先週の日経平均株価は堅調に推移し、週末の24日には一時4万279.79円を記録しました。そして、最終的には前週末比1480.52円(3.85%)高の3万9931.98円で取引を終えています。米国市場がキング牧師の生誕日で休場だった20日、さらに21日には、トランプ大統領が関税導入を見送ったことが安心感を生み、日経平均は続伸しました。加えて、21日にはトランプ大統領がソフトバンクグループなどによるAI関連投資計画を発表。このニュースを受け、ソフトバンクグループやハイテク株が買われ、22日も上昇基調が続きました。週後半は日銀の金融政策決定会合を控えた慎重な動きが見られたものの、追加利上げの織り込みや材料出尽くし感から買いが優勢となりました。23日には一時4万円台を回復し、24日には4万279.79円まで上昇する場面も。終盤には利益確定の売りが出たものの、4万円付近での底堅さが印象的な1週間でした。
日本株今週の見通し
今週(1月27~31日)の日経平均株価は、短期的な過熱感による利益確定売りが予想されるものの、トランプ政権の政策への期待感から押し目買いが下支えする展開が見込まれます。特に、大統領就任直後の「ハネムーン期間」はポジティブな材料が注目されやすく、AI関連銘柄などが引き続き物色される可能性が高いでしょう。
企業決算では、ファナック(27日)、信越化学工業やアドバンテスト(29日)などの輸出関連企業の業績が注目です。好調な決算が発表されれば、相場全体の上昇要因になりますが、先週の個別銘柄の動きをみているとやや材料出尽くしとなる可能性が高そうです。
注目イベントとしては、1月28~29日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)が挙げられます。市場では今回の会合で利下げが見送られるとの見方が支配的ですが、トランプ大統領が金利引き下げをFRBに求めており、その影響力が再び焦点となる可能性があります。仮に利下げが行われた場合、金融政策を巡る市場の反応がさらに大きくなるかもしれません。
また、今週の急上昇を受け、テクニカル面で過熱感が警戒されていますが、押し目での買い意欲は根強いと考えられます。ただ、今後の決算本格化を控え、内容を見極めたいムードが高まりそうで、これらの要因を踏まえると、日本株市場は上値の重い展開が予想されます。
今週の為替注目点
ドル円相場は、トランプ米大統領の発言に影響される展開が続きそうです。20日に始まった第2次トランプ政権では、カナダとメキシコに対する25%関税の導入を示唆し、ドル高が進む場面がありました。一方、世界経済フォーラムで「金利をすぐに引き下げるよう求める」と発言したことで、ドル売りの動きが強まりました。市場はトランプ米大統領の発言に敏感に反応しており、来週も大きな値動きが続く可能性があります。また、24日に行われた植田日銀総裁の会見で示された今後の日銀の金融政策の方向性が、引き続き注目されるでしょう。
今回の植田総裁及び日銀金融政策決定会合で確認できたポイントは、日銀の為替に対するスタンスの変化です。これまでの日銀は、円安は経済全体にはプラスだか、金融政策で為替をコントロールするものではないというスタンスでした。しかし、今回のレポートでは、為替が物価に及ぼす影響が強まっている、また、現在の円安進行により輸入物価が上昇しているといった文章が確認できました。これは、昨年からお伝えのとおり日銀が為替を重視した金融スタンスに転換したことを示しています。
この日銀の認識を踏まえると、日銀の考える円安水準が修正されるまでは利上げが続く可能性があります。また、これまでは日銀の利上げを良しとしない日本政府のスタンスへの忖度でなかなか利上げに踏み込めなかった日銀でしたが、トランプ政権と距離を縮めたい日本政府が大統領の意向であるドル高円安修正を目指すのであれば、日本政府が日銀の利上げに対して今後はプレッシャーをかけなくなることが想定できます。
28日から29日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが予想されています。しかし、トランプ政権の新たな政策が経済に与える影響が注目されています。特に不法移民の強制送還政策については、建設業の停滞や食品価格の上昇など、経済的な悪影響が懸念されています。8日に公開されたFOMC議事要旨でも、こうした政策がインフレを押し上げる可能性が指摘されており、パウエルFRB議長の会見内容が焦点となりそうです。
日本サイドの利上げスタンスが見えてきた中でFRBのスタンスがトランプ政権の影響を受けのか。もし受けるようであれば、ドル高という2025年のメインシナリオについて再検証する必要が出てくるかもしれません。
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