最近、中東情勢の緊張と原油価格の上昇によってリスクオフムードが高まり、日経平均ボラティリティ・インデックス(日経VI)が上昇しました。この記事では、日経VIについて解説し、投資家が今後注意すべき点を詳しく説明します。
[ 目次 ]
日経平均ボラティリティ・インデックス(日経VI)は、市場参加者が日経平均株価の将来の変動に対する期待を示す指標です。このインデックスは、オプション取引のプレミアムを基に計算され、プレミアムが高ければ、市場参加者はより大きなリスクを感じ、株価が将来大きく動くと予想していると解釈されます。したがって、日経VIの値が高いほど、市場が今後大きく変動すると予想されています。
日経VIには以下のような特徴があり、日経平均株価とは逆相関関係にあるとされています。
1.日経平均株価が大きく下落する際、日経VIは急激に上昇する傾向があります。これは市場の不安感の高まりを反映しています。
2.日経VIが高値を示している時は、市場関係者が今後1ヶ月の日経平均株価の変動幅が大きくなると予想していることを意味します。
3.日経VIが急上昇した後には、通常、一定範囲に戻ることが多いです。これは市場の不安感が一時的であることを示しています。
過去に大規模な市場変動イベントが発生した際、例えばリーマンショックや東日本大震災、コロナショックの時に、日経VIは顕著に上昇しました。これは市場の不確実性が増加していることを示しています。例えば、2020年のコロナショック時には日経VIが50近辺まで上昇しました。
補足になりますが、今後、VIが大きく上昇し、日経平均が大きく下落した際は、VIのピークアウトに注目すると、底打ちシグナルになるかもしれません。
2024年4月5日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に下落し、一時1,000円近く下げ、3万9000円を割り込む事態が発生しました。この下落は、中東情勢の緊張化と原油価格の上昇によるものです。市場参加者の不安感が高まり、日経VIは約3ヶ月ぶりの高水準である22に到達しました。また、米国株の予想変動率を示すVIX指数も上昇し、これは米国市場における不安や不確実性の増大を意味しています。
そして、2024年に日経VIが上昇する主な出来事として、以下のポイントが挙げられます。
11月の本選に向けて、民主党のバイデン大統領や共和党のトランプ前大統領などの候補者選びが本格化します。選挙結果による政策の混乱が予想され、日経VIを押し上げる可能性があります。
FRBによる利上げの継続や利下げの開始タイミングを巡る不透明感から日経VIが上昇する可能性があります。金利見通しの修正などで日経VIが変動することも考えられます。
イスラエルとパレスチナの衝突激化など、中東情勢の不安定化が日経VIを上昇させる恐れがあります。
日銀が2024年3月19日にマイナス金利政策を解除したことで、今後の金融政策の方向性に注目が集まっています。インフレ率の動向次第では、追加の金融引き締め策が実施される可能性もあり、その場合、日経VIが上昇するリスクがあります。
これらのポイントは、政治・地政学リスクや金融政策を巡る不透明感が原因で、2024年も様々な局面で日経VIが上昇する可能性を示しています。投資家は、これらの要因を注視し、リスク管理に努めることが重要です。
日経VIの最近の上昇は、市場の変動に対する投資家の不安を映し出しています。投資家は日経VIの動向を密に監視し、中東情勢や原油価格の変動など外部要因による市場の不確実性に備える必要があります。ただし、日経VIの動きから市場の方向性を読み解く際には、その相関関係が完全ではないことを理解し、他の経済指標やニュースと併せて分析することが重要です。具体的には、GDP成長率や失業率、インフレ率などの基本的な経済指標や、専門的な金融ニュース、各国中央銀行の発表といった情報も分析に取り入れましょう。
ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。
今週の米国の主要企業の決算発表を踏まえて、今後の米国株式市場の見通しについて解説します。 [ 目次 ]1 &n …
東証グロース市場250指数(グロース250)が年初来安値を更新するなど、グロース株の下落が目立っています。4月 …
近年、世界の株式市場の牽引役は間違いなく半導体企業でした。ただ、全ての半導体企業に対して広がった成長神話は、こ …
今回は、半導体業界を理解するために業界の概要と市場動向を見ていきます。 [ 目次 ]1 半導体業界の概要と市場 …
近年、日本企業の株主構成が変化し、外国人投資家の保有比率が増加傾向にある中で、企業に積極的に意見を述べるアクテ …
本日はテーマは米国株です。先週は、米国株で下落が続きました。今回の下落も、通常の調整なのか、それとも、まだまだ …
1990年6月以来、34年ぶりの1ドル=154円台に到達した力強い動きが続く米ドル円の今後の見通しは? [ 目 …
原油価格が再び上昇傾向にあり、米国を中心にインフレ再燃への懸念が高まっています。2022年後半から下落傾向にあ …
12日からアメリカの決算発表がスタートし、アメリカのJPモルガン、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなど大手金 …
金(ゴールド)の国際価格が急上昇し、1トロイオンスあたり2,300ドルを超える史上最高値を記録しました。金は従 …
本日のテーマは米国株です。12日から米国金融機関を中心に、2024年度第1Qの決算発表がスタートします。 今年 …
2024年に入ってから、NISA(少額投資非課税制度)の利用が大幅に拡大しました。本記事ではまず、NISA口座 …
2024年4月から新年度に入りました。2023年度のマーケットを振り返ると、改めて日本の株式市場は記録的な1年 …
本日は、米国株投資を取り上げます。今年に入り、米国小型株、ラッセル2000に注目する人が増えています。最近は、 …
先週のFOMCを受け、6月の利上げ可能性が高まってきました。その影響で、今後の長期金利低下などが期待される中で …
資産管理に正しい見積費用はあるのでしょうか? 例えば、資産運用の金融商品だけみても相当数あり、手数料は個別に異 …
ファミリーオフィスをつくりファミリーの資産管理を永続的に成長させる。 これがファミリーオフィスの究極的な目的で …
ファミリーオフィスとは、欧州や米国では広く認知されており、資産管理においてはとても優れたシステムだと周知されて …
ファミリーオフィスに依頼をすると費用が高いのではないかといことを良く質問されます。欧米からスタートしたファミリ …