいとは言われます。

ただし、依存してはいけません。年齢によってルールは違いますが、夜寝る時間には部屋にスマホ、ゲーム、iPadを置いてはいけません。みんな預かります。そういったルールはあります。

もっと大きくなれば、勉強をする必要があります。高校2~3年生となるともう少し緩くはなりますが、そんな感じになっています。

親とコミュニケーションは自由

渋谷:日本から出張がてら、もしくはお子さんに会うためにスイスにわざわざ行った。でも、学校が厳しくて会わせてくれないということは? 例えば、両親のいるホテルに泊まることも、許可を取れば大丈夫なのですか?

天野:もちろんです。基本的には大丈夫です。親御さんが来るときは、もちろんいつでも会ってください。ただ、勉強する時間とかそういったことを遮ってはいけないので、必ず誰が何日に、何時に来るかを伝えた上で、じゃあ、この時間にお迎えに来てください。土日は親御さんと一緒にホテルに泊まりますと、事前に学校に伝えたら、学校は喜んで許可を出してくれます。

渋谷:寮というと厳しいしつけがあり、なかなかコミュニケーションも取れず、うちの子どもは元気にしているのかな? と思うケースが多いイメージがありましたが、そんなことはなく、成長も確認できるし、16~18歳のお兄ちゃんお姉ちゃんたちにも指導をいただける感じですか。

天野:親御さんとの連絡も、もちろん自分でも取れますが、このご時世なので学校からのコミュニケーションもいっぱいあります。寮母さんが1カ月に1回ほどこういうことをやったと書いたメールが来たり、ペアレントポータルという保護者サイトがあり、お子さんの成績や、「今日の2時限目にサボりました」という情報がすぐに入ってきたり時代です。

そういう意味では、私が行っていたFAXしかなかった時代とは異なり、四六時中親御さんがちゃんとお子さんを見ていられる時代になりました。

渋谷:じゃあ、日本からかっぱえびせんを送ってあげても大丈夫なのですね?

天野:大丈夫です。お友達と仲良くなるツールとして日本のお菓子を持っていくと、リビングでみんなで食べることもできます。それは意外とお勧めです。

渋谷:他のメリットは何かありますか?

語学の習得

天野:前回もお話ししましたが、例えば、フランス語圏の学校に行ったら、フランス語を聞く、話す機会が学校の外で出てきます。もしかすると、第3言語、第4言語を習得できるかもしれません。

もちろん、ペラペラになるにはそれだけの時間が必要なので、絶対習得できますとは言えません。ですが、英語以外の言語にも触れる機会があるのは、大きなメリットの一つだと思います。

渋谷:詳しい方だと、スイスはドイツ語圏、フランス語圏があると何となく聞いたこともあるかと思います。ドイツ語、フランス語を使う人は、どっちが多いですか?

天野:スイス国内では、ドイツ語圏がほとんどです。その次がフランス語、イタリア語、ロマンシュ語です。ただ、世界的に、他の国を見ればフランス語の方が多いでしょう。

渋谷:学校の場所を選ぶとき、学校外でフランス語をより多く使っているところの方がいいと、ピンポイントで狙う手もあるということですよね。

天野:そうです。私からどっちがというお勧めは特にしませんが、ご家族からご相談を頂いたとき、「フランス語圏がいいです」と最初から絞ってくる方もいます。ですから、その辺はすごく大きなポイントになると思います。フランス語圏の方が、数で言うと多いです。

120カ国ほどが集まる、他の国にはない多文化と言いました。これだけ世界中にネットワークが広がるというのは、スイス以外にありません。他の国では絶対にないことなので、かけがえのない財産になるかと思います。

デメリットの話

渋谷:次に、デメリットを簡潔にお願いします。

費用が高い

天野:デメリットはお金が高いことです。学費、寮費を含めた基本的な費用で1,000万前後で、プラスアルファの飛行機代、お小遣いを入れると年間1,200~2,000万円かかります。それがデメリットに入るかと思います。

世界からの富裕層が来るので、正直金銭感覚が狂う可能性があります。親御さんが望んでいない方向に行ってしまう可能性もあるので、そこは可能性として考えておかなければいけないです。

あとは、英語力、英語の発音では英語圏に行くより、スピードも劣ってしまう可能性も無きにしも非ずです。必ず遅いとは言いません。ただ、可能性はあります。

進学目的に合わせた選択が必要

イギリスやアメリカの名門大学、オックスブリッジ、アイビーリーグっていうところに進学するのは、スイスから進学するのは簡単ではありません。

渋谷:進学だけを中心に考えるより、スイスは国際的な感覚や人脈を作ることに適していると捉えていいですか?

