日本株先週の振り返り
先週の日本株式市場はあまり方向感のない展開となりました。米国金利上昇でバタバタしている米国市場に付き合わされた印象です。1月6日~10日までの日経平均株価は、2024年の大納会の終値3万9894.54円から704.14円(1.77%)下落し、3万9190.40円で終了しました。大発会となった1月6日は、一時4万円に迫る場面がありましたが、利益確定売りが相次いだため、587.49円安の3万9307.05円で取引を終えました。これからも分かるように日本市場単独で相場を押し上げる力は現時点ではありません。
その後は、日銀の利上げ観測や次期トランプ政権の政策不透明感が相場を押し下げました。7日には、米国市場で半導体関連株が買われた流れを受けて、東京市場でも東京エレクトロンやアドバンテストが上昇し、一時4万288.80円を記録。しかし、米国の12月ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことで、FRBの利下げペースが鈍化するとの見方が広がり、8日の市場では株価が下落しました。9日には、トランプ次期大統領が新関税プログラム導入を検討しているとの報道を受けて、日経平均はさらに下落しました。週末の10日には、米国市場がカーター元米大統領の服喪の日で休場となり、海外投資家の取引が減少しました。また、12月の米雇用統計発表を控えた持ち高調整もあり、3万9166.05円まで下げる場面が見られました。
日本株今週の見通し
今週も米国の金利動向を見ながら、つまり米国次第の展開が予想されます。1月14日~17日までの日経平均株価は、10日に発表された米雇用統計の影響を受けた米国市場の動きを引き継いで始まる見込みです。金曜日の雇用統計では、予想を超えた強い数字が出たことで米国の今年の利下げ見通しは2回から1回に修正されています。今の状況は、米国内でインフレ低下を示す数字が出てこない限り、トランプ政権下では米国の金利が高止まりする可能性があり、その影響でイールドスプレッドが潰れた状態であるため、株と債券における資金シフトが活発になる可能性があります。これにより株価の上値を抑えることになります。この影響が日本株に及ぶことが懸念されます。
今週は、14日発表予定の米・卸売物価指数(PPI)や15日の米・消費者物価指数(CPI)の結果が、FRBの利下げペースに関する市場の見方に影響を与え、相場の鍵を握るでしょう。現時点での米国の金融政策は引き続き利下げ方向ですが、利上げの可能性が少しでも台頭するようなことになれば、かなり荒れた相場になる可能性があります。現時点ではその可能性は低いと思いますが、市場関係者のメインシナリオではないだけに注意が必要です。
また、米国ではシティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガンなど主要金融機関の決算発表も予定されており、米国市場全体の動向が注目される週となります。先週金曜日は金融株に本来は有利とされる金利上昇でしたが金融株が売られるという展開になり、今後の不透明な先行きを示しています。このような教科書的でない動きがある時は要注意です。さらに、翌週の1月20日に控えるトランプ次期大統領の就任式が、投資家の積極的な取引を控えさせる可能性もあります。
以上を踏まえると今週の日本株は軟調に推移する可能性があります。このような時は、インデックスへの投資をするよりも、個別銘柄をピックすることが適した地合いと言えます。先週も業績の変化率が高い銘柄は拾われていますの業績重視で銘柄選定を行えば高いパフォーマンスは引き続き期待できます。一方でモメンタムでトレードするのはややリスクが高い市場環境と言えます。ちなみに投資家は円安トレンド、中国景気減速を踏まえたセクター選定、内需関連への注目を高めている様です。
今週の為替注目点
ドル円相場は、トランプ次期米大統領の関税政策やアメリカの重要経済指標の影響を受ける展開となりそうです。トランプ政権の発足が近づく中、先週は関税政策に関する報道が市場を動かしました。6日には「関税引き上げが国家安全保障などの重要分野に限定される可能性」が報じられたことでドルが下落しましたが、トランプ氏がこれを否定しました。
一方、8日には「国際緊急経済権限法(IEEPA)を活用し、幅広い関税を検討している」との報道があり、米10年債利回りが急上昇しました。しかし、政策の詳細はまだ明らかではなく、今後も報道次第で市場が動く可能性があります。今週は、12月の卸売物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)、小売売上高、鉱工業生産などの重要な経済指標が発表される予定です。
インフレ圧力の継続やFRB高官の慎重な利下げ姿勢を背景に、指標結果によるドル相場の反応が注目されます。今年の利下げは1~2回程度と予想されていますが、FRBによる政策変更の可能性にも注意が必要です。
経常収支の構造が変化し始めている日本において、日米の金利差が想定より縮まらなければ円安方向に向かう可能性が高く円安に備えたポートフォリオの構築が必要です。
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