メガテック銘柄大幅安!景気減速と利下げ観測で変わる投資の潮流~セクターローテーションは今後も続く?

メガテック銘柄大幅安!景気減速と利下げ観測で変わる投資の潮流~セクターローテーションは今後も続く?

7月24日のナスダック総合株価指数は前日比3.6%安となり、2022年10月以来、約1年9カ月ぶりの下落率を記録しました。これは、電気自動車(EV)のテスラなどの決算が市場予想に届かなかったことや、景気減速感を示す経済指標が重荷となったためです。

巨大テック7銘柄「マグニフィセント・セブン(MAG7)」の決算発表では、テスラとグーグルの持株会社アルファベットが予想を下回り、マイクロソフトやエヌビディアなどの関連銘柄も下落しました。さらに、トランプ前大統領の銃撃事件後、エネルギーや金融株に資金がシフトする一方で、半導体株の急落によりハイテク株の時価総額は減少しています。

さらに、景気減速懸念が強まる中、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まっています。。昨日は、元ニューヨーク連邦銀行のダドリー総裁が景気減速を示唆。「景気悪化のリスクを避けるために7月に利下げを始めるべきだ」、と発言したことで市場では景気後退への警戒感が更に強まりました。今までであれば、利下げ期待による株高になりましたが、いよいよ市場の捉え方は変わってきたようです。

また、先週まではメガテック銘柄、ハイテク関連や半導体関連銘柄が下落するとシクリカル銘柄やディフェンシブ銘柄、さらには中小型株に資金が流入するローテーションが続いていましたが、昨日は、NASDAQ100が-3.65%、S&P500が-2.31%、ラッセル2000が-2.16%と下落をしています。リスクオフは米国株全体に広がりました。また、米5年国債の入札も不調でドル売り、債券売り、株売りのトリプル安となり市場では警戒感が高まっています。

さて、利下げが行われれば、どのような投資戦略が考えられるのでしょうか。歴史的な市場経験則では、今後ラッセル2000など中小型株指数の投資妙味が高まる可能性があります。中小型株は大型株よりも債務負担が大きい企業が多いため、金利低下の恩恵を受けやすい傾向があるからです。

S&P500やナスダック総合株価指数に投資するだけでは、米国経済の成長を十分に享受できません。製造拠点を海外から米国内に戻す「リショアリング(国内回帰)」の動きが広がり、米国内の企業にとって有利な状況が整いつつあります。FRBが利下げを検討し始めたことからも分かるように、労働需給が緩和し、インフレも落ち着き始めています。労働力の調達コストが低下し、消費が活性化することで、米国内の企業は恩恵を受けるでしょう。今後、米景気の軟着陸や金融緩和を背景に、中小型株企業の業績復調が期待できそうです。

7月30日・31日にはFOMCと日銀金融政策決定会合が開催されます。そして、日銀の利上げ観測が高まっており、為替相場では円高が進んでいます。来週はボラティリティの高い1週間になりそうなので、警戒が必要です。

6月の消費者物価指数(CPI)が市場予想に反して前月比下落に転じたことを受け、FRBの9月利下げシナリオが濃厚となり、出遅れていた景気敏感株の買い戻しが進んでいます。銃撃事件以降のトランプ・トレードの加速により、この流れがさらに勢いづいています。株価指数ごとの騰落率には明暗が分かれ、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数やS&P500種株価指数は下落した一方で、景気敏感株比率の高いダウ工業株30種平均や中小型株指数のラッセル2000は堅調に推移しています。9月利下げシナリオと米景気の軟着陸期待が続く限り、セクターローテーションが継続する可能性が高いため注目です。

一方で、元ニューヨーク連邦銀行のダドリー総裁が景気の鈍化を示唆したように、急速に景気後退懸念が広がっています。景気後退に突入すれば、株式全体が確実に売られ、ラッセル2000も例外なく影響を受けるでしょう。現在は、資金管理、つまりリスクコントロールが必要な局面ともいえます。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

6日に発表された8月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で14万2,000人増加したものの、市場予想を …

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株と金価格です。 今月17~18日にはFOMCが開催されます。そこでの利下げをマーケットは織 …

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

8月30日に米商務省から発表された7月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.5%の上昇となり、物 …

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

米半導体大手エヌビディアの2024年5~7月期決算は、売上高が前年同期比約2.2倍の300億ドル、純利益が2. …

【米国株&米債券】‌‌過去の利下げ開始局面の米株と米債のパフォーマンスから考える投資戦略【8/26 マーケット見通し】

【米国株&米債券】‌‌過去の利下げ開始局面の米株と米債のパフォーマンスから考える投資戦略【8/26 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株と米債券です。先週末、アメリカでジャクソンホール会合が開かれました。パウエルFRB議長が利 …

米国初の黒人女性大統領へ挑むハリス副大統領、勝利の鍵は9月の討論会にあり?

米国初の黒人女性大統領へ挑むハリス副大統領、勝利の鍵は9月の討論会にあり?

米国の大統領選挙が迫る中、民主党のカマラ・ハリス副大統領が大きな注目を集めています。11月に予定されている大統 …

FRBパウエル議長は利下げを示唆~ジャクソンホール会議が金融市場に与える影響とは?

FRBパウエル議長は利下げを示唆~ジャクソンホール会議が金融市場に与える影響とは?

ジャクソンホール会議が8月2 日に開幕し、世界各国の中央銀行関係者や経済学者が集う中、注目の焦点はFRB(米連 …

日本のインフレと物価動向の行方~7月の消費者物価指数が示す重要なポイント

日本のインフレと物価動向の行方~7月の消費者物価指数が示す重要なポイント

総務省が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比で2.7%上昇しました。 …

プロフィギュアスケーター 鈴木明子さん対談企画。失敗しないポートフォリオ運用について

プロフィギュアスケーター 鈴木明子さん対談企画。失敗しないポートフォリオ運用について

2大会連続のオリンピック出場、2013年全日本選手権優勝、2012世界選手権銅メダルなど輝かしい実績を持つ、プ …

【米国株】‌‌円キャリートレードが再開し、株の戻り基調は続くのか?【8/19 マーケット見通し】

【米国株】‌‌円キャリートレードが再開し、株の戻り基調は続くのか?【8/19 マーケット見通し】

8月第2週、日米ともに株価が大きく下落しました。その1つの大きな要因として、円キャリートレードの巻き戻しが指摘 …

金と原油の価格動向~米金融政策と地政学リスクがもたらす影響とは

金と原油の価格動向~米金融政策と地政学リスクがもたらす影響とは

[ 目次 ]1 ドル建て金は最高値を更新2 原油市場は地政学リスクと11月の米大統領選に注目 ドル建て金は最高 …

【第2回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方 〜信託報酬は安い方がいいという神話は誤解〜

【第2回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方 〜信託報酬は安い方がいいという神話は誤解〜

富裕層の投資戦略において、適切なポートフォリオを構築するためには欠かせないのが投資信託です。長期的な資産成長を …

景気後退懸念の中で注目された小売売上高~やはり個人消費は底堅いのか?

景気後退懸念の中で注目された小売売上高~やはり個人消費は底堅いのか?

今週の注目の経済指標は、物価と消費に関わるCPIと小売売上高でした。小売売上高は、米国経済の約7割を占める個人 …

7月PPI・CPIで示されたインフレ鈍化~FRBの9月利下げは確実?

7月PPI・CPIで示されたインフレ鈍化~FRBの9月利下げは確実?

8月13日(火)に発表された米国の7月卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%の上昇にとどまり、インフレ圧力が緩 …

【第1回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方〜アクティブファンド編〜

【第1回】富裕層であれば絶対に知っておくべき投資信託の見極め方〜アクティブファンド編〜

富裕層の投資戦略において、適切なポートフォリオを構築するためには欠かせないのが投資信託です。長期的な資産成長を …

おすすめ記事