米国発の景気懸念が東京市場を直撃
3月31日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落し、先週末比-1502.77円の35617.56円で取引を終えました。この下落幅は過去8番目の大きさとなり、一時は3万5500円台まで沈み、取引時間中としては約半年ぶりの安値水準を記録しました。
背景には28日の米国株式市場の下落があります。米国経済の景気後退懸念やインフレ再燃への警戒感が強まったことで、東京市場でもリスク回避の動きが急速に広がりました。そして、この日は日経平均採用銘柄のほぼすべてが下落する全面安の展開となりました。
特に半導体関連株が大きく売られ、ルネサスエレクトロニクスには強い売りが集中。東京エレクトロンやディスコは昨年来の安値を更新する事態となりました。自動車株も軒並み下落し、トヨタ自動車をはじめとする主力銘柄も売り圧力に晒されました。
「相互関税」導入への警戒感が市場を圧迫
市場の不安を増幅させているのは、トランプ政権が打ち出した「相互関税」の導入が4月2日に迫っていることです。関税引き上げによる米国経済への悪影響が強く意識され、投資家心理を冷やしています。米国の物価指標が示すインフレ懸念と相まって、ハイテク株や景気敏感株への売りが一段と強まりました。
通常であれば市場の下支え役となる個人投資家の動きも今回は鈍く、3月期末の配当権利取り後で投資余力が乏しい状況が指摘されています。そして、先物主導の売りが相場を一段と押し下げる展開となりました。
今週の市場展望と長期的リスク
今週の市場は、4月1日に発表される米ISM製造業指数や4日の雇用統計が重要な指標となります。これらの内容次第では更なるリスク回避の売りが強まる可能性があり、神経質な相場展開が予想されます。加えて2日にはトランプ大統領の「相互関税」に関する具体的な発表が予定されており、市場の警戒感は一段と高まっています。
関税政策の中でも、米国内生産を促進する目的の関税は特に影響が大きく、半導体や製薬分野にまで波及すれば貿易摩擦リスクが大幅に増大する恐れがあります。一方で、相互関税には交渉の余地が残されているため、発表内容によっては市場への影響が限定的にとどまる可能性もあります。
トランプ政権の最大のリスクは、その予測不可能性にあります。政策の不確実性が長期化すれば、企業も投資家も中長期的な経営・投資計画を立てづらくなり、結果として経済全体の成長力が損なわれかねない状況です。株価は、中長期的に見通しにくい状況が続く可能性が高いでしょう。
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