米CPI | ||
6月結果 | 市場予想 | |
総合CPI前年同月比 | 3.0% | 3.1% |
総合CPI前月比 | -0.1% | 0.1% |
コアCPI前年同月比 | 3.3% | 3.4% |
コアCPI前月比 | 0.1% | 0.2% |
総合CPIは前年比3.0%、前月比でマイナス0.1%と、市場予想を下回りました。前月比がマイナスになるのは2020年5月以来です。コアCPIも前年比3.3%、前月比0.1%と予想を下回りました。エネルギー価格が前月比で2%下落し、総合CPIを押し下げました。ガソリン価格は2か月連続で大幅に下落し、燃料油も2か月連続でマイナスを記録。電力サービスも0.7%低下し、エネルギー部門全体で下押ししました。エネルギー価格の前年比上昇率は1.0%にとどまり、総合CPIにおけるエネルギー部門の影響が顕著です。
FRBのパウエル議長は、インフレが持続的に低下していることを確認したいとして、慎重な姿勢を示しています。一方で、市場はインフレ減速から米景気悪化への懸念に移行しており、個人消費や雇用情勢に注意が払われています。
今回のCPIの結果を受け、第1四半期に再燃したインフレは再び鈍化傾向にあり、経済活動も全体的に減速していることを示唆しています。市場では9月会合での利下げがメインシナリオになっていますが、11月や12月も利下げを織り込む動きとなっています。米2年債利回りは4.51%と2.36%低下、米10年債利回りも4.21%と1.77%低下しました。
米国債の利回り低下によって、ドル円は157円台まで急伸しました。(この円高は、日本サイドの為替介入という観測もありますが不明です。)今回の円高推移が7月末の日銀会合にどのような影響を与えるのか、注目しています。米CPIの発表前は1ドル160円台が続くなど、円安傾向が鮮明でした。
以下は、ドル円チャート(3ヶ月)
さらに、国内企業物価指数では輸入物価の上昇が目立ち、原材料価格の高騰によるコストプッシュインフレが懸念される状況でした。個人消費が振るわない中、インフレが消費をさらに落ち込ませることが懸念されていたのです。そのため、通貨防衛を目的とした早期の利上げによって円安を食い止め、インフレの上振れを防ぐという選択肢も考えられました。
今回の米6月CPIが予想を上回る結果となれば、円安がさらに進み、日銀が7月の会合で利上げに踏み切る可能性が高まったことでしょう。しかし、日銀にとっては、米CPIが予想を下回ったことで、今のところ円高傾向にあることに安堵している可能性があります。
7月30日~31日に予定されている次回の日銀会合までに、米小売売上高や米4-6月期GDPなど、為替相場に影響を与え得る重要な経済指標の発表が控えています。ドル円に影響を与えるため注目です。
一方で、市場の予想通りにFRBが年内に2回の利下げを実施したとしても、日米金利差が今後急激に縮小することは想定し難く、そのため、円キャリートレードが急激にアンワインド(ポジションの巻き戻し)が進むことはメインシナリオにはならない状況です。25年の利下げが4回程度見込めるようになれば大きくアンワインドは進む可能性がありますが、そのためにまずは9月に利下げは本当にできるか確認する必要があります。
それに加えて、トランプ候補が米大統領選を優位に進めている以上、トランプトレードが活発になりドル円相場が底堅くなる可能性もあります。また、円の実質金利の低下は今も続いており、これもドル円を底堅くしている要因です。このようにドル円を取り巻く材料はまちまちです。今後の経済指標次第でどちらにも転ぶ可能性があり、方向感が定まるまで今しばらく時間がかかりそうです。
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