6月結果 | 市場予想 | 前回 | |
米小売売上高 | 0.00% | -0.30% | 0.30% |
米国の6月小売売上高が7月16日(火)21時30分に発表されました。個人の消費動向を捉える小売売上高は、個人消費が3分の2を占める米国の国内総生産(GDP)に大きな影響を与える重要な指標で、7月25日(木)に発表される4-6月期GDP速報値の結果を先取りする役割も果たします。
注目すべきは3つの指標です。1つ目は総合で、市場予想は前月比0.3%減で、前回から減少に転じる見込みでしたが、結果は横ばい(0.0%)でした。2つ目は金額の大きい自動車・部品で、前月比2.0%減と下げ幅が大きくなりました。
ただ、自動車販売の不振は別の統計でも既に明らかになっており、自動車ディーラーやメーカーにソフトウェアを提供する米CDKグローバルが6月にサイバー攻撃を受けた影響で、ゼネラル・モーターズなどの大手自動車メーカーの一部販売が7-9月期に延期されました。不振の原因が一時的なものであることが分かっているため、消費動向への大きな悪影響は懸念されないでしょう。
3つ目は、GDPの先行きを占う上で最も重要なコントロールグループと呼ばれる業種(自動車、ガソリン、外食などを除く)で、0.9%の増加となりました。コントロールグループは、コア小売売上高とも呼ばれ、GDP算出に用いられる個人消費支出(PCE)の統計値に直接反映されます。コントロールグループは、小売売上高の主要指標の一つで、米経済やGDPの先行きを占う上で重要な役割を果たします。
小売売上高は5月まで2カ月連続で市場予想を下回り、消費減速懸念が高まっていました。自動車の販売減速は予想よりも大きくなったものの、コントロールグループの改善で消費者心理の後退への懸念は和らいでいると考えられます。
ここ最近、景気減速への懸念がやや強まっていました。今回、改めて消費の底堅さが確認されたこと、超過貯蓄の枯渇による消費の減速懸念に対して富裕層の消費が支える構造が続いていること、また、オンラインの消費が落ち込んでいないことなどもあり、マーケットの安心材料となりました。一方で、そこまで消費が強くないという面もあり、市場で期待されている利下げを否定するものではなかったことから、「適温相場」が続くのではないかという期待が広がったことで株価は上昇しています。
今回、消費面ではパウエル議長の懸念している景気減速に直結する内容ではありませんでした。次は、雇用面がどうなるか、引き続き経済指標次第ではマーケットは動きそうです。
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