【米国株 】トランプ大統領就任後、株価を左右する2つの要因【1/20 マーケット見通し】

【米国株 】トランプ大統領就任後、株価を左右する2つの要因【1/20 マーケット見通し】

本日のテーマは『米国株 トランプ大統領就任後 株価を左右する2つの要因』です。トランプ大統領の就任後、株価を左右しうる2つの材料についてお伝えします。

20日にトランプ大統領が大統領に就任し、その日に100を超える大統領令にサインすると報道されています。以前より、初日は独裁者になると宣言しており、移民政策、関税政策を導入すると言われており、そのマーケット反応を警戒する向きもあります。

一方で、そのようなことは事前に織り込み済みで材料が出尽くしとなり、株価は上昇するとの見通しもあります。ただし、正直なところどう動くかは蓋を開けてみなければわかりません。

今回お伝えするのは、トランプ大統領が実行する政策を受けて2つの要素に変化が生じた場合、株価にどのような影響を与えるをお伝えしたいと思います。

トランプ大統領就任を控えたマーケットの現状

大統領選挙の翌年のパフォーマンス

まずは大統領選挙の翌年のパフォーマンスを見ていきます。大統領選挙の翌年のS&P500のパフォーマンスを見ると、いい年と悪い年に極端に分かれていることがわかります。1952年以降を見ると、5回程度24%~31%まで上昇している一方で、5回程度10%~17%程度マイナスとなっています。極端な結果です。

2026年の営業利益も大幅に上昇する見込み

現状では、2025年も株式市場は大きくプラスになると期待されています。その背景にはトランプ大統領による新たな政策への期待に加え、米国企業の営業利益率が大きく上昇するとマーケットが見込んでいるためです。以下の見通しの通り高い営業利益率が達成されるようであれば、株価が上昇する可能性が高いと言えます。

ブルームバーグの資料をご覧ください。2025年~2026年は、過去の水準から見ても大幅に高い営業利益率が見込まれています。しっかりと売り上げが伸び、利益率が高いまま維持されれば、当然ながらEPSは大きく上昇します。結果としてS&P500の株が大幅に上昇する可能性が高いと言えます。

トランプ大統領就任で注目しておきたい2つのポイント

ドル高

では、トランプ大統領の政策が株価にどのような影響を与えうるのでしょうか。

1つ目はドル高です。ドルインデックスを見ると、1985年は非常にドルが高かったものの、以降はドル高が緩み、コロナ以降に再びドル高傾向に転換したことが確認できます。

ここ最近の水準はコロナ以降の最高値水準ほどではないにしても、近い水準まで上昇しており、2000年以降の水準に近づく勢いです。このドル高が今後の株価にどのような影響を与えるのか、定量面から確認してみましょう。

ドル高による企業業績への影響

1つ目です。そもそもドル高は輸入コストを軽減します。それによってインフレが鎮静化され、金利が下落し、経済が活況となるとの見通しを立てることもできます。

一方で歴史的に見ると、ドル高により輸出需要が減ること、また、海外の収益価値が低下することなどから、S&P500に多く含まれる多国籍企業の業績を圧迫することが確認されています。

このようにドル高には、いい面と悪い面があります。今年株価が上がるとの予測の背景には企業業績の伸びるという前提があるわけですが、仮にドル高がこのまま進むようなことがあれば、企業業績にマイナスの影響があることを把握しておく必要があります。

左図のUSドルが上昇した場合の業績の変化をご覧ください。企業業績が予想を超えて増えるにはドル安となる必要があり、一方でドル高となれば企業業績の予想を上回る企業が少なくなることを示しています。

現状は、景況感の悪化でヨーロッパが利下げを行い、さらに中国も利下げを行っていますが、米国はなかなか利下げができない状態にあるため、普通に考えればドル高が続く可能性が高いと言えます。ドル高の影響により、市場予想に対して業績の上方修正が少なくなる可能性があることが1つ目のポイントと言えます。

