渋谷:本日は留学のエキスパート天野さんをお招きして、留学についてのお話をお聞きします。よろしくお願いします。
天野:よろしくお願いします。
渋谷:天野さんはスイスのエキスパートで、元々スイスラーニング日本代表です。今回もスイスの留学について、お話を聞きたいと思います。
[ 目次 ]
前回、スイス留学には1年間で、下は1,200万、上は2,000万という話をお聞きしました。高いお金を払って行く価値があるのかを、聞いてみたいと思います。どうでしょうか?
天野:前回はデメリットとお話をしましたが、これだけ高いお金を払う価値はあります。実際、その価値を見出してたくさんの方が行かれています。
渋谷:具体的には、どういったメリット、価値があると思われますか?
天野:前回も申し上げましたが、スイスのボーディングスクールは30~120カ国から生徒が集まる、多文化、多言語が共存する環境です。こういった環境で真の国際感覚が自然に身につくことは、他の国に行ったら絶対にありえないです。
スイスのボーディングスクールに行くからこそ培えるため、そこは価値の一つだと思います。
それと同じで、アメリカやイギリスのボーディングスクールに留学した場合、その国の富裕層、その国の人たちがほとんどです。例えば、イギリス人が90%を占め、留学生が10%で、さらに日本人は1人などです。
そういったところに行くよりは、みんなが留学生で、ストレスなく留学を始められる、寮生活を始められることも、この価値の一つになると思います。
渋谷:スイスというと、映像で見るのどかで、古い町並みのイメージがあります。他の有名どころでは、アメリカ、イギリスを中心にカナダ、オーストラリアなどいろいろあります。そういったところと比較しても、治安はいいのでしょうか?
天野:治安はもちろんいいです。永世中立国ですし、EUにも入っていないので、独自の文化、経済を貫き通している国ではあります。ですが、国自体が豊かなのでテロなども起こっていません。国民の平均年収がすごく高いので、国全体の心が安らかなのではないでしょうか。国の70%が山ですから空気がきれいですし、湖もあります。カナダももちろんきれいはきれいですが。
渋谷:他の国として圧倒的に安全だというわけではないものの、安全性が高い部類には間違いなく入るということですね?
天野:自然のきれいさでは、よりいいところはたくさんあると思います。しかし、安全性ではピカイチだと思います。
渋谷:高い費用を払ってでもという話は、他にありますか?
天野:学校もそれだけお金をもらっているので、きっちりとした使い方をします。例えば、最先端の学校施設です。少し古いですが、スマートボードも入ったときはすぐ使っていますし、今だとiPadやパソコンは絶対に支給されています。もちろん、自分で持っていくことも可能ですが、ITなど最先端のものをいつも取り入れています。
去年、学校が3月に閉じてしまったことがあったのですが、学校が閉じた次の週ぐらいには、どこの学校もオンライン授業が始まっていました。他の国では、それはなかったです。それだけの基盤を構築していることは、払った分だけ返ってくる証ではないかと思います。
渋谷:何となく、テックに強いというとアメリカ西海岸のイメージがあります。そこは全然遜色なくということですか?
天野:とにかくバランス良くいろいろなテクノロジーを入れているので、ITだけに限らず、音楽の練習部屋を何個も持っていたり、アートの美術室も整備されていて、3Dプリンタがあることも当たり前だったりします。ファッションをデザインする場所もあります。数学のビルディングやライブラリが別にあったり、シアターがあったりと、施設のすごさはスイスならではです。これだけのお金を払えば、それだけいい環境で勉強ができる、何かに打ち込むことができるというのはあると思います。
渋谷:出てきた中に、富裕層の話がありました。英才教育の一環で、目的を持って来る人が多いということですよね?
天野:何をもって英才教育というかも大きな違いです。これだけ高いお金を出してスイスにお子様を送るご家庭は、ただただいい大学に進み、いい就職先に入ってくださいという人はそこまでいません。
どちらかというと、いろいろな経験をしてほしい。いろいろな国を知ってほしい。国際性を身に付けることももちろんとして、その中で自分がしたいことを、自分の国でするのではなく、いろいろなことを知った上で、きっちりと自分のことを見つけてほしい方が多いと思います。
それはファクトですが、スイスの学校はそういう方の集まりです。ですから、そういう意味での英才教育を求めるご家庭が多いです。
渋谷:以前、私がお子さんのスイス留学をお手伝いしていたとき、お父さんがおっしゃっていたのは、ネットワークがすごく期待しているところにあり、卒業生からもネットワークがあると聞いたことがあるということでした。
スイス以外の、アメリカ、イギリスもトップクラスのインターであり、人脈もすごいと思います。そういうところと比べても、スイスの人脈はすごいのですか?
天野:一言で言うと、すごいです。ビジネスをされているご家庭が多いのです。自分の会社があって来る家庭が多いので、大体卒業して大学に行って、その大学を卒業した後も自分の家業を継ぐ人がすごく多いというのは一つです。
120カ国でビジネスをやっている人たちとつながっているわけです。もちろん、アメリカやイギリスでビジネスをしている方も世界中にネットワークを作ってはいらっしゃいますが、ベースはその国です。だから、そこの違いはすごく大きいと思います。
渋谷:ネットワークのすごさは、来ている層より、国の広がりが圧倒的だということが源泉にあるのでしょうか?
天野:層の高い人たちが世界中にいます。
渋谷:今、2,000~2,100万払っても、すごくメリットがあるという話を聞いていましたが、こういう人はそこまで払わなくとも、イギリスやアメリカに行った方がいいこともあるかと思います。そこはどうですか?
天野:もちろん、大体の方は大学進学を目的とされていますが、行きたい大学がアメリカのハーバード、イギリスのオックスブリッジと決まっている方に関しては、スイスではなく、アメリカのボーディングスクールに行く方が同じお金を出しても価値があります。それに、アメリカやイギリスの方が、スイスよりも多少安いです。
渋谷:アメリカ、イギリス、スイスと目的に応じて使い分けをしないと、万能ではないということですね?
天野:どのタイミングで留学するかも大きな違いになります。お金を払ってでもスイスに行った方がいい場合も、実はあります。
例えば、小学生で留学する場合です。ハーバードに行きたいからアメリカに行くべきかというと、意外とスイスに行って生活力、英語力、あわよくばフランス語、ドイツ語といった第3言語を身に付けて中学校、高校に入るタイミングで、そっちの国のいいボーディングスクールに転校するルートもあります。
その意味では、スイスは非常にお勧めできます。お金を払っても小さいうちに行かせておけば、それだけイギリスなり、アメリカなり次につなげます。実際、そういう方はいますし、問題なくできます。
渋谷:では、最終的なルートは決まっているものの、日本からアメリカに行くよりスイスからアメリカに行く方が簡単になる可能性があるということですよね?
天野:例えば、ハーバードに行く人が多いボーディングスクールに入るには、それなりの英語力とそれなりの学力が必要です。日本にいると、日本でどういった教育を受けているか、英語力がどのくらいかにもよってきますが、簡単ではありません。
それを考えたとき、スイスという国際的な中でいろいろな力を身に付けてから、難関にだんだんステップアップしていく道もあるという話です。
渋谷:将来の可能性を考え、いろいろな人脈を作るためにスイスに行って、その後で選ぶことも可能だということですね?
天野:そうです。
渋谷:分かりました。今日は高い費用を払ってまでスイスに行く価値はあるということがよく分かりました。
天野:良かったです。
渋谷:参考にお聞きいただければと思います。ありがとうございました。
天野:ありがとうございました。
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