2月23日にドイツ総選挙が近づく中、景気対策、財政規律、移民政策、気候・エネルギー政策が主要な争点となっています。特に移民政策と経済対策への関心が高く、選挙の行方がドイツ経済や株式市場に与える影響に注目です。本記事では、現在のドイツの政治・経済の状況と、選挙が与える影響について解説します。
移民政策が選挙の最大争点に
ドイツでは移民が関与する凶悪事件が相次ぎ、移民政策が23日の総選挙の最重要争点となるでしょう。急進右派政党AfD(ドイツのための選択肢)の支持が拡大する中、野党CDUのメルツ党首も移民政策の見直しを進めています。
ドイツでは2015年の欧州難民危機を受け、当時のメルケル首相が積極的な移民受け入れ政策を推進。その結果、現在約330万人の難民が暮らしています。しかし、国民の7割がさらなる制限を求めており、昨年は滞在許可の厳格化や強制送還の強化が実施されました。難民申請は前年比3割減少したものの、依然として移民政策の見直しを求める声が強まっています。
ドイツ経済の景気低迷と株価の上昇、実体経済との乖離はバブル?
ドイツ連邦統計局(FSO)の発表によると、2024年の実質GDPは前年比▲0.2%となり、2年連続のマイナス成長が確定しました。ただ、2025年も景気低迷が続くとの見方がある一方で、株式市場は好調を維持しています。
代表的なドイツ株価指数(DAX)は2024年以降上昇を続け、高値を更新。名目GDPと株価は通常連動する傾向がありますが、DAXはそれを大きく上回る速度で上昇しており、市場の過熱感が指摘されています。背景には、2024年6月に欧州中央銀行(ECB)が利下げを実施したことや、企業業績の堅調さが挙げられます。
株価上昇を牽引しているのはAI関連銘柄や金融株ですが、実体経済との乖離が大きく、調整の可能性も指摘されています。特にAI関連銘柄は期待先行で上昇しており、米国のハイテク企業の業績や技術革新に強く影響を受ける状況です。
1月末にはディープシークショックが発生し、AI企業の成長期待が揺らいだことで市場に混乱が生じました。さらに、トランプ新政権がドイツの対米貿易黒字に圧力をかける可能性もあり、ドイツ経済への影響が懸念されています。
選挙後の市場への影響は?
選挙に伴う不透明感から、短期的にユーロ相場や株式市場が神経質な動きを見せる可能性があります。しかし、新政権が財政出動を通じて景気刺激策を打ち出すかどうかが、今後の市場動向を左右するポイントです。
現在、ドイツ経済は低迷が続いており、投資家は積極的な成長戦略を期待しています。財政出動が実施されれば、ユーロや欧州株にとって追い風となるでしょう。一方で、連立交渉が難航し、政治的空白が長引けば市場のボラティリティが高まる可能性があります。
まとめ
ドイツ総選挙は移民政策や景気対策を中心に激しい議論が交わされており、結果次第で経済政策の方向性が大きく変わる可能性があります。景気は停滞する一方で株価は上昇を続け、実体経済との乖離が進んでいます。選挙後の新政権の経済政策が、今後の市場動向を大きく左右するため、引き続き注視が必要です。
2025年2月23日に予定されているドイツの総選挙は、米国株や欧州株、ドル・ユーロ相場、そして欧州中央銀行(ECB)の金融政策に多方面で影響を及ぼす可能性があります。
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