次に右図です。USドルが1%上昇した場合、売り上げの成長にどのような影響があるかをご覧ください。ドルが1%上昇すると、多くのセクターで売り上げが落ちていることがます。特にエネルギー、素材関連セクターは大きく売り上げが落ちることが確認できました。

前述の通り営業利益率が上昇する見込みですが、売り上げ自体が落ちるとなれば、EPS自体は低下することになります。トランプ政権誕生でドル高が進行するようであれば、株価の見通しにマイナスの影響を与える可能性に注意が必要です。

急激なドル高はEPSの鈍化に繋がる

次にブルームバーグの資料をご覧ください。黒がドルインデックス、赤がS&P500の予想EPSの推移です。

ドル高が急激に進んだことを示す3ヶ所の矢印をご覧ください。この箇所では、その後、EPSが横ばいになっています。今年の予想EPSは15%程度上昇するとの予想ですが、もし仮に急激なドル高となればEPSが横ばいになる可能性があります。これはマーケットが想定するメインシナリオとは明らかに異なり、市場のムードは大きく変わる可能性があります。

トランプ大統領が就任後、どのような政策を打ち出し、その政策がドル高にどう繋がるか、非常に注目です。

金利水準も株価の重石となるレベル

2つ目のポイントはタームプレミアムです。米10年金利の上昇要因の1つにタームプレミアムがあります。

長期債券にはタームプレミアムというものが存在しているのですが、少し前まではマイナスでした。現在は0.63%まで上昇し、長期のプレミアムがそれなりについています。

タームプレミアムがプラスに転換した背景には、トランプ大統領就任による財政悪化、インフレ再燃のリスク、FRBの独立性に圧をかけるのではないかなど複数の要因が関係しています。就任後、財政悪化に繋がるリスク、インフレ再燃のリスク、FRBに対する要求増加が見られれば、今後もタームプレミアムが上昇を続ける可能性が出てきます。

タームプレミアムが上昇すると10年金利も上昇するため、トランプ大統領就任後に先述のリスクが発生し、タームプレミアムが上昇するかは非常に注目すべきポイントです。

また、高関税や移民排斥がスタグフレーションを招くとの懸念も金利上昇に拍車をかけていると言われています。初日から関税を引き上げる、移民の排除を宣言するなどの可能性を考えると、タームプレミアムが上昇する要因が揃っていると言えます。

この影響を現在の市場が織り込んでるかどうかは、トランプ政権発足後の市場の動きで確認する必要がありますが、今後もタームプレミアムが上昇を続けてもおかしくない状況にあります。

タームプレミアムが急上昇している最中の株価は?

タームプレミアムの上昇は株価にどのような影響を与えるのでしょうか。

こちらのチャートをご覧ください。上部はタームプレミアム、下部の緑のチャートはUS株価指数を表しています。タームプレミアムの上昇局面では、株価が大きく下落しています。

金利上昇が株価下落に繋がっていることに加え、ある程度インフレが落ち着いてもタームプレミアムが上昇するようであれば、株価にとっては下押し材料となる可能性があります。そのためタームプレミアムを確認する必要があります。。

トランプ大統領就任後、様々な大統領令が出ると考えられています。マーケットで織り込まれてはいるとはいうものの、ドルの上昇、タームプレミアム上昇に連動し10年金利上昇に転じれば、企業業績やS&P500に大きな影響が出てきます。

もちろん、想定内のドル高、金利上昇であれば、おそらく株価には大きな影響もなく、今年は業績見通しが明るため基本的には株価は上昇する可能性が高いと言えます。

一方で、想定外にドル高が進む、タームプレミアムが上昇するとなれば、マーケットの想定外のシナリオとなります。企業業績にも大きく影響を与える二つの要因になりますので、金利、特にタームプレミアムとドルインデックスの動きに当面は注目する必要があると思います。

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