【米国株】インフレ緩和期待が高まる中で、今後注目すべきポイント

【米国株】インフレ緩和期待が高まる中で、今後注目すべきポイント

超保守的な資産管理チャンネルで配信中

15日、アメリカにおいて、PPI生産者物価指数が発表されました。先週のCPIに続き、予想を下回る結果となり、インフレに対する緩和期待が高まっています。

さて、インフレに対する緩和期待が続くのかどうか、これが今後のマーケットの焦点になってくると思われますが、本日は、12月から開始されるロシアに対する制裁が、どのようにインフレに影響を与えるのかを簡単に見ていきたいと思います。

インフレに関する経済指標はやや方向感定まらず

生産者物価指数は予想を下回り、インフレ緩和期待高まる

こちらをご覧ください。

最初に、米PPIの結果を見ていただきます。下のチャートから分かる通り、昨年の夏場以降から下落傾向が続いています。これを受けて、生産者物価指数(PPI)もCPIに続いて落ち着いてきたことが確認できます。特にこのように急激に上昇した場合の指標を見る場合は、前年比の上昇率より、前月比の上昇率が注目されます。

総合の前月比は市場予想の+0.4%が+0.2%とほぼ半分。コアPPIは、前月予想+0.3%に対し、前月比と変わらずという結果で前月比で上昇が落ち着いてきました。PPIが低下することでCPIにもプラスの材料になるのでないかとの期待感が高まっています。

NY連銀調査-インフレ期待は上昇

2日前、NY連銀調査が行われました。

こちらは、FRBが期待インフレを見るため重要視していると言われる指標で、インフレへの期待はどうか、1300人にアンケートを取ったものです。1年後、3年後、5年後のインフレ期待は、全て前月の調査を上回りました。PPI、CPIが下がっている一方で、消費者目線では今後インフレが高まってくるのと考えられています。

具体的には、1年後のインフレ期待が前回調査の5.4%から5.9%へ。3年後は、前回2.9%から3.1%に。5年後は、前回2.2%から4.2%と、全て期間で上昇しています。特に中期以降の期待インフレは、FRBが重要視していますので、FRBはまだインフレが続く可能性があるとが当ソフトデータから確認したと思われます。

特にガソリン価格の上昇が最も大きな懸念

さらに、詳細のデータです。

消費者の感じているインフレ期待を、いろいろな項目で調査しています。CPIに占める項目に照らし合わせて、今回の調査にどのような変化があったか、見ていきたいと思います。まず、CPIに反映される品目ウェートですが、住宅が32.29%と最も高いウェートを占めています。次に食料品が13.99%、エネルギーが7.54%の順番です。

今回の調査では、真ん中の下部、Rentと書かれた住宅は、ピークから少し下がっていることがわかります。やはり、一時期7%を超える住宅ローンでケースシラーの住宅指数が下がっているように、住宅価格低下もあり、Rentフィーが下がっていることがアンケートでも確認できています。

一方で、2番目に大きな食料品、エネルギーは、上段左と真ん中です。エネルギーがGas、食料品がFoodと書かれていますが、共に上昇している状況です。一時期の水準と比べれば低下していますが、再び上昇に転じています。ということで、消費者は、今後食料品、エネルギーがまた上がると懸念しています。

特に、調査の中で言われているのは、エネルギーの上昇がかなり懸念材料になっているということです。今後、マーケットの関心事としては、エネルギーがどうなってくるかに注目が集まっています。

Citiインフレサプライズ指数もわずかに上昇

こちらは、経済指標でインフレに関するものを集めたとき、市場予想を上回ったか、下回ったかで、上回った場合をサプライズと表したものです。

赤いかっこで書いたように、先月から、実はサプライズ指数が上昇しています。インフレに関する指標が予想を上回るものが、前月よりも増えているのです。

何となくCPI、PPIが予想を下回っていることから、インフレ鎮静化ということがマーケットの中で認識が高まっていますが、一方で、Citiのインフレサプライズ指数が若干上昇しています。その他インフレに関する指標は、予想を上回っている数が増えているということです。これを見る限りでは、引き続き、インフレ問題は決着が付いていない状況にあるかもしれないことは、念頭に置いておくべきかと思われます。

