バブル期の高値を更新し、44%の上昇率を記録した日経平均株価:2023年度のマーケットを振り返る

バブル期の高値を更新し、44%の上昇率を記録した日経平均株価:2023年度のマーケットを振り返る

2024年4月から新年度に入りました。2023年度のマーケットを振り返ると、改めて日本の株式市場は記録的な1年となりました。1年を振り返るとともに、24年度の注目ポイントを簡単に見ていきます。

記録的な1年となった2023年度相場

日経平均の上昇率は44%

2023年度(2023年4月~2024年3月)の国内金融市場は、記録的な一年となりました。日経平均株価は2024年2月にバブル期の高値を更新し、年度での上昇率は44%と3年ぶりの高水準を記録。米国の代表的な株価指数であるNYダウの上昇率(19.6%)を大きく上回りました。主な指数の上昇率は、以下の通りです(Trading view参照)。

円の対ドル相場では、下落幅が約18.6円と2000年度以来の大きさとなり、商品市場では金先物や農産品が軒並み最高値をつけました。国内の長期金利(10年債利回り)も大きく上昇しています。これらの背景には、世界的なインフレの継続と米国経済の軟着陸、そしてドル高の進行などが挙げられます。

日本株上昇の背景

日本株式市場に目を向けると、日経平均の2023年度の終値は40,369.37円でした。過去1年間の株価騰落率を見ると、3月29日時点で日経平均構成銘柄の中で最も上昇率が高かったのはSCREENホールディングスで、年間で3.4倍となりました。東京エレクトロン(2.5倍)も上位に入り、半導体関連銘柄が指数を押し上げる役割を果たしました。

半導体関連の大手企業である東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループは「エヌビディア3兄弟」と呼ばれ、日経平均株価への寄与度も大きくなっています。米国のエヌビディアやAI関連のニュースに大きく反応する銘柄として知られ、その動向に注目が集まっています。

2024年度相場の注目点は?

2024年の日米金融政策

2024年度の日本株式市場では、いくつかの注目点が挙げられます。まず、米国の金融政策(FOMC)が引き続き重要なファクターとなるでしょう。米国経済の軟着陸が続くのか、あるいは景気後退に陥るのかによって、日本株式市場への影響は大きく異なります。特にエヌビディアを中心とした半導体関連株と日本株の連動性が上がっているので注意が必要です。

国内要因としては、日銀の金融政策が注目されます。日銀は2023年3月19日、マイナス金利を解除し、政策金利を0~0.1%程度に引き上げました。

日銀は、物価目標と金融市場の安定性のバランスを取りつつ、政策運営を行っています。物価の基調的な上昇が明確になるまでは、政策金利のさらなる引き上げには慎重姿勢を維持する可能性が高いものの、経済・物価情勢の変化に応じて柔軟な対応を取ることも想定されます。

ドル円動向が大きな鍵となる可能性

今後も政策金利を引き上げるようだと、円高・株安になる可能性もあるので、注意が必要です。円高は、輸出企業の収益を圧迫し、海外投資家の日本株式投資の魅力を低下させる可能性があります。また、国内の金利上昇は企業の借入コストを増加させ、設備投資や消費者の住宅ローン返済負担を重くする可能性があります。

これらの要因は、企業業績や国内経済全体に悪影響を及ぼし、株価下落につながる恐れがあるので、注意が必要です。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

6日に発表された8月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で14万2,000人増加したものの、市場予想を …

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株と金価格です。 今月17~18日にはFOMCが開催されます。そこでの利下げをマーケットは織 …

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

8月30日に米商務省から発表された7月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.5%の上昇となり、物 …

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

米半導体大手エヌビディアの2024年5~7月期決算は、売上高が前年同期比約2.2倍の300億ドル、純利益が2. …

【米国株&米債券】‌‌過去の利下げ開始局面の米株と米債のパフォーマンスから考える投資戦略【8/26 マーケット見通し】

【米国株&米債券】‌‌過去の利下げ開始局面の米株と米債のパフォーマンスから考える投資戦略【8/26 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株と米債券です。先週末、アメリカでジャクソンホール会合が開かれました。パウエルFRB議長が利 …

米国初の黒人女性大統領へ挑むハリス副大統領、勝利の鍵は9月の討論会にあり?

米国初の黒人女性大統領へ挑むハリス副大統領、勝利の鍵は9月の討論会にあり?

米国の大統領選挙が迫る中、民主党のカマラ・ハリス副大統領が大きな注目を集めています。11月に予定されている大統 …

FRBパウエル議長は利下げを示唆~ジャクソンホール会議が金融市場に与える影響とは?

FRBパウエル議長は利下げを示唆~ジャクソンホール会議が金融市場に与える影響とは?

ジャクソンホール会議が8月2 日に開幕し、世界各国の中央銀行関係者や経済学者が集う中、注目の焦点はFRB(米連 …

日本のインフレと物価動向の行方~7月の消費者物価指数が示す重要なポイント

日本のインフレと物価動向の行方~7月の消費者物価指数が示す重要なポイント

総務省が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比で2.7%上昇しました。 …

プロフィギュアスケーター 鈴木明子さん対談企画。失敗しないポートフォリオ運用について

プロフィギュアスケーター 鈴木明子さん対談企画。失敗しないポートフォリオ運用について

2大会連続のオリンピック出場、2013年全日本選手権優勝、2012世界選手権銅メダルなど輝かしい実績を持つ、プ …

【米国株】‌‌円キャリートレードが再開し、株の戻り基調は続くのか?【8/19 マーケット見通し】

【米国株】‌‌円キャリートレードが再開し、株の戻り基調は続くのか?【8/19 マーケット見通し】

8月第2週、日米ともに株価が大きく下落しました。その1つの大きな要因として、円キャリートレードの巻き戻しが指摘 …

金と原油の価格動向~米金融政策と地政学リスクがもたらす影響とは

金と原油の価格動向~米金融政策と地政学リスクがもたらす影響とは

[ 目次 ]1 ドル建て金は最高値を更新2 原油市場は地政学リスクと11月の米大統領選に注目 ドル建て金は最高 …

【第2回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方 〜信託報酬は安い方がいいという神話は誤解〜

【第2回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方 〜信託報酬は安い方がいいという神話は誤解〜

富裕層の投資戦略において、適切なポートフォリオを構築するためには欠かせないのが投資信託です。長期的な資産成長を …

景気後退懸念の中で注目された小売売上高~やはり個人消費は底堅いのか?

景気後退懸念の中で注目された小売売上高~やはり個人消費は底堅いのか?

今週の注目の経済指標は、物価と消費に関わるCPIと小売売上高でした。小売売上高は、米国経済の約7割を占める個人 …

7月PPI・CPIで示されたインフレ鈍化~FRBの9月利下げは確実?

7月PPI・CPIで示されたインフレ鈍化~FRBの9月利下げは確実?

8月13日(火)に発表された米国の7月卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%の上昇にとどまり、インフレ圧力が緩 …

【第1回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方〜アクティブファンド編〜

【第1回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方〜アクティブファンド編〜

富裕層の投資戦略において、適切なポートフォリオを構築するためには欠かせないのが投資信託です。長期的な資産成長を …

おすすめ記事