【日本株・ドル円 週間見通し】 10月12日号(10月15日〜10月18日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月12日号(10月15日〜10月18日)

日本株先週の振り返り

先週の株式市場では、TOPIXが0.7%上昇し、日経平均株価も1.9%上昇し39,000円から40,000円の間で推移しました。9月の米雇用統計が好調な雇用状況を示し、米国金利の上昇と円安が進んだことが背景にあります。

国内の企業決算では、ファーストリテイリングが市場予想を上回る業績を発表しました。一方、セブン&アイ・ホールディングスと安川電機は通期業績予想を下方修正、イオンは大幅減益となり、企業ごとに結果が分かれました。

また、市場参加者の関心が高かったのは、台湾TSMCの月次売上高と米国の消費者物価指数(CPI)です。TSMCの売上高は前年同月比44.7%増加し、AI半導体の需要が引き続き強いことが確認されました。この結果を受け、半導体関連株が上昇。TSMCの決算発表は17日(木)に予定されており、注目が集まっています。

一方、米国のCPIは住居費を除くコアサービスが前月比で伸びた一方、住居費の伸びは減速し、全体としては強弱入り混じった結果でした。また、新規失業保険申請件数が増加したことから、雇用情勢の軟化が意識されました。これに伴い短期金利は低下しましたが、長期金利は4%台に復帰しました。

市場では、11月の次回FOMCで0.25%の利下げが織り込まれており、今後の金融政策の行方が注目されています。

日本株今週の見通し

11日の米株式市場では、ダウ工業平均とS&P500が最高値を更新しました。大手金融機関の好決算を受け、金融株が買われ市場全体を押し上げたからです。日経平均先物も夜間取引で39,760円まで上昇しており、今週は4万円の大台を回復するかどうかに注目しています。

米国株の堅調さに加え、9月の米消費者物価指数(CPI)がインフレの根強さを示唆しましたが、FRBの利下げ継続の見通しは変わっていません。11月に控える米大統領選では、ハリス副大統領とトランプ前大統領の両者が積極的な財政政策を掲げており、特にトランプ氏が当選すればドル高・円安がさらに進む可能性があります。これによりドル高の流れが続く場合、日本株には追い風になりそうです。

また、27日に行われる衆議院選挙にも注目が集まっています。石破首相は自民・公明両党で過半数を目指すと発言していますが、政治資金問題などの逆風を受け、議席減が予想されます。とはいえ、過去の選挙データによると、自民党が議席を維持または拡大したケースでは、選挙後に日経平均やTOPIXが上昇している傾向があり、市場も選挙結果に敏感に反応する可能性があります。特に、選挙直前に発表されるメディアの情勢調査が相場に与える影響に注意が必要です。

さらに、来週発表される9月の米小売売上高や、17日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の理事会では利下げ決定の有無が焦点となります。これらの結果次第で、さらなるドル高が進むシナリオが考えられます。また、中東情勢や原油価格の動向も株価に影響を与える要因となりそうです。

来週の為替注目点

ドル円相場は、ファンダメンタルズから考えると引き続き上昇を維持する公算が大きくなっています。まず、日本銀行による追加利上げへの期待感が後退していることが要因の一つです。10月2日には、石破首相が「現段階では追加利上げの必要性はない」と発言し、市場で広がっていた早期利上げ観測が弱まる結果となりました。この流れが続いています。

一方、米国ではFRBによる早期の利下げ観測が後退しつつあります。9月に発表された米国の雇用統計やISM非製造業景況感指数が予想を大きく上回り、先週公表された9月の米消費者物価指数も同様に市場予想を超えました。これにより、海外の投資家が円売り・ドル買いのキャリートレードを再び活発化させる可能性が高まり、8月以降に増加していた円ロングポジションが再度円ショートに切り替わる展開も予想されます。

さらに、注目すべきは、17日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の理事会です。9月末以降、ECBによる利下げ期待が高まり、ドイツの金利が米国の金利に比べて下落している状況から、ユーロ安・ドル高が進行しています。仮に、ECBの声明やラガルド総裁の会見でユーロ圏の経済見通しが一段と弱く評価され、インフレの鈍化が明言されれば、利下げ期待がさらに強まり、ユーロ安が加速する可能性もあります。これに伴い、ドルの相対的な強さが増すことで、ドル円相場にも影響が及ぶことが予想されます。

来週公表予定の米国の経済指標、特に10月17日の米9月小売売上高などが市場予想を上回った場合、米国金利の上昇とともにドル高が一層進む展開が期待されます。加えて、10月18日の日本9月消費者物価指数が予想を下回った場合、日米金利差がさらに拡大し、ドル買い・円売りの動きが一段と加速する可能性もあります。このため、ドル円相場は今後も上昇を続けるとの見方が強まっています。

ただし、150.00という心理的な節目を超えた場合、政府や日銀が円安を抑制するための発言や口先介入を活発化させる可能性がある点には留意する必要があります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

米国株や米金利見通しについては毎週月曜日に無料のメルマガで配信しています。
ご興味のある方は、以下のURLよりご登録ください。

メールマガジンの登録はこちら

続きを読む

「資産を守るために、着実な資産管理を」

ファミリーオフィスドットコムでは無料で⾃信で⾏っていただける資産管理から、
エキスパートによるオーダーメイド型の資産管理まで、様々なサービスを提供しています。

メディアでご紹介いただきました

関連記事

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

金購入の真意とBRICS共通通貨の可能性―2024年のBricksサミットで何が起こる?

世界が注目するBRICSサミットの概要 2024年10月22日から24日まで、ロシアのカザンでBRICSサミッ …

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

世界の注目を集める中国株市場の急騰とリスク

中国株市場が再び脚光を浴びています。国慶節連休が明けた直後から上海総合指数は連日上昇し、10月8日には上海総合 …

米大統領選まで残り1ヶ月!ドル円相場はどう動く?注目の影響と予測を解説!

米大統領選まで残り1ヶ月!ドル円相場はどう動く?注目の影響と予測を解説!

米大統領選まで1ヶ月を切りました。2024年11月5日に投開票、2025年1月20日に就任式と約3ヶ月後には新 …

衆議院の解散・総選挙が株式市場や為替市場に与える影響

衆議院の解散・総選挙が株式市場や為替市場に与える影響

10月9日に衆議院が解散し、27日の総選挙が近づく中、市場では「選挙は買い」というアノマリーが再び注目されてい …

【米国株】もしもソフトランディングが実現した場合、S&P500とセクターを選択して投資をする場合、どちらがリターンを狙えるのか?【10/7 マーケット見通し】

【米国株】もしもソフトランディングが実現した場合、S&P500とセクターを選択して投資をする場合、どちらがリターンを狙えるのか?【10/7 マーケット見通し】

本日は『ソフトランディングの場合、S&P500とセクターへの投資のどちらがリターンを狙えるか』をお伝え …

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月5日号(10月7日〜10月11日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 10月5日号(10月7日〜10月11日)

[ 目次 ]1 日本株先週の振り返り2 日本株今週の見通し3 来週の為替注目点 日本株先週の振り返り 先週の日 …

【日本株・ドル円 週間見通し】 9月29日号(9月30日〜10月4日)

【日本株・ドル円 週間見通し】 9月29日号(9月30日〜10月4日)

[ 目次 ]1 日本株今週の振り返り2 来週の日本株市場の見通し3 来週の為替注目点 日本株今週の振り返り 今 …

【米国株】‌‌利下げ開始後に期待できる投資対象とは【9/24 マーケット見通し】

【米国株】‌‌利下げ開始後に期待できる投資対象とは【9/24 マーケット見通し】

本日は、米国株利下げ後に期待できる投資対象をお伝えします。先週のFOMCにおいて0.5%の利下げが決定されまし …

ついにFRBが0.5%の利下げ決定。FRBが示す新たな景気シナリオが意味すること

ついにFRBが0.5%の利下げ決定。FRBが示す新たな景気シナリオが意味すること

2024年9月18日、米連邦準備理事会(FRB)はFOMCで予想を上回る0.5%の利下げを決定し、市場に衝撃を …

米8月CPI発表~物価上昇の勢い鈍化でFRBの次の一手は?

米8月CPI発表~物価上昇の勢い鈍化でFRBの次の一手は?

米8月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で2.5%の上昇となり、市場予想の2.6%を下回る結果となりました …

【米国株&ドル円】‌‌過去の利下げ開始後のドル円相場は、ドル高?それとも円高?【9/9 マーケット見通し】

【米国株&ドル円】‌‌過去の利下げ開始後のドル円相場は、ドル高?それとも円高?【9/9 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株とドル円です。 一般的に米国の利下げ局面では、米金利が下がるため、ドル安/円高になる、とい …

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

米株式市場に広がる不安:雇用統計から見える景気減速の兆候とは?

6日に発表された8月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で14万2,000人増加したものの、市場予想を …

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

【米国株&GOLD】‌‌過去の利下げ開始後の金価格のパフォーマンスと米国株との相性について【9/2 マーケット見通し】

本日のテーマは米国株と金価格です。 今月17~18日にはFOMCが開催されます。そこでの利下げをマーケットは織 …

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

米7月PCE物価指数発表。9月大幅利下げ期待への影響は?

8月30日に米商務省から発表された7月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.5%の上昇となり、物 …

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

AI半導体の覇者エヌビディアの決算と今後の展望

米半導体大手エヌビディアの2024年5~7月期決算は、売上高が前年同期比約2.2倍の300億ドル、純利益が2. …

おすすめ記事