来年3月に利下げが始まるとの予想が、6割近くまで上昇しています。9日の雇用統計で失業率が予想を上回る場合、FRBが利下げに向かう可能性が高まるため、マーケットは来年3月以降の利下げに備えている状況です。
そこで本日は、利下げ開始後の株価の動向がどうなるかを簡単に見極める方法をお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
政策金利引き下げ後に株価が上昇するためには
株価が上昇する要因
まず左の図表にご注目ください。政策金利の引き上げ後に株価が上昇した、過去の事例を示しています。これはあくまで過去の事例であり、将来の株価を保証するものではありません。その点をご理解いただけますと幸いです。
左のマトリックスは、Fedがタイトニングのステージにあることを表します。今回はタイトニング後、easingのステージですから、右のマトリックスに絞ってみていきたいと思います。
右上の緑の箇所は、Fedの利下げ時、Credit easing(米国債と適格社債(IG)のスプレッドが縮まった状態)で、月平均で2%という大きなリターンになっています。来年3月以降にスプレッドが拡大しないとこのケースになり株価が上昇する可能性が高くなります。
次に右下の赤色箇所をご覧ください。Fedが利下げを開始しているにもかかわらず、信用スプレッドが拡大する場合は、株価は月平均-1.1%(年換算で10%を超える下落)となりました。
この算出は、1989年から最近までの平均となっています。
右のスプレッドは1990年後半からのチャートです。まず確認いただきたいのはFedがイージングし、クレジットがイージングしている場合です。
FFレートが緑、S&P500が黄色、IG信用スプレッドが青色です。FFレートが下がっており、信用スプレッドも下がっている局面が緑の網掛け箇所です。その時は株価が上昇していることが確認できます。特に2019年以降のケースでは、利下げが行われ、信用スプレッドが縮まった状態で株価が大きく上昇していることが分かります。
直近でも、利下げを行ったことが2019年以降にありました。その際も、信用スプレッドが安定的だった際には株価が大きく上昇しています。左図の左上では、株価が安定して上昇していますから、利下げ後、クレジットがタイトニングかイージングかをしっかりと見極める必要があります。
一方で、Fedが利下げを行い、信用スプレッドが拡大したケースを赤で表しました。右のチャートでは、3ヶ所赤網掛けが存在しています。
2000年代初頭、FFレートの切り下げ後、信用スプレッドが上昇し、S&P 500は下落しています。2008年のリーマンショックの際も、FFレートを引き下げたものの、非常に景気が悪くなったため信用スプレッドが拡大、株価も下落しました。直近のコロナ時では、利下げが進み、信用スプレッドが拡大した際には株価が大きく下落しました。
今後Fedが金利を引き上げることが既定路線となっている中では、クレジットがイージングかタイトニングかの見極めが必要となります。利下げ開始後、信用スプレッドが拡大するのか、縮小するのかが1つのポイントとなります。
では、どのように確認すればいいのでしょうか。見極める方法として、LQD(米国適格社債ETF)があります。LQDのチャートは黄色で、スプレッドが青いチャートです。最近では企業の倒産が増加していますが、マーケットに資金が供給されていることで、信用スプレッドは縮小しています。
2つのチャートは逆相関になっています。信用スプレッドが大きく拡大するとLQDは大きく下落し、信用スプレッドが拡大するとLQDは下落します。今後ご自身でチェックされる方は、IGのスプレッドが拡大しているかをチェックしていただくのも1つです。
LQDが大きく下落する局面は、おそらくスプレッドが上昇していることを表します。その場合は株価が変調をきたすことになりますので、LQDが上昇しているかどうかを日々見ながら、大きな動きがあった際にはインベストメントグレード(適格社債)のスプレッドが拡大していないかを確認することで、利下げが起こった後で株価が上昇するかが見極められるでしょう。
マーケットの感度を表す炭鉱のカナリア的な要素として、普段はハイイールド債券などをご紹介していますが、インベスメントグレード(LQD)、スプレッドを見ながら、マーケットの変調を利下げ開始後も見ることも大事ではないかと思っています。利下げが始まる前から、信用スプレッドがどうなっていくかを見ながら、ポジション調整をしていただければと思っています。
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