2024年6月の株主総会シーズンが近づいてきました。最近はアクティビスト(物言う株主)の動きが活発化しており、株主提案の数も過去最高を更新する可能性があります。投資家にとって見逃せない株主総会の注目ポイントを解説します。
アクティビストの存在感が増す日本の株式市場
近年、日本企業の株主総会では、アクティビストの存在感が増しています。アクティビストとは、企業の経営陣に対して積極的に意見を述べ、企業価値の向上を求める株主のことです。彼らは、自社株買いや事業の選択と集中、ガバナンス(企業統治)改革などを要求することで知られています。

IRジャパンによれば、2023年にアクティビストファンドが日本企業に出資している件数が過去最高の70件に達しました。これは5年前の3倍の水準です。コーポレートガバナンス・コードの導入や東京証券取引所の市場再編など、投資家を意識した経営を求める動きが背景にあります。
相次ぐ大型株への投資
アクティビストの投資対象は、大企業にも及んでいます。米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が出資する住友商事に、米アクティビストのエリオット・マネジメントが数百億円規模で投資したことが2024年4月に明らかになりました。エリオット・マネジメント(Elliott Management Corporation)は、1977年にポール・シンガー氏によって設立された、世界最大級のアクティビストの一つです。
また、米バリューアクト・キャピタルが、2023年にセブン&アイ・ホールディングスに不採算事業の売却などを求めて取締役の派遣を要求。5月の株主総会で否決されましたが、成長戦略を議論する意義は小さくありません。バリューアクト・キャピタル(ValueAct Capital)は、2000年にジェフリー・アッベン氏によって設立された、アメリカの大手アクティビストです。本拠地はカリフォルニア州サンフランシスコにあります。
企業と投資家の対話が進化
アクティビストの企業への提案が増えている一方で、アクティビストの企業への対応にも変化が見られます。2000年代は敵対的TOB(株式公開買付け)を仕掛けるなど強圧的な手法が目立ちましたが、最近は他の投資家の賛同を得られるよう提案内容を工夫する動きがあるからです。
経営サイドと投資家(アクティビスト)では、時間軸や優先順位が異なるのは当然ですが、対話の場を企業価値向上への論理的な方策を検討する機会として活用する企業が増えています。アクティビストとの建設的な対話を通じて、Win-Winの関係を築く企業も出てきているのです。
株主提案の行方は

2024年6月の株主総会では、過去最多の株主提案が予想されています。特に注目されるのが、気候変動対策に関する提案です。2023年の株主総会では、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクに対し、パリ協定の目標に沿った事業戦略を求める提案が出されました。
また、トヨタ自動車に対しても、パリ協定との整合性を評価した気候関連のロビー活動報告書の作成を求める株主提案がなされる予定です。
企業価値向上への対話を
アクティビストの台頭は、日本企業にとって脅威であると同時に、変革のチャンスでもあります。企業とアクティビストが対立するのではなく、企業価値向上に向けて建設的な対話を重ねることが大切です。
株主と経営陣が同じ方向を向き、企業の持続的成長を目指す。それこそが、株主総会本来の役割のはずです。投資家は、単に議決権行使の判断材料としてだけでなく、中長期的な企業価値向上の観点から株主総会の行方を見守っていく必要があります。
2024年6月の株主総会は、日本企業の変革の分水嶺になる可能性があります。アクティビストと企業の動向から目が離せません。
株主総会の日程は、JPX(日本取引所グループ)のサイトで確認できます。
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