資産運用においては、金額に限らずマイナスになるのは、誰でも避けたいものです。ただし、資産の額が大きくなればなるほどマイナスに対する回避思考は高くなる傾向があります。それは、人間は価値の感じ方についても主観的に判断していることが多く、パーセンテージではなく額を大きく考えてしまうため、運用総額が大きくなるとその分だけリスク回避思考が強くなるからです。では、資産を多く保有している富裕層は、資産運用で何を一番大切にしているのでしょうか。
資産運用において最も重要なことは、リスクを低く抑えようとするとリターンは低下し、高いリターンを得ようとするとリスクも高まるということです。
したがって、投資の世界に、「リスクが低く、リターンが高い」、つまりローリスク・ハイリターンの投資や金融商品は存在しません。このようにリスクとリターンは、非常に強く結びついています。これから分かるように、投資で高いリターンを望むのであれば、リスクの高いアセット(資産)へ投資をする必要があり、そのため、株式への投資が不可欠になります。世界の富裕の資産運用に必ず株式投資が組み入れているのはこのような理由からです。では、世界の富裕層たちは、リスクが高いとされている株式投資をどのように資産運用に組み入れ、リスクをコントロールをしているのでしょうか。
資産運用の世界に、「将来、最高の利益を得られるか分かるという人物が現れたら、ゆっくりとうなずき、何歩かあとずさって、振り向きざま、力の限り全力で走って逃げることだ」という古くからの言い伝えがあるように、将来のパフォーマンスを正確に予測して、しかも継続して当てることができる人はいません。また、同じようにマーケット・タイミングを常に読めるという人も存在しません。
つまり、将来の予測、マーケット・タイミング、銘柄選定が上手くいかない以上、少数の株式による運用は、短期的な成果を「まぐれ*」であげることができたとしても、長期的には高いリスクを抱えていることになります。資産を多く保有する投資家は、このような「まぐれ」に頼るようなリスクの高い資産運用を行うことはありません。では、富裕層、年金基金などは「まぐれ」に頼ることなく、長期で安定したリターンを得るためにどのような運用方法を選択しているのでしょうか。
実は、これについてはすでに結論がでています。株式に投資をするのではあれば、どのくらいの割合を株式に投資をするか、また、株式以外にどのくらいの割合を配分するかをリスクが低くなるように割合や組み合わせが重要であるということです。これを、『アセット・アロケーション』といい、長期で安定した運用における「核心」といわれています。
*投資における「まぐれ」を詳細に説明したのは、マサチューセッツ大での確率論の教授であり、元ウォール街のトレーダーという異色の肩書きを持つナシーム・ニコラス・タレブ氏。タレブ氏の著書で『ブラックスワン-不確実性とリスクの本質(ダイヤモンド社)』はあまりにも有名ですが、「まぐれ – 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」も同じぐらい有名です。この本の中で投資のまぐれについて説明されています。本書のさわり部分は、「歴史的な出来事であれ、日常の業務であれ、偶然の度合いは状況によって異なるが、ほぼ全ての現象は何らかの形で偶然の産物であるとして、トレーダーの成功は偶然に拠るところが大きい」としています。
このアセット・アロケーションとは、アセットは「資産」、アロケーションは「配分」という意味で、運用する資金を『異なる資産クラス』に『配分割合』を決定することをいいます。資産は、大きく分けて「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」「国内・国外不動産」「商品・金」などになります。このアセットアロケーションは、投資家の資産状況やリスク許容度、運用目的などによって人それぞれで適切な配分が異なります。また、アセットアロケーションにより組み合わせた商品群を「ポートフォリオ」といいます。
このアセットアロケーションの概念は、1980年代に、著名投資家ゲーリー・ブリンソンらによる研究により、運用ポートフォリオのリターンの90%以上がアセットアロケーションから生じるという結論を示し、また、タイミングと銘柄選定によるものは10%に満たないことを二つの論文で実証しました。その後もこの内容について激しい議論と検証が繰り返され、寄与度の違いこそあれ、長期運用においてアセットアロケーションが最重要であることは確かといえます。
しかし、この繰り返された議論は、実は焦点がずれています。賢明な投資家であれば、誰もが認めているのですが、実は、銘柄選定やタイミングはリターンを決める重要な決定要因です。つまり、銘柄選択やタイミングも重要な要因だということです。
しかし、銘柄選定やタイミングは、前述の通り、正確に当てることは誰にもできません。つまり自分では、コントロールが不可能であり、不確実性を伴うものなのです。一方、アセットアロケーションは、自分で確実に結果を変えられる唯一の方法とされています。資産運用については、銘柄選定やタイミングが読めない以上、アセットアロケーションに集中すべきといえます。リスクとリターンを左右する要素の中で、投資家自ら変えられるのはアセットアロケーションなのです。
このことから、世界の富裕層は、ファミリーミッションステートメントやライフプラン、リスク許容度や投資方針に合わせたアセットアロケーションを組み、定期的に投資環境や価格の変動を分析しながら、必要に応じて配分比率の調節をするリバランス行うことに集中してきました。是非、皆さんもご自身のコア・アセットの資産運用に、「まぐれ」に頼らない世界の富裕層たちが実践してきたアセットアロケーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後に
皆さんのポートフォリオは自分の目標に合った資産配分、アセットアロケーションになっていますか。アセットアロケーションは資産運用においてリータンを決定付ける『自分でコントロールできる』唯一の要素です。自分に合ったポートフォリオをお探しの方は、無料相談までご連絡ください。皆さんに合ったアセットアロケーションをサポートさせていただきます。
ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。
日本株先週の振り返り 先週(11月25日〜29日)の日経平均株価は、前週末比75.82円安の3万8,208.0 …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …
新興国株式市場からの資金流出が続いています。米国経済の底堅さや新興国経済の減速がその背景にあり、投資家たちは慎 …
東証REIT指数は今年1月に年初来高値の1844ポイントに到達しましたが、その後は上値が重く低迷が続いています …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週は、 …
米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが11月1日にダウ工業株30種平均(NYダウ)の構成銘柄にエヌビ …
米大統領選挙にて、次期大統領にトランプ氏が選ばれました。それを受けて先週は株価が大きく上昇しています。例えば小 …
MOVE指数は、米国債市場の金利変動リスクを測定する重要な指標です。金利のボラティリティを示し、その上昇は市場 …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …
[ 目次 ]1 先週の日本株の振り返り2 今週の日本株の見通し3 来週のドル円相場の注目点 先週の日本株の振り …
景気が停滞する中で物価が上昇する、いわゆるスタグフレーションのリスクが高まっています。その原因と私たちにできる …
アメリカの長期金利が上昇を続けています。一時期は3.6%まで低下していた金利が、10月25日段階では4.27% …
金(ゴールド)と銀がともに高値を更新し、市場の注目を集めています。この記事では、金と銀の価格上昇を支える要因や …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 10月2 …
[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 10月1 …
資産管理に正しい見積費用はあるのでしょうか? 例えば、資産運用の金融商品だけみても相当数あり、手数料は個別に異 …
ファミリーオフィスをつくりファミリーの資産管理を永続的に成長させる。 これがファミリーオフィスの究極的な目的で …
ファミリーオフィスとは、欧州や米国では広く認知されており、資産管理においてはとても優れたシステムだと周知されて …
ファミリーオフィスに依頼をすると費用が高いのではないかといことを良く質問されます。欧米からスタートしたファミリ …