日本株先週の振り返り
トランプ米大統領が2月1日にメキシコやカナダへの追加関税を課す大統領令に署名したことで、世界経済の先行き不透明感が広がり、リスク回避の動きが強まりました。その影響で、週明け3日の日経平均株価は大幅に下落し、一時3万8400円に迫る場面も見られました。
しかし、2月3日(現地時間)にトランプ政権がメキシコとカナダへの関税発動を1カ月延期したことで市場の警戒感がやや和らぎ、翌4日の日経平均は反発。ただし、中国からの輸入品には10%の追加関税が発動され、中国も対抗措置を講じたため、貿易摩擦の激化が懸念される展開となりました。
さらに、3万9100円付近では上値の重さが意識され、週末の7日にはドル円が急速に円高へ振れたことが影響しました。加えて、同日に発表予定の1月の米雇用統計や、8日未明に控える石破首相とトランプ大統領の会談を前に、持ち高調整の売りが優勢となりました。その結果、先週(2月3〜7日)の日経平均株価は下落し、最終的に先週末比785.47円(1.98%)安の3万8787.02円で取引を終えました。
日本株今週の見通し
今週(2月10〜14日)の日経平均株価は、まず2月7日に発表された米・雇用統計の結果を受けた米国市場の動向に左右されるでしょう。ただし、11日は建国記念日で日本市場が休場となるため、週明けの取引は慎重な展開になりやすいでしょう。
また、2月8日未明には日米首脳会談が予定されており、両国の関係が良好であることが示されれば、市場はポジティブに反応する可能性があります。特に、トランプ大統領がNATO加盟国に国防費の増額を求めていることから、防衛費拡大や米国製兵器の追加購入に関する協議が行われる可能性があり、防衛関連銘柄への注目が高まることが考えられます。
一方で、来週はソニーやソフトバンクグループなどの企業決算の発表が集中し、約1700社が業績を公表する予定です。企業業績の内容によっては個別銘柄の動きが活発になるものの、市場全体では決算を見極める姿勢が強まり、積極的な売買が控えられる場面も増えるでしょう。全体として、イベントリスクを警戒しつつ、個別材料に基づいた動きが中心となる展開が予想されます。
今週の為替注目点
2月7日の米雇用統計が雇用者数が予想を下回り、失業率も低下、しかし、前月までの雇用者数の上方修正などまちまちの結果となるなど市場反応も判断を迷っているような状態です。ただ、賃金の伸びや、米ミシガン大消費者信頼感指数の期待インフレ率のなどが上 昇していることから、10年金利が上昇するなどインフレの再燃への警戒が金利面に見られました。
そのため、今週のドル円相場は、12日に発表される米1月消費者物価指数(CPI)の結果が重要なカギを握ります。12月の2.9%、11月の2.7%から上昇基調が続いていれば、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派的な据え置きが正当化され、3月の利下げ観測は後退するでしょう。一方、CPIが予想を下回り反落すれば、トランプ大統領による利下げ圧力が強まる可能性があり、警戒が必要です。
日本の金融政策については、田村日銀審議委員が「中立金利を1%程度と念頭に置きながら、物価目標の実現度に応じて段階的に利上げする」と発言したことで、市場では早期利上げの期待が高まりました。日銀内の他のメンバーからの発言にも注意が必要です。
貿易面では、トランプ政権がメキシコ・カナダへの関税を3月まで先送りしたため、短期的な影響は限定的とみられます。しかし、中国に対しては10%の追加関税が実施され、中国も報復関税で応じるなど、米中貿易摩擦は続いています。両国の今後の対応次第では、市場に影響を及ぼす可能性があります。 そして、8日未明に予定されている日米首脳会談では、日本への要求やトランプ大統領の経済・貿易政策に注目が集まるでしょう。
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