天野:もう少し言うならば、もしゴールがアメリカのアイビーリーグ、あるいはイギリスのオックスブリッジなのであれば、スイスではなく、その国のエリートが通うボーディングスクールに行くべきです。

渋谷:スイスが、目指すゴール全てへの近道ではないということですね。

天野:そういうことです。

渋谷:よく分かりました。今回はメリットデメリットについて聞きました。スイス留学を検討されている方は、ぜひ、これを参考にしていただければと思います。今日はありがとうございました。

天野:ありがとうございました。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

【米国株】‌‌米大手金融機関が決算悪化。今後への影響が大きそうだと思われる理由。【4/15 マーケット見通し】

【米国株】‌‌米大手金融機関が決算悪化。今後への影響が大きそうだと思われる理由。【4/15 マーケット見通し】

12日からアメリカの決算発表がスタートし、アメリカのJPモルガン、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなど大手金 …

金価格が史上最高値を更新!急騰の背景と今後の見通しを解説

金価格が史上最高値を更新!急騰の背景と今後の見通しを解説

金(ゴールド)の国際価格が急上昇し、1トロイオンスあたり2,300ドルを超える史上最高値を記録しました。金は従 …

日経VI:今後の日経平均や株式市場への影響と注意点

日経VI:今後の日経平均や株式市場への影響と注意点

最近、中東情勢の緊張と原油価格の上昇によってリスクオフムードが高まり、日経平均ボラティリティ・インデックス(日 …

【米国株】‌今週末から米国企業決算が本格的にスタート。S&P500の現状分析と注目点。【4/8 マーケット見通し】

【米国株】‌今週末から米国企業決算が本格的にスタート。S&P500の現状分析と注目点。【4/8 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株です。12日から米国金融機関を中心に、2024年度第1Qの決算発表がスタートします。 今年 …

【2024年最新】NISA口座開設・利用状況から見える投資家動向 

【2024年最新】NISA口座開設・利用状況から見える投資家動向 

2024年に入ってから、NISA(少額投資非課税制度)の利用が大幅に拡大しました。本記事ではまず、NISA口座 …

バブル期の高値を更新し、44%の上昇率を記録した日経平均株価:2023年度のマーケットを振り返る

バブル期の高値を更新し、44%の上昇率を記録した日経平均株価:2023年度のマーケットを振り返る

2024年4月から新年度に入りました。2023年度のマーケットを振り返ると、改めて日本の株式市場は記録的な1年 …

【米国株投資】‌なぜ今年は米国小型株に注目する人が多いのか?【4/1 マーケット見通し】

【米国株投資】‌なぜ今年は米国小型株に注目する人が多いのか?【4/1 マーケット見通し】

本日は、米国株投資を取り上げます。今年に入り、米国小型株、ラッセル2000に注目する人が増えています。最近は、 …

【米国債券投資】‌6月利下げの可能性が高まる中、利下げ開始後の債券ETF投資戦略について【3/25 マーケット見通し】

【米国債券投資】‌6月利下げの可能性が高まる中、利下げ開始後の債券ETF投資戦略について【3/25 マーケット見通し】

先週のFOMCを受け、6月の利上げ可能性が高まってきました。その影響で、今後の長期金利低下などが期待される中で …

【米国株】‌いよいよ米国経済に変調の兆し。3月FOMCが米国株へ与える影響に注意【3/18 マーケット見通し】

【米国株】‌いよいよ米国経済に変調の兆し。3月FOMCが米国株へ与える影響に注意【3/18 マーケット見通し】

先週の経済指標のいくつかは、アメリカの経済に、いよいよ変調の兆しがありと考えさせられるものでした。本日は、先週 …

【米国株】‌米国の雇用は本当に強いのか?それとも弱いのか?株価に与える影響大【3/11 マーケット見通し】

【米国株】‌米国の雇用は本当に強いのか?それとも弱いのか?株価に与える影響大【3/11 マーケット見通し】

先週金曜日、アメリカの雇用統計が発表されました。それ以外にも、先週は、JOLTSやISM非製造業の雇用など、雇 …

【米国株】‌堅調な米国株式相場。目先の市場リスク要因は?【3/4 マーケット見通し】

【米国株】‌堅調な米国株式相場。目先の市場リスク要因は?【3/4 マーケット見通し】

本日は堅調に推移する米国株式市場ですが、目先にある市場リスクについて考えてみたいと思います。 先週までの企業決 …

【米国REIT】‌商業不動産への懸念がある中、今後の米REITの見通しについて【2/26マーケット見通し】

【米国REIT】‌商業不動産への懸念がある中、今後の米REITの見通しについて【2/26マーケット見通し】

本日は、米国REITを取り上げます。ここ最近はアメリカの株式市場が強く、債券やREITへの注目が薄れがちです。 …

【米国株】‌米国投資家が2024年に債券投資を検討しておくべき理由【2/19 マーケット見通し】

【米国株】‌米国投資家が2024年に債券投資を検討しておくべき理由【2/19 マーケット見通し】

本日のテーマは、『米国株投資家が2024年に米国債投資を検討しておくべき理由』です。 昨年から今年にかけて、米 …

【米国株】‌節目を突破したS&P500。このような時こそ注意しておきたい2つの死角【2/13 マーケット見通し】

【米国株】‌節目を突破したS&P500。このような時こそ注意しておきたい2つの死角【2/13 マーケット見通し】

本日のテーマは、節目を突破した強いアメリカの株式市場についてです。S&P500が5,000という節目を …

【米国株】‌上昇相場が続く中でトレンド転換の見定め方【2/5 マーケット見通し】

【米国株】‌上昇相場が続く中でトレンド転換の見定め方【2/5 マーケット見通し】

本日のテーマは、上昇相場が続く中でトレンド転換をどのように見定めるかについて見ていきたいと思います。 先週、注 …

おすすめ記事