石油価格上限制裁の影響は

G7対ロシア・石油価格上限制裁による原油への影響

12月からは、ロシアがウクライナに侵攻したことに対する制裁として、このようなことが予定されています。こちらは、石油価格の上限制裁です。G7、オーストラリアがロシアに対して制裁をかけてくるわけですが、簡単に説明すると、12月5日から、ロシア産の石油を買う人はまだ確定ではないものの、恐らく1バレル当たり60ドル以上で買う場合、制裁を受けることになると言われています。

制裁の内容ですが、石油を買う国が、ロシア産の原油を60ドルを超えて買う場合、ロシアに対して資金を提供する形になるとみなして、その石油を運ぶタンカーについて、G7サイドが保険、決済サービスの付与を止めるといったルールです。これは、例えば輸入国が70ドルでロシア産の原油を買う場合、制裁の金額を超えているということになり、タンカー輸送に関する保険、金融サービスを受けられなくなるため、何か事故があった場合に大幅な損失になりますし、決済を行う時も面倒な手続きが必要になる状況です。

実は、G7、オーストラリアといった先進国がこのような保険を提供している割合は、9割とされます。つまり、60ドルを超えて原油取引をしようと思うと、9割の確率で保険がついていないタンカー輸送になることになり、かなりのリスクを負うことになります。その影響で、おのずとロシア産最大の購入者であるインド、中国が60ドルを超えて買うモチベーションが低下すると言われています。

マーケットの今後の原油価格に関するコンセンサスは、この制裁を導入することで、イエレン財務長官も言っていますが、インド、中国の輸入国がロシアに対して価格交渉が優位に進めることができるようになり、結果として60ドル以下で取引することができるようになるのではないかとされています。その結果、石油価格が世界全体で下がることになり、インフレが鎮静化する要因になるとの期待が寄せられています。

しかし、最近はこの制裁に対していろいろなレポートが出ています。このチャートは、サンフォード・バーンスタインによるものです。このチャートでは、この制裁を行うことでロシアの生産量が減ることになり、マーケット予想とは異なり、価格が来年末に120ドル、1年平均では100ドルになると分析しています。

これは、絶対にそのような価格になるということをお示ししたものではありません。こういったレポートが出てきているということは、事前予想では、今回の制裁で原油価格が下がる、インフレが低下するという期待が織り込まれていますが、一方で、金融機関、各調査会社から、インフレになる可能性のある原油高が予想されていることも事実です。今後、12月5日から制裁がスタートした後、原油価格がどう動くかは予測が難しく、原油価格の低下でインフレが鎮静化するかどうかは、まだ確定できないのではないかと、マーケットは警戒しているようです。

CPIの結果から、帰属家賃の上昇が鈍化していますが、今後の不確定要素として、エネルギー価格がどうなるのかにより今後のCPIの変動が変わってくる可能性があります。今後、WTI価格がどうなるか、制裁効果がどのように出てくるのか、価格に反映されるか、今後そういったところを見ていただければと思います。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

日銀、国債購入減額へ舵を切る:7月会合で具体策を決定〜ドル買い・円売りトレンド再開か?〜

日銀、国債購入減額へ舵を切る:7月会合で具体策を決定〜ドル買い・円売りトレンド再開か?〜

日銀金融政策決定会合(6月) 政策金利 据え置き 国債買い入れ 7月会合後に減額方針 市場は日銀金融政策決定会 …

6月FOMCで年内1回の利下げ示唆。今後の見通しへの影響は? 〜CPI減速で楽観ムードもその後のFOMCをどのように捉えるべきか〜

6月FOMCで年内1回の利下げ示唆。今後の見通しへの影響は? 〜CPI減速で楽観ムードもその後のFOMCをどのように捉えるべきか〜

12日は米CPIとFOMCの発表があり、ナスダック総合株価指数とS&P500種株価指数が過去最高値を更 …

時価総額でアップル超え!エヌビディアの驚異的な躍進とSOX指数

時価総額でアップル超え!エヌビディアの驚異的な躍進とSOX指数

エヌビディアが驚異的な躍進を遂げ、時価総額で一時アップルを超えたというニュースが話題になっています。さらに、S …

【米国株】‌‌モヤモヤの市場展開が続く米国市場。FOMCで流れが変わるのか?注目ポイントを分析【6/10 マーケット見通し】

【米国株】‌‌モヤモヤの市場展開が続く米国市場。FOMCで流れが変わるのか?注目ポイントを分析【6/10 マーケット見通し】

先週の米国市場は、モヤモヤした市場展開が続いています。米国では、企業決算が一段落し、先週の注目は景気動向はどう …

利下げ期待後退で金が急落!5月の米雇用統計が市場を揺さぶる

利下げ期待後退で金が急落!5月の米雇用統計が市場を揺さぶる

雇用統計 5月結果 予想 前回(4月) 非農業部門雇用者数(前月比) 27.2万人 19.0万人 16.5万人 …

【米国株は割高?】世界各国のPER・PBRでわかる!投資妙味がある国は?

【米国株は割高?】世界各国のPER・PBRでわかる!投資妙味がある国は?

世界の株式市場を見渡すと、国によってPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の水準に違いが見られます。本 …

【米国株】‌‌米国経済指標が減速を示唆。相場が警戒する次の材料【6/3 マーケット見通し】

【米国株】‌‌米国経済指標が減速を示唆。相場が警戒する次の材料【6/3 マーケット見通し】

先週発表されたアメリカの経済指標には、幾つか経済減速を示す内容が確認できました。一方で、株式市場はさほど影響を …

激動の株主総会、企業と投資家の「対話」は深まるか

激動の株主総会、企業と投資家の「対話」は深まるか

2024年6月の株主総会シーズンが近づいてきました。最近はアクティビスト(物言う株主)の動きが活発化しており、 …

圧倒的存在感!〜エヌビディアの最新決算後から約10日経過。市場反応から見えてきた今後の注目ポイントと投資家が知るべき半導体株のポイント〜

圧倒的存在感!〜エヌビディアの最新決算後から約10日経過。市場反応から見えてきた今後の注目ポイントと投資家が知るべき半導体株のポイント〜

半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)は2024年5月22日、2025年度第1四半期(2024年1月30日〜 …

【最終回】半導体銘柄への投資戦略 〜2030年1兆ドル市場へ!〜半導体産業の未来と投資戦略

【最終回】半導体銘柄への投資戦略 〜2030年1兆ドル市場へ!〜半導体産業の未来と投資戦略

半導体産業は、テクノロジーの進歩と現代社会の発展を支える重要な役割を担っています。スマートフォン、コンピュータ …

【第11回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体業界でリードする海外企業に注目!〜米国、欧州、アジアの有望銘柄と投資のポイント

【第11回】半導体銘柄への投資戦略 〜半導体業界でリードする海外企業に注目!〜米国、欧州、アジアの有望銘柄と投資のポイント

半導体は現代社会に欠かせない重要な部品であり、スマートフォンやパソコン、自動車など幅広い分野で使用されています …

【第10回】半導体銘柄への投資戦略 〜日本の半導体株投資戦略~世界を席巻する日本企業の強みに迫る

【第10回】半導体銘柄への投資戦略 〜日本の半導体株投資戦略~世界を席巻する日本企業の強みに迫る

半導体は、現代社会に欠かせない重要な電子部品であり、あらゆる電子機器に使用されています。スマートフォン、パソコ …

【第9回】半導体銘柄への投資戦略〜 ChatGPTを支える技術~半導体業界に訪れた「生成AI」特需

【第9回】半導体銘柄への投資戦略〜 ChatGPTを支える技術~半導体業界に訪れた「生成AI」特需

近年、生成AI(人工知能)が急速に発展し、私たちの生活に大きな影響を与えつつあります。生成AIは、テキストや画 …

香港ハンセン指数「強気相場」突入!中国株「復活」のシナリオと落とし穴

香港ハンセン指数「強気相場」突入!中国株「復活」のシナリオと落とし穴

2021年以降、規制強化や不動産セクターの債務問題、ゼロコロナ政策などが中国株式市場に影を落としていましたが、 …

【米国株】‌‌最初の利下げ前後に取るべき投資戦略【5/20 マーケット見通し】

【米国株】‌‌最初の利下げ前後に取るべき投資戦略【5/20 マーケット見通し】

先週は、米経済指標があまり好調でなかったことを受け利下げ期待が台頭しました。今年9月の利下げ予想が60%を超え …

おすすめ記事