【相続税】相続対策における小規模宅地の特例の注意すべきポイント

【相続税】相続対策における小規模宅地の特例の注意すべきポイント

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渋谷:本日は、私たちの税理士のエキスパートとして登録いただいている峯元先生に、お話をお聞きします。よろしくお願いします。

峯本:よろしくお願いします。

小規模宅地の特例

渋谷:前回は、相続に詳しい税理士先生の見分け方をお聞きしました。今回は、小規模宅地の特例を活用した方がいいのか、細かいルールはある程度知っているものの、それをどういう人が使えばいいのかといった、リアリティのある活用例をお聞きしたいと思います。

先生は、こういったケースは多く手掛けていらっしゃるのですか?

峯本:そうですね。自宅を建てるとき、不動産を買うときにどうしようということを。

渋谷:私がこれを使えますかという相談は多いですか?

峯本:多いです。

一番メリットがある対象者

渋谷:こういう人に一番メリットがあるという例を、具体的に教えていただけますか?

峯本:昔は、二世帯住宅のときに上と下を分けては駄目でした。しかし、今は分かれても大丈夫なように税制改正がありました。

自宅を建てるときに二世帯住宅にしたいものの、所有権をどうしたらいいか。税制改正前しか知らない方は、「中を行き来できなければ駄目なのでは?」と聞いてくることもあります。

渋谷:一般の人は、何年か前に本で勉強しても、毎年アップデートされる認識があまりなく、ほったらかす場合もあるかと思います。私たち一般人も、毎年1回程度情報をアップデートする必要があるのでしょうか?

峯本:いつ相続が起こるかは分からないので、なかなか難しいです。相続税の申告とか、相続税にあまり触れてないと、実際それに触れるまでは難しいと思います。

渋谷:小規模宅地に関する質問の中に、いつ使うか、準備をすればいいかという質問が多いです。使うべき時期があると思いますが、そこら辺はどうですか?

貸付宅地で50%減が取れる?

峯本:すぐに使えることもありますが、よく聞かれるのは「貸付宅地で50%減が取れますか?」という質問です。

これは大体が自宅で取ります。自宅、330平米を調べれば分かると思いますが、330平米100坪では80%減が取れます。ただ、要件がいくつかあります。それでほぼ使ってしまうので、その次の貸付宅地の50%はなかなかそこまで使わないケースが多いです。

渋谷:先生はどういうふうに返されるのですか?

峯本:まず、「自宅が何平米あるのか」です。「どっちに取った方が得ですか?」と聞くと、大体自宅で取った方が得という結果に落ち着きます。投資で買った不動産などに使うケースは、意外と稀です。

渋谷:例えば、極論ですが、自宅をそんなに地価が高くないところに持っている場合。一方、貸付の方が都心部のど真ん中で買えば、どっちが優位かは変わってくるということですよね?

峯本:その通りです。貸付宅地は220平米までです。120%の自宅の方は330平米までなので、多く面積が取れると80%なのですが、渋谷さんがおっしゃった通り、銀座ですと鳩居堂の前は路線価で坪1億ぐらいします。1坪50%減で5,000万ですが、田舎に行けば坪50万ですから80%減を取っても坪40万しかできません。そうなると、当然貸付の50%でも銀座の土地を取りましょうとなります。

渋谷:そういったことを活用しながら、総資産の評価額を落とす人がかなりいるかと思います。最近、特に世の中でこれをうまく活用しているという方の例は、何かありますか?

峯本:最近では、南麻布や渋谷の松濤で100坪の土地、不動産を探している方が結構います。まさに今言った330平米は100坪ではないですか。先ほど言った鳩居堂のところに住宅が建てられれば、それこそ80%減で、1坪1億しますから、100億円の80%減、80億に減少できます。

ですが、住宅を建てられる場所ではないので、高級住宅街である南麻布や渋谷のところで100坪、330平米の土地を買って、それで小規模な、80%減を使うような動きをしている方は結構多いです。

渋谷:時価の高いところをうまく活用してということですね。もう一つお聞きしたいのが、今のような規模の大きな話がある一方、おじいちゃんや親が介護を要する状態となり、一緒に住みながらうまく使いたい方もいるかと思います。そういった際に注意すべきことは何かありますか?

介護による同居

峯本:自宅から老人ホームに行かなくてはならなくなって自宅を離れる場合、同居とみなされます。老人ホームに行く際は同居の要件をよく調べていただき、そういったケースでも同居となることを確認して、手続きをされた方がいいと思います。

渋谷:例えば、老人ホームに行くと言っても、老人ホームのいろいろな種類があったり、知り合いの家に行くこともあったりします。それも要件によっては該当しないこともあり得るということですね?

峯本:はい。120%減を取るためには要件を確認して、手続きをされた方がと思います。

税務署に直接相談すべきこと

渋谷:こういったものは税務署に直接聞いた方がいいのか、それとも先生方に聞けば解決するのでしょうか?

峯本:税務署にどういうふうに聞けばいいのかは、なかなか分からないと思います。税務署に行くにしても、専門家の税理士と一緒に行って、まずは自分の実態を知ってもらって、それを税務署に伝えていただいた上で聞いた方がいいでしょう。

税務署には専門家ではないと、自分の意思が伝えられないと思います。通訳のような感じで連れていき、それで聞いた方がいいでしょう。

渋谷:今聞いたような話は、例えば土地の高いところをうまく活用し、課税対象額を減らす場合や、親の介護を理由に一緒に住むことで評価額を下げるといった、いろいろなパターンがあると思います。

そうだろうと思ってやってみると、実は適応外だということもよくあるではないですか。そういうことを避けるには、専門家に、「これを使おうと思う」と一度相談すれば、結構パキパキと答えてもらえるのでしょうか?

峯本:一般的なケースでは、ある程度対応できると思います。建てたり、購入したりする際、条件に該当するかは専門家にしっかり聞いて、その上で購入を決めた方がいいと思います。

渋谷:建ててからは、後には引けないですものね。

今日のポイントとしては、小規模宅地は今も活用する方が結構多く、そういった評価の違い、ギャップを使いながら、税金対策をしていく形でやっている方が多いということですね。

峯本:はい。あと、一つ注意すべきことがあります。小規模宅地等の減額は申告しなければ働かない、申告要件というものです。自宅で80%減を取ると相続税はかからないですが、申告しないと適用外となります。小規模宅地等の減額を使い相続税がかからない人は、必ず申告をしてください。

渋谷:分かりました。この手続きは、そもそも結構大変なものですか?

峯本:専門家でないと難しいと思いますが、自宅ぐらいであれば税務署に無料相談に行って対応してくれる可能性があります。

税理士に相談すべきケース

渋谷:自宅でなければ、自分でやるのは難しいですか?

峯本:そうですね。自宅以外に不動産を持っていたり、他に資産が現金以外にあったりした場合は、専門家に頼んだ方がいいと思います。

渋谷:分かりました。今日は小規模宅地の特例についてお話を聞きました。ありがとうございました。

峯本:ありがとうございました。

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