8月5日、歴史的株価急落の日~オプション取引とボラティリティの関係性を探る

8月5日、歴史的株価急落の日~オプション取引とボラティリティの関係性を探る

8月5日の東京株式市場は荒れ模様となりました。日経平均株価は前週末比4451円(12%)安の3万1458円と急落し、取引を終了。下落幅は実に4000円を超え、過去最大を記録。1987年のブラックマンデー翌日の下落幅(3836円)をも上回るものとなりました。米国の景気後退への警戒感が高まる中、海外の機関投資家やヘッジファンド、個人投資家といった市場参加者たちが一斉に売りに動きました。売りに拍車がかかり、連日の大幅下落となったのです。5日の日経平均株価は下落率でも歴代2番目の記録で、終値は2023年10月以来の安値水準となりました。

日経平均株価の下落要因の1つは「オプション取引」

日経平均株価は7月11日に最高値4万2426円をつけましたが、1か月もたたずに25%も下落し、1万円を超える急落となりました。高値から20%以上下落すると「弱気相場」と判断されます。

この下落を増幅させた要因の一つに、「オプション取引」があります。オプション取引とは、あらかじめ定めた価格で将来の特定の商品を売買する権利の取引です。株価が下落する権利であるプットオプションを安く売っていた売り手は、株価が下落し続けると、買い手の権利行使による損失が発生する可能性があります。そのため、損失を避けるために先物の売りが増え、株価の下落が加速したのです。

市場では、株価下落に備えるためのプットオプションの購入者が増え、証券会社はヘッジのための猛烈な売り迫られました。日経平均の予想変動率を示す日経平均VIは、8月5日に前日比2.4倍の70を超える水準に急伸し、リーマン・ショック以来の高水準となりました。オプション取引が、株価下落に拍車をかけたと言えるでしょう。

出典:日経プロフィル

米国株もボラティリティが上昇

5日の米株式市場も大幅下落となり、ダウ工業株30種平均は前週末から一時1200ドルを超える下げ幅となりました。米景気の先行き不安から、市場参加者がリスク資産である株式の売却を加速させたことが要因です。

取引時間中にダウ平均が1200ドル超下落したのは、約2年ぶりでした。S&P500種株価指数も採用銘柄の9割強が値を下げ、ほぼ全面安の展開となりました。さらに、米国株の予想変動率を示すVIX指数は60を超え、新型コロナウイルス感染拡大初期以来の高水準を記録。市場の不安感が高まりました。その後、VIX指数は、5日に60を超えた後、現在は約28まで低下しています。この低下の背景には、FRBによる利下げ期待が高まったことが考えられます。もし、FRBの金融政策が市場期待に応じることができない場合は、引き続きVIX指数が高止まりする可能性があるため、当面はボラタイルな市場になる公算が高そうです。

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

クリスマス商戦が本格化【日本株・ドル円 週間見通し】 11月23日号(11月25日〜11月29日)

クリスマス商戦が本格化【日本株・ドル円 週間見通し】 11月23日号(11月25日〜11月29日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

新興国株からの資金流出が止まらない理由とは?

新興国株からの資金流出が止まらない理由とは?

新興国株式市場からの資金流出が続いています。米国経済の底堅さや新興国経済の減速がその背景にあり、投資家たちは慎 …

米トリプルレッドの影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月16日号(11月18日〜11月22日)

米トリプルレッドの影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月16日号(11月18日〜11月22日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 今週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週は、 …

エヌビディアがNYダウに採用された意義と今後の展望

エヌビディアがNYダウに採用された意義と今後の展望

米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが11月1日にダウ工業株30種平均(NYダウ)の構成銘柄にエヌビ …

トランプラリーはこれからも続くのか?今後の不安材料と死角について【11/11 マーケット見通し】

トランプラリーはこれからも続くのか?今後の不安材料と死角について【11/11 マーケット見通し】

米大統領選挙にて、次期大統領にトランプ氏が選ばれました。それを受けて先週は株価が大きく上昇しています。例えば小 …

MOVE指数が示す金利リスクと投資戦略

MOVE指数が示す金利リスクと投資戦略

MOVE指数は、米国債市場の金利変動リスクを測定する重要な指標です。金利のボラティリティを示し、その上昇は市場 …

米国ビッグ・イベント通過後の影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月10日号(11月11日〜11月15日)

米国ビッグ・イベント通過後の影響は?【日本株・ドル円 週間見通し】 11月10日号(11月11日〜11月15日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

〜米大統領選挙が鍵〜【日本株・ドル円 週間見通し】 10月27日号(11月4日〜11月8日)

〜米大統領選挙が鍵〜【日本株・ドル円 週間見通し】 10月27日号(11月4日〜11月8日)

[ 目次 ]1 先週の日本株の振り返り2 今週の日本株の見通し3 来週のドル円相場の注目点 先週の日本株の振り …

トランプ氏再選でスタグフレーションの恐れが高まる?原因と対策を簡潔に解説

トランプ氏再選でスタグフレーションの恐れが高まる?原因と対策を簡潔に解説

景気が停滞する中で物価が上昇する、いわゆるスタグフレーションのリスクが高まっています。その原因と私たちにできる …

【米国株】今週の注目材料、企業業績と長期金利、そして需給環境を現状分析【10/15 マーケット見通し】

【米国株】今週の注目材料、企業業績と長期金利、そして需給環境を現状分析【10/15 マーケット見通し】

アメリカの長期金利が上昇を続けています。一時期は3.6%まで低下していた金利が、10月25日段階では4.27% …

金と銀が高騰している理由は?安全資産としての魅力と今後の展望

金と銀が高騰している理由は?安全資産としての魅力と今後の展望

金(ゴールド)と銀がともに高値を更新し、市場の注目を集めています。この記事では、金と銀の価格上昇を支える要因や …

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月27日号(10月28日〜11月1日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月27日号(10月28日〜11月1日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 10月2 …

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月19日号(10月21日〜10月25日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月19日号(10月21日〜10月25日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 10月1 …

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

世界が注目するBRICSサミットの概要 2024年10月22日から24日まで、ロシアのカザンでBRICSサミッ …

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

中国株市場が再び脚光を浴びています。国慶節連休が明けた直後から上海総合指数は連日上昇し、10月8日には上海総合 …

おすすめ記事