新興国株式市場からの資金流出が続いています。米国経済の底堅さや新興国経済の減速がその背景にあり、投資家たちは慎重な姿勢を強めています。本記事では、新興国からの資金流出の原因とともに、今後の反転の可能性について解説します。
新興国株からの資金流出の実態
中国株やインド株といった新興国株式市場からの資金流出が加速しています。10月には海外投資家がインド市場から100億ドル以上を引き揚げ、新型コロナウイルスのパンデミック以降で最大の資金流出額となりました。インドの主要株価指数は大幅な下落を見せ、通貨ルピーも対ドルで過去最安水準を記録しています。景気減速の兆しや企業業績の低迷により、投資家の不安が高まっているのです。
インドルピー/米ドル

インド株の急成長は、主に国内投資家による預金や貯蓄の流入によるものでしたが、現在そのリスク許容度が限界に近づいているとの懸念も強まっています。UBSのアナリストは「個人投資家の資金流入も限界に達しつつある兆候がある」と指摘しており、インド市場はその勢いを失いつつあります。
債券市場でも続く新興国からの資金流出
新興国の債券市場からも資金流出が続いています。10月以降、新興国債券ファンドからの資金流出額は70億ドルに達し、流出は4週連続に及んでいます。米国経済の強さを背景に、米金利が上昇基調に転じ、ドル高が進行しています。ドル高は新興国のドル建て債務の増大を招き、新興国通貨の下落を促す要因です。この通貨安は投資家にとって収益減少を意味し、新興国資産への投資意欲を削いでいるのです。
今後の展望と反転の可能性
EPFRのデータによると、11月7日から13日の1週間で米国株ファンドには557億ドルが流入し、過去2番目の規模となりました。これは投資家が新興国株から米国株へ資金を移し始めていることを示しています。底堅い米国経済が引き続き強さを見せる中、米国株への投資が優先されているのです。
トランプ次期大統領の政策も、新興国資産に影響を与える重要な要因となるでしょう。共和党が大統領職と上下両院を占める「トリプルレッド」となったことで、インフレ圧力が高まるとの見方が広がっています。関税引き上げや移民政策など、トランプ氏の掲げる政策がどのように実行されるかによって、資金の流れが変動する可能性があります。
新興国株の反転のきっかけとしては、米国の利下げペースの加速や中国の経済対策が挙げられます。市場はこれらの動向に注目し、新たな成長の兆しを待ち望んでいます。新興国資産が再び注目を集めるには、各国の経済政策や世界的な金融環境の変化が重要なポイントとなるでしょう